自動車のヘッドライトは、状況に応じて「ハイビーム(上向き)」と「ロービーム(下向き)」を切り替えて使うように作られています。
ハイビームにすると光軸が上向きとなり、より遠くまで光りが届くようになります。これに対してロービームの場合は、光軸が下向きとなり、手前の路面を中心に照らす事ができます。
ロービームを使う状況
市街地を走行している場合や、対向車が沢山走っているような状況では、ヘッドライトをロービームにして手前の路面を中心に照らして走ります。
こうすることで対向車の目に光りが直接入る事を防ぎ、ヘッドライトの光による眩しさや眩惑を防止することができます。逆にこんな状況でハイビームを使うと対向車の視界を遮ることになり、運が悪ければ事故を誘発する可能性もあります。
ハイビームを使う状況
では、ハイビームはどんな時に使うための機能なのでしょうか?
ハイビームは、光軸を上向きにすることで遠くの路面を照らすことができます。その替わり、近くの路面は若干暗くなります。逆にロービームの場合は、遠くに光りは届きませんが、近くの路面をより強く照らすことができます。つまり、市街地など近くに歩行者や自転車が走っている状況では、近くを強く照らすロービームの方が使い勝手が良いのです。
といった事を考え合わせると、ハイビームを使う状況というのは、近くを照らす必要性が小さくより遠くを照らす必要がある時。しかも、先行車や対向車など他の車があまり走っていない状況という事になります。
対向車や先行車が走っていなければ、積極的にハイビームを活用する
具体的には、郊外の道や高速道路など、先行車や対向車が走っていない時です。こんな時は、積極的にハイビームに切り替えて、遠くの視覚情報をしっかりと得るようにしてください。
特にこういった道路では普段より速い速度で走っていることが多いです。情報を得るのが数秒遅れるだけで、あっという間に数十メートルを移動する事になります。
例えば、路上に大きな石が落ちている場合です。ロービームではすぐ近くまで行かなければ気づくことはできませんが、ハイビームならより遠くからこの情報を得て、余裕を持って停止する事ができるのです。
基本的にはハイビームで走行する
ロービームの正式名称は「すれ違い前照灯」です。つまり、すれ違いの時のためだけに作られた専用機能ということです。つまり、対向車や先行車がいない状況であれば、基本的にはハイビームだけで走行するのが正しいヘッドライトの使い方という事になります。
また、ヘッドライトは長年使っていると光軸がズレてくる事があります。こうなると、ロービームだと思って照射したライトが対向車の視界を眩惑する事になりかねません。「最近やけに対向車がパッシングしてくるなあ」と感じたら、なるべく早めにディーラーや整備工場に持ち込んで光軸を調整してもらってください。