狭い路地でトラックなんかの大型車とすれ違う時、相手が道を譲ってくれれば良いですが、そうじゃ無い場合は道幅が広くなる場所まで後退するか、路肩ギリギリに寄せてすれ違うしかありません。
狭い路地の中で二台の車がギリギリすれ違うんですから、かなり正確な車両感覚が求められます。運転が下手だと、「うっかりタイヤを側溝に落としてしまう」なんてこともあるんです。
ということで今回は、そんな場面で役立つ「タイヤが側溝に落ちて脱輪した時の脱出方法」について解説します。
前輪駆動車(FF)や四輪駆動車(4WD)の場合
タイヤが側溝に落ちて動けなくなった時、自分の車が「前輪駆動(FF)」や「四輪駆動車(4WD)」の場合は、自力で脱出できる可能性が高いです。
「後輪」が側溝に落ちた時
例えば、「後輪」が側溝に落ちたケース。そのまま前進するとタイヤがズルズル滑って脱出できないことも。こんな時は、ステアリングを脱輪したタイヤの反対方向に切り、ゆっくりとアクセルをふかして脱出してください。ATの場合は一番低速のギアに入れ、MTの場合は1速で半クラッチを使ってジワジワと前進します。
「前輪」が側溝に落ちた時
お次は「前輪」が側溝に落ちて動けないケース。こんな時はステアリングを脱輪した方に切り、タイヤを側溝の壁(内側)に強く押し付けます。一度車を降りてタイヤが側溝の壁にしっかりと当たっているのを確認したら、そのまま運転席に戻ってギアを「R」に入れ、ゆっくりとアクセルを吹かしてください。タイヤが側溝の壁に掛かっていれば、そのままボディを路上へと押し戻してくれるはずです。
ただし、この方法で脱出できるのは、多くの場合、低速で脱輪した時です。高速で走行中に脱輪すると、タイヤと側溝の壁が離れすぎていて上手く脱出できないかもしれません。下手に脱出しようとすれば、ボディの下側をガリガリと側溝の壁でこすっちゃうからです。まあ、高速走行からの脱輪なら、その時点ですでにかなりのダメージがあると思いますが。
そんな時は、素直にJAFなんかのロードサービスを呼ぶのが一番です。
人間の力で車を持ち上げて脱出する
後輪駆動(FR)の場合は、前後どちらのタイヤが脱輪しても自力での脱出は難しいです。JAFを呼ぶか、周りの車に助けを求めるしかありません。
周りの車に助けを求める場合は、人力で引き上げるか、牽引ロープを使って他の車に引き上げてもらいます。
人力で引き上げる場合は、1t前半くらいの普通車なら、成人男性で4、5人もいれば十分引き上げられます(ボディ全体を持ち上げるわけじゃ無いので)。ただし、車のボディは人が手をかけて持ち上げるようには出来てません。迂闊にボディ下に手を入れると、ボディパネルの端で手を切ることがあります。一番良いのは作業用の軍手をすることですが、用意できない時は厚手のボロ布などを手とボディの間に挟んでください。
また、車側にも衝撃に弱いパーツがあります。特に、ナンバープレートや後付のエアロパーツは結構もろいんで、迂闊に掴んで持ち上げると簡単に曲がったり外れたりして壊れちゃいます。
ということで、持ち上げてもらう人の怪我やボディ損傷のリスクなんかを考えると、ちょっとオススメしにくい方法です。
牽引フックを使って車を引き上げる
家族や知り合いの車を呼んで牽引してもらうには、車の牽引フックにロープを繋いで引っ張り上げます。
最近の牽引フックは、車載工具箱の中に入っており、ボディ側には牽引フックを取り付けるためのネジ穴だけがあります。
ということで、牽引フックを使うには自分で牽引フックを車載工具箱から取り出し、ボディのネジ穴に装着しなければなりません。詳しい取り付け方については、車の種類によってまちまちなので、自分の車に付いている取扱説明書を参照してください。
ボディ側のネジ穴には化粧カバーが付いており、外からネジ穴が見えないようになってます。まず、この化粧カバーの隙間にマイナスドライバーを突っ込み、ゆっくりと「テコの原理」でこじ開けてください。この時、ドライバーの先に薄い布を巻いておくと、ボディや化粧カバーを傷つけないですみます。
ネジ穴が露出したら、車載工具箱の中から「牽引フック」を取り出し、ネジ穴に手で直接ねじ込んでいきます。ある程度奥までねじ込めたら、車載工具箱からホイールレンチを取り出し、牽引フックの先端にホイールレンチのロッド部分を差し込みましょう。このままホイールレンチのロッドを「持ち手」にしてさらにねじ込んでいけば、ボディに牽引フックがしっかりと固定できます。
あとは、お互いの牽引フックを牽引ロープで繋ぎ、アクセルをゆっくりと吹かして脱輪した車を引き上げます。引き上げてもらう車は、ステアリングを道の内側へ切っておくと脱出がスムーズにいきます。
牽引フックの取り付け方はそれほど難しいものじゃありませんが、いきなり現場でやろうとすると戸惑うかもしれません。できれば、一度、自宅の駐車場で取り付けておくと安心です。