今回の旧型レポートは「クラウン エステート ロイヤルサルーン(2000年)」。
11代目クラウンの派生車種として1999年に登場した、Lクラスのステーションワゴンです。
古いトヨタ的価値観の最高峰に位置するフラッグシップモデルです。
このクラウンを頂点に、マークⅡ、カローラ、スターレットと、少しずつサイズを小さく、品質を落としていくことでヒエラルキーががっちりと形成されます。
初任給でスターレットを買ったお客様は、自分の出世とともに除々に車のランクも上昇させていき、最後はクラウンに行き着くという訳です。このビジネスモデルの旨味は、「一度トヨタ車を買ったお客様は、長い人生を通してトヨタに貢献し続ける」という所にあります。
このエステートと呼ばれるステーションワゴンの他に、セダンとハードトップが用意されます。
外観
全長4835mmX全幅1765mmX全高1510mmのボディサイズを持ち、ホイールベースは2780mmとなります。
堂々としたボディに長大なキャビンスペースが乗せられた、いたって質感の高い贅沢なステーションワゴンです。
フロント
どっしりとした角型の大きなボディに、緩やかな曲線が施された角型ヘッドライトが装備されます。派手さはありませんが、質実剛健で実直な上質感を感じさせます。
サイド
重厚感のあるボディに前後に長い広大なキャビン、立ち気味のAピラー(一番前の柱)が組み合わされ、威風堂々とした風格が漂います。
リア
しっかりと立ち上がったDピラーと大きな面積のリアウィンドウ、四角いリアコンビランプによって重厚感溢れるリアエンドを構成しています。このリアエンドは、最新型の「ランドクルーザー」と非常に雰囲気が似ています。
内装
上質な素材を組み合わせた、高級感あふれる室内空間です。
シート
フロントには、しっとりとした柔らかな表皮に、肉厚の上質なクッションが詰め込まれています。体圧をキレイに分散する快適なシートで、長時間乗っていても疲れることはありません。
リアシートの質感もフロントシートと遜色ありません。サイズにも充分な余裕がありますので、ショファードリブン(運転手付き)として使うことも可能です。
荷室
巨大なボディにワゴンボディが乗せられ、広大な荷室空間を確保しています。家族4人であれば、キャンプからバーベキューまで、幅広くこなすことが出来ます。「なんでも積んで~」って感じです。
静粛性
ドイツ高級車勢を僅かに超える、クラストップレベルの静粛性を持ちます。クラウンの静粛性は、メルセデスベンツの車作りにも影響を与えたと言われる程です。
エンジンとミッション
2997ccの直列6気筒DOHCエンジンに、5速ATが組み合わされます。
エンジンは、220ps/5600rpmの最高出力と、30.0kgf・m/3600rpmの最大トルクを発揮します。
車両重量k1650g。10モード/10・15モード燃費は、11.4km/lとなります。
エンジン
3.0Lのストレートシックスで後輪を駆動。たっぷりとした低速トルクで、街中から山岳路までどこに持っていっても力不足を感じることはありません。エンジンフィールもウルトラスムーズで、クラウンの上質なキャラクターにピッタリと合っています。
トランスミッション
組み合わされるトランスミッションもスムーズかつ静か、エンジン回転を低速に保ってしっとりと変速していきます。
足回りとハンドリング
前後輪ともにダブルウィッシュボーン式サスペンションが装備されます。
足回り
ゆったりとした上質な乗り心地です。段差の衝撃は即座に減衰され、車内に伝わることはありません。
ハンドリング
先代までの「ダル」なステアリングフィールは随分と解消され、Lクラスの高級車としては標準的な切れ味を手にしています。
評価のまとめ
クラウン標準の質感と静粛性を併せ持ったステーションワゴンです。大きなクラウンをベースにワゴンボディを成立させているため、広大な荷室スペースを実現しています。
通常、共鳴現象の発生しやすいワゴンボディは、ロードノイズも大きく成りがちです。ところが、このクラウンエステートの静粛性は、セダンと遜色の無いクラストップレベルの実力を持ちます。
大きく使い勝手の良い荷室とクラストップレベルの静粛性、上質な乗り味と快適な室内空間、全ての面において贅沢に満たすなら、この「クラウンエステート」をおいて他にありません。
価格
新車当時の価格 | 3,910,000円