今回の旧型レポートは「初代 メルセデスベンツ SLK 230 コンプレッサー(1997年・R170)」。
1996年に登場したオープン2シーター・スポーツです。日本市場では1997年より販売されています。
世界的なライトウェイト・オープン2シーターの流行に乗って作られ、日本で発売された当初は大人気となっていました。
初年度に生産された量だけではまかない切れなかった為、中古車が新車よりも高くなっていた程です。
外観
全長3995mmX全幅1745mmX全高1285mmのボディサイズを持ち、ホイールベースは2400mmとなります。
フロント
コンパクトで塊感のあるフロントノーズに、緩やかな曲線で描かれたヘッドライトが装備されます。先進性とスポーティなイメージがうまくバランスしています。
サイド
短いホイールベースにコンパクトなボディ。リアに行くに従って除々に入れ上がるショルダーライン。短く切り詰められた前後オーバーハングが相まって、キビキビとした俊敏さと優雅さを感じさせます。
リア
小さなリアウィンドウにメルセデスベンツらしい三角形のリアコンビランプ。切れ上がったヒップラインが相まって、重厚感たっぷりの上質なリアエンドです。
内装
緩やかな曲線でまとめられたモダンなインテリアデザインです。中古車の場合は、インパネの塗装がボロボロと剥がれてちょっと貧乏くさいですね。
電動格納式のメタルトップが装備され、室内の快適性は通常のクーペと遜色のないレベルです。
シート
ベンツにしては座り心地が今ひとつです。クッションのストロークが足りず、しばらく座っていると腰が痛くなります。スポーティなセミバケットシートですが、ホールド感も物足りません。
荷室
メタルトップを収納していると何も積めません。手荷物は助手席にどうぞ。
静粛性
ベンツにしては振動が多く、エンジン音もスポーティなため、高級車のような静粛性はありません。
エンジンとミッション
2294ccの直列4気筒DOHCスーパーチャージャーに、5速ATが組み合わされます。
エンジンは、193ps/5300rpmの最高出力と、28.6kgf・m/2500-4800rpmの最大トルクを発揮します。
車両重量1350kg。10モード/10・15モード燃費は、9.9km/lとなります。
エンジン
2.3Lのスーパーチャージャーエンジンで後輪を駆動します。電子制御でコントロールされたスーパーチャージャーによって、低速域からレスポンスの良いトルクフルな走りが可能です。
4発+スーパーチャージャーのサウンドもスポーティで軽快。レスポンスの良いエンジンと相まって、そこそこ活発な走りを楽しめます。
2000年のマイナーチェンジによって、3.2L V6 SOHCエンジン(31.6kgf・m/3000-4600rpm)を搭載する「SLK320」がラインナップに加わります。230でもの足りない人にはこちらがオススメです。
トランスミッション
スムーズかつダイレクト感溢れるトランスミッション。トルクフルなエンジン特性を充分にいかして、エンジン回転を抑えながらスムーズに変速します。
足回りとハンドリング
前輪にダブルウィッシュボーン式サスペンション、後輪にはマルチリンク式サスペンションが装備されます。
足回り
やや硬めながら、柔らかな薄い筋肉で覆われたような上質さがあり、快適な乗り心地です。
高速域での安定性も高く、長距離移動も楽々とこなします。
ハンドリング
コンパクトでスポーティな外観とは裏腹に、安定感のあるどっしりとしたハンドリングです。
キビキビとした俊敏さはありませんが、ドライバーの意思に忠実に反応するダイレクトなフィールです。
評価のまとめ
シートの座り心地に少々難がありますが、適度にパワフルなエンジンに、ダイレクトなハンドリング。少し引き締まった足回りを持つ快適な乗り心地と、車としてのバランスは上々です。
といっても、このSLKの最大の魅力は電動格納式のメタルトップでしょう。コンパクトな取り回しの良いボディと相まって、普段の何気ない移動を最高のエンターテインメントにしてしまいます。
「ちょっと不便になっても良いから、毎日の生活にもう少し楽しさや彩りを加えたい」と考えている人にオススメしたい一台です。
価格
新車当時の価格 | 4,900,000円