パッシングには前回も紹介した通り、「お先にどうぞ」や「俺の前に入るな」、「邪魔だからどけ」といった様々なメッセージが込められています。
これらのメッセージを正確に読み取るには、長年の経験を元に、周りの状況とメッセージのタイミングを読み取り判断するしかありません。そのため、こういったメッセージをある程度正確に読み取れるようになると、ドライバーとしてもベテランの域に入ってきたと言っていいでしょう。
パッシングによって伝えるメッセージには、この他にも幾つかのパターンがあります。今回はそういったその他のパッシングについて解説したいと思います。
ネズミ捕りを教えてくれるパッシング
例えば、昔から使われているメッセージとして有名なのが、「この先でネズミ捕り(速度違反取り締まり)をしているよ」という意味を伝える親切なパッシングです。
このパッシングは特に20世紀中によく見られましたが、なぜか21世紀になると減少傾向で最近はあまり見かけることはありません。
それでも数年に一度位はこのメッセージを送ってもらうのですが、その時はあまりにも久しぶり過ぎて何の意味で送ってもらったのかすぐに判断できないこともあります。
一方通行逆走を教えてくれるパッシング
また同じような意味で、うっかり一方通行の道に進入してしまった時、「ここは一通だよ」といった意味で送られるパッシングもあります。
これも滅多に送られることはありませんので、あらかじめ情報として頭に入っていないと急に対処することはできません。「なんだろう?」と考えながら走っているうちに警察に捕まる事になります。せっかく対向車の人が親切で教えてくれているのに、これではあまりに勿体ないですね。
こういった親切で教えてくれるメッセージで助けられたら、あなたも同じように対向車に教えてあげてください。
スピードを出しすぎているのは本人の責任ですが、流れに乗っているくらいで捕まるのはあまりにかわいそうです。当然ながら、何十キロもオーバーするような暴走運転のドライバーにこんな親切は不要です。逆に捕まえてもらったほうが交通全体のためとなります。
ヘッドライトの消し忘れを教えるパッシング
この他には、トンネルなど薄暗い場所を抜けた後、ヘッドライトを点けっぱなしにしている人に対して送る、「ヘッドライトが点いているよ」という意味のパッシングがあります。
これは現在とは違い、ヘッドライトを点けたままエンジンを切っても警告ブザーが鳴らなかった時代に普及したメッセージです。
ヘッドライト消し忘れによる警告ブザーが無かった当時は、ヘッドライトを点けたままエンジンを切ってしまい、バッテリーが上がってエンジンを始動できなくなるというトラブルが頻発していました。
これを防ぐために普及したパッシングですので、現在ではあまり意味がありません。といっても対向車は親切で教えてくれているはずですので、余裕がある時は手を挙げるなどしてお礼の意思を表してください。
親切に対してお礼で答えるという習慣が広まれば、快適でマナーの良い交通社会が少しずつ広がるはずです。