今回の旧型レポートは「初代 トヨタ シエンタ X(P81G・2004年)」です。
この初代トヨタ・シエンタは、2003年に登場したコンパクトサイズのミニバンです。
コンパクトなサイズのミニバンでありながら、3列シートによる7人乗りを実現しています。プラットフォームにはファンカーゴ用のものが使われています。
競合するライバルには、ホンダ・モビリオと日産キューブキュービックがあります。
外観
全長4100mmX全幅1695mmX全高1670mmのボディサイズを持ち、ホイールベースは2700mmとなります。
フロント
ふんわりとしたボディラインに丸く可愛いヘッドライトが装備され、女性的で優しい表情を持ちます。
サイド
コンパクトなボディを最大限に大きく使うため、タイヤはボディ四隅ぎりぎりに追いやられています。大きく長いキャビンが中央にレイアウトされ、居住性は最大限に高められています。
リア
スクウェアな形状のリアエンドですが、角が緩やかに丸められているため圧迫感はありません。ブラックアウトされたDピラー(前から4番目の柱)に、縦型のリアコンビランプが埋め込まれスッキリとした印象です。
内装
インパネの質感はヴィッツクラスの実用的な印象です。丸いモチーフが効果的に使われたシンプルな形状です。
両側にスライドドアが装備され、コンパクトな室内に3列シートによる7人乗りが実現しています。 アイポイントが高いため、見晴らしが良く運転もしやすいです。
シート
フロントシートには、ポロンとしたマシュマロのようなデザインが採用されています。座り心地や軟らかいのですが、コシが無いため長距離ドライブには向きません。
セカンドシートには、平板なデザインのベンチシートが装備されてます。中距離(30km)程度の使用であれば問題ありません。
サードシートはリアエンドぎりぎりに装備されます。観光バスなどによく使われる「補助シート」といった趣のデザインです。クラッシャブルゾーンがほとんどないため、後方から追突されるとひとたまりもありません。シートサイズも小さいので万が一の時の「緊急用シート」といった使い方がオススメです。
長距離でのサードシート使用は、疲労と安全面から考えれば控えたほうが無難です。
荷室
コンパクトなボディに3列シートが装備されるため、荷室スペースは狭めです。3列目シートに実用性はほとんどありませんので、荷室として割り切って使えば収納力の高いミニバンとなります。
静粛性
エンジン、トランスミッションともに振動が少ないため、車内の静粛性は意外に高いです。
エンジンとミッション
1496ccの直列4気筒DOHCエンジンに、CVT(無段変速機)が組み合わされます。
エンジンは、110ps/6000rpmの最高出力と、14.4kgf・m/4400rpmの最大トルクを発揮します。
車両重量は1210kgで、10モード/10・15モード燃費は、19.0km/lとなります。
エンジン
あまりこれといった特徴の無い実用的なエンジンです。必要十分のトルクを発生するため、街中でモタモタして困ることはありません。
キツイ坂道や高速道路では、もう少しパワーが欲しくなります。
トランスミッション
トランスミッションにはCVTと4速ATの2種が用意されます。CVTは電気モーターのようにスムーズで無機質な加速感です。
初期型のCVTはアクセル操作に対して加速が不自然に遅れる「ラバーバンドフィール」が感じられます。
足回りとハンドリング
前輪にストラット式サスペンション、後輪にはトーションビーム式サスペンションが装備されます。
足回り
軟らかいソフトなセッティングの足回りです。速度を上げるとフワフワとした落ち着きの無さを露呈しますが、街乗りメインで使う場合は快適な乗り心地です。
ハンドリング
コンパクトなボディを活かして小回りが良く効きます。運転好きを喜ばせるような要素はありませんが、ステアリングを切った分だけ素直に曲がります。
評価のまとめ
使い勝手の良いトールボディと両側スライドドアを活かして、子供の送り迎えや買い物、短い距離の通勤に最適なコンパクト・ミニバンです。
ただ、ボディが小さくシートの作りも華奢なため、普通サイズのミニバンのような長距離ドライブには向きません。
普段はもう一台家族用の普通車があるとか、長距離通勤には電車を使うといった人が、近所の細々とした用事のために使うといった場合に最適な車です。
価格
新車当時の価格 | 1,564,500円(税込み)