今回は「4代目 BMW 5シリーズ 540i セダン(E39)」を旧型レポートいたします。
このBMW5シリーズは、1995年にデビューしたFRのMクラス・セダンです。日本市場では1996年より販売されています。
外観
全長4775mmX全幅1800mmX全高1435mmのボディサイズを持ち、ホイールベースは2830mmとなります。
実際の外寸はMクラスにふさわしい堂々としたボディを持ちますが、塊感のあるスマートなフォルムによって、ぎゅっと凝縮されたコンパクトさが感じられます。
いかにもBMWらしい都会的でスマートなスタイリングです。
フロント
旧型に採用されていた丸目4灯ヘッドライトは廃止され、3シリーズとよく似た角型ヘッドライトが採用されています。これによってぐっとモダンな佇まいを持つ車へと変貌しています。
サイド
ロングノーズとフロントショートオーバーハング、ビッグキャビンにより美しいFRプロポーションを持ちます。たっぷりとしたホイールベースを持ちながらも、いまにも走り出しそうなスポーティな雰囲気があります。
リア
リアエンドはぐっとハイデッキ化され、3シリーズとよく似たスポーティなイメージです。もちろんボディパネルには上質な抑揚が与えられているので、質感は3シリーズの比ではありません。
内装
がっしりとした質感の高い樹脂にウッドパネルが組み合わされた上質な室内デザインが施されます。
シート
シートには重厚感のある本革が使われ、内部に詰められた上質なクッションと相まって快適な座り心地を実現しています。適度なサイドサポートも装備され、長時間座り続けても疲れることはありません。
リアシートには、余裕のあるホイールベースを活かして、たっぷりとした空間が与えられています。シートのサイズも大きく、座面形状、シートバックの角度ともにおかしな所はありません。ゆったりとくつろげる快適な乗り心地です。
荷室
荷室にはたっぷりとした奥行きと幅が与えられています。家族4人で2泊3日旅行くらいなら自由に楽しむことができます。
静粛性
室内にはたっぷりとした遮音材が施され、高級車にふさわしい上質な車内空間を持ちます。V8エンジンのサウンドが僅かに聞こえるのは、ドライビングによる実感を残すためです。
エンジンとミッション
4398ccのV型8気筒DOHCエンジンに、5速ATが組み合わされます。
エンジンは、286ps/5700rpmの最高出力と、42.8kgf・m/3900rpmの最大トルクを発揮します。
車両重量は1700kgで、10モード/10・15モード燃費は、7.4km/lとなります。
エンジン
4.4LのV8エンジンはよどみなく何処までも吹き上がるような、スムーズかつ上質な回転フィールを持ちます。
低速域からたっぷりとした低速トルクを発揮するため、1.7tの超重量級ボディを軽やかに加速させることができます。
トランスミッション
分厚い低速トルクを幅広いトルクバンドを活かして、ゆったりとした力強い加速をサポートします。エンジンに余裕があるため、回転を低く保ったまま変速していく事ができます。
足回りとハンドリング
前輪にダブルジョイント・スプリング・ストラット式サスペンション、後輪にはインテグラル・アーム式サスペンションが装備されます。
足回り
この540iは、下位グレードの528iにくらべると150kg程度の重量増となりますが、その分、乗り心地はしっとりとした質感を増しています。
剛性の高い引き締められたボディと、コストのたっぷりと掛けられた上質なサスによって、路面の衝撃はしっかりと減衰されます。
ハンドリング
いかにもBMWらしいナチュラルなステアリングフィールです。ドライバーの意思に忠実に反応して、狙ったラインを外すことはありません。
評価のまとめ
乗り心地、ハンドリング、静粛性と全ての要素が高いレベルでバランスしている良い車です。
コンセプト自体は保守的なものですが、自動車に上質感や乗り味といったものを求める人たちには、かえってそのスタンダードな車作りは喜ばれるでしょう。
BMWにはこの5シリーズの上に7シリーズが設定されていますが、日本の道路状況にはこの5シリーズの方が最適です。
秋ろーが20代の頃、この5シリーズと3シリーズをディーラーの試乗会で乗り比べたことがあります。その時はキビキビとした俊敏な身のこなしと、コンパクトでかっこいいスタイリングを持つ3シリーズの方が好ましく思えました。
ただ今になって思うと、適度に俊敏なハンドリングと上質な乗り心地を持ったこの5シリーズの方が好きです。それだけ自分がおっさんになったという事でしょうね。
価格
新車当時の価格 | 7,980,000円