今回の旧型レポートは「VW ヴェント GLi(1992年)」。
1992年に登場した4ドアセダンです。
ゴルフ3のプラットフォームをそのまま使い、リアアクスル以降にトランクスペースが加えられています。
実質的には先代ジェッタ(2代目)の後継車となりますが、アメリカでは先代ジェッタが好評であったため、そのまま3代目ジェッタとして発売されています。
外観
全長4370mmX全幅1695mmX全高1420mmのボディサイズを持ち、ホイールベースは2475mmとなります。
3代目ゴルフのスタイリングに、そのままトランクスペースをくっつけたような3ボックスフォルムです。アクティブで若々しいイメージのゴルフに、トランクを付けるだけでこんなにも地味~な車になるんですねえ。
フロント
がっしりとした重量感のあるフロントノーズに、角型のヘッドライトが装備されます。合理的な車にふさわしい真面目なスタイリングです。
サイド
サイドビューには、「ゴルフにトランクをくっつけた」というこのヴェントの出自が端的に現れています。ハッチバックを前提に開発されたボディに、無理やりトランクを増設しているので、どうしてもアンバランスな感じは拭えません。
リア
ハイデッキ化されたリアエンドに、どっしりとした角型のリアコンビランプが装備されます。この縦に長いリアエンドは当時のどの車とも似ておらず、ひときわ異彩を放っていました。
内装
機能的に整理された清潔なインテリアデザインです。大きな2眼メーターが装備され、視認性も良好です。
シート
先代ゴルフと比べると僅かに劣るものの、依然としてクラストップレベルの上質なフロントシートです。がっしりとしたフレームにコシのある上質なクッションが詰め込まれ、長時間に渡ってしっかりとドライバーの身体を支えてくれます。
リアシートの快適性もフロントシートに全く劣りません。ボディが拡大されたことで、頭上、足元空間ともに適度な余裕が確保されています。
荷室
ゴルフから大きく全長が拡大され、リアエンドに広大な荷室を確保。そのため、家族4人で2泊3日程度の旅行であれば楽々とこなせます。
静粛性
荷室と室内がしっかりと区切られる「セダンボディ」が採用され、室内の静粛性はゴルフより僅かに向上しています。
エンジンとミッション
1984ccの直列4気筒SOHCエンジンに、4速ATが組み合わされます。
エンジンは、115ps/5400rpmの最高出力と、16.6kgf・m/3200rpmの最大トルクを発揮します。
車両重量1180kg。10モード/10・15モード燃費は、8.5km/lとなります。
エンジン
2.0Lのシングルカムエンジンで、前輪を駆動。たっぷりとした低速トルクを持つ実用的なエンジンです。街中など平坦路であれば、パワーが不足してモタモタする事はありません。
トランスミッション
欧州のドライブモードに合わせてセッティングされているため、日本で常用される40~60km/hの速度域では、絶えず3速~4速を行ったり来たりして落ち着きません。
足回りとハンドリング
前輪にマクファーソン・ストラット式サスペンション、後輪にはトーションビーム式サスペンションが装備され、前後ともにスタビライザーで強化されます。
足回り
穏やかで快適な乗り心地です。高剛性ボディとストロークの長いサスにより、段差での衝撃はきれいに遮断されます。
高速域では、ひとクラス上の高い安定性を示します。座り心地の良いシートと相まって、快適な乗り心地です。
ハンドリング
ゆったりとした落ち着きのあるハンドリングフィール。操舵に対して素直に車体は反応しますが、スポーティなキビキビ感はありません。
評価のまとめ
ゴルフとヴェントは実質的に同じ車であるにも関わらず、僅かなデザイン上の違いによって全く違った印象を持ちます。ゴルフは、活動的で若々しいイメージ。対するヴェントは、実直で合理的、大きな変化を嫌う保守的なイメージがあります。
このVWヴェントには、ゴルフ3同様のしっかりした車づくりが行われています。そのため、定期的なメンテナンスと消耗品の交換をケチらずに行っていれば、いつまでも長く乗り続けることができます。自動車を「人と物を運ぶ合理的な道具」として捉えている人にピッタリな実用車といえます。
価格
新車当時の価格 | 3,020,000円