今回の旧型レポートは「4代目 日産 パルサー GTI(N14・1992年式)」です。
この日産パルサーは、1990年にモデルチェンジが行われた、前輪駆動による5ドアハッチバックです。
日本車として初めてエンジン横置きによるFFレイアウトを採用した、「日産チェリー」直系の歴史ある車です。
このパルサーは当時の日産サニーと基本コンポーネントを共有する兄弟車です。サニーはアメリカ向けとしてコンサバティブなキャラクターが与えられ、このパルサーには欧州向けとしてスポーティなキャラクターが与えられていました。
外観
全長4145mmX全幅1670mmX全高1385mmのボディサイズを持ち、ホイールベースは2430mmとなります。
ボディはこの5ドアハッチバックと4ドアセダン、3ドアハッチバックの3種がラインナップされていました。
中でもこの5ドアハッチバックは、ゆったりとした室内と使い勝手の良い荷室が装備されているため、ユーティリティに優れた使いやすいボディ形状といえます。
フロント
ボクシーなボディ形状に緩やかなRのついた角型ヘッドライトが装備されます。凝縮感のある欧州車的スタイリングです。
サイド
この5ドアハッチバックは3ドアハッチバックをベースとするのではなく、4ドアセダンをベースに設計されています。
ただ、ハッチバック化するにあたっては、リアガラスが丸くキャノピーのように盛り上げられているため、4ドアセダンとも3ドアハッチバックとも異なる独特のスタイリングとなっています。
リア
トランク上部に大きくガラスエリアがはみ出し、巨大なリアウィンドウを形成しています。素直に3ドアハッチバックを流用すれば、ゴルフのような重厚感のあるスタイリングになったはずです。ただ、当時の日本市場ではハッチバックボディが嫌われていましたので、セダンライクなこの形状を採用したのかもしれません。
内装
暗いブラック一辺倒の内装デザインですが、当時の日本車はどれもこんな感じでした。緻密な曲線と、上質な樹脂、整理されたレイアウトによって、使い勝手の良いインテリア空間です。
シート
程度なサイズ感を持った肉厚のシートが装備されます。体圧が集中しがちですが、中距離程度(30km)の移動であれば問題ありません。
セダンがベースとなっているため、リアシートの居住性にも問題はありません。足元、頭上空間ともに適度な空間が確保されています。
荷室
荷室空間はセダンと大差ありませんが、大きく開くハッチバックが装備され、使い勝手は格段に向上しています。
静粛性
大衆車として標準的な静粛性です。ロードノイズ、風切音ともに気になるレベルではありません。
エンジンとミッション
1838ccの直列4気筒DOHCエンジンに、4速ATが組み合わされます。
エンジンは、140ps/6400rpmの最高出力と、17.0kgf・m/4800rpmの最大トルクを発揮します。
車両重量は1140kgで、10モード/10・15モード燃費は、11.0km/lとなります。
エンジン
パルサーのエンジンはこの上に、2.0Lターボエンジンを搭載した「GTI-R」というとてつもなく速いモデルがありました。これはWRCに出場するためのモデルですから、一部の物好きな人を除いて一般の人には関係ありません。
かたやこの「GTI」に搭載される1.8Lエンジンは、バランスに優れた扱いやすいエンジンです。そこそこのパワーとレスポンスを備えるため、街中など日常領域で力不足を感じる事はありません。
この下のグレードには、1.6Lエンジンが搭載されますが、日常領域だけならこのグレードでも十分に使えます。
トランスミッション
高回転型のエンジンを引っ張り気味に使って、力強く加速していきます。程度なシフトショックを感じさせるスポーティなトランスミッションです。
足回りとハンドリング
前輪にストラット式サスペンション、後輪にはパラレルリンク・ストラット式サスペンションが装備されます。
足回り
若干引き締まった印象のあるスポーティな足回りです。路面の段差では車内に衝撃を伝えるものの、不快な印象はありません。
ハンドリング
適度な重さを伴ったスポーティなハンドリングです。ステアリングを切った量に応じて、素直にノーズが向きを変えていきます。
評価のまとめ
優れたパッケージングとよく煮詰められたハードウェアによって、バランスの良い車に仕上っています。家族を乗せてあちこちへ出かける事が多く、荷物もたっぷりと積みたいという人に最適な車です。加えてこの「GTI」ならそこそこ活発な走りも可能ですので、運転好きなお父さんが家族にいい顔をしつつ、自分も運転を楽しむといった使い方ができます。
価格
新車当時の価格 | 2,013,000円