自動車のドアに装備されているドアロックは、家の玄関や金庫などに付いているロックと違い、「ドア自体をがっちりと固定してしまう」という機能はありません。
自動車のドアを閉めるとドアの「キャッチャー」と「ストライカー」が噛み合ってドアを緩やかに固定していますが、「ドアロック」はドアノブを操作してもこの部分が解放されないように単にアクセスを遮断しているだけです。特別に「かんぬき」のような仕組みで強固にドアを固定している訳では無いのです。
目次
- ドアロックをしていても大きな衝撃が加わればドアは開く
- 自動(車速感応)ドアロックは危険
- 自動ドアロックは外す事もできる
- 場所に応じて柔軟な対応が必要
ドアロックをしていても大きな衝撃が加わればドアは開く
そのため安全対策が不十分な車の場合は、ドアロックをかけていても事故の衝撃でドアが開いて乗員が外に投げ出されてしまいます。
逆にしっかりと安全対策が施された車であれば、ドアロックの有無にかかわらず、ドアが事故の衝撃で開いてしまうような事はありません。
この事故の時の安全性能の差は、ドアロックの有無やドアロックの性能の差ではなく、ドア自体が事故の衝撃に対応して十分に安全対策が施されているかどうかの違いからくるものです。
つまり「ドアロック」自体は安全性能を高めるための装備では無いのです。
自動(車速感応)ドアロックは危険
また、最近の自動車には「自動(車速感応)ドアロック」という機能が付いていますが、これは車がある程度の速度になると自動的にドアロックを掛けてくれるという便利な機能です。
普段であれば自動車に乗り降りする時にドアロックの操作が不要になるので便利な機能ですが、事故に遭ってしまうと自分自身の命を左右しかねない危険な装備となります。
というのも、事故に遭って自動車内で救助を待っている場合、ドアロックが掛かっていると簡単には救助できなくなる事があるからです。
自動ドアロックは外す事もできる
さらにヨーロッパでは事故の時にドアロックをしていたため、救助を拒否したとみなされ賠償請求が却下されたという判例があります。
自動でドアロックが掛かってしまったために命を失うばかりか、その後の賠償請求でも不利になってしまうなんて、なんだかやり切れませんね。
この自動ロックは日本車を中心に装備されていますが、メーカーによってはユーザーの要望に応じて解除してくれるところもあるようです。ただ、なるべくなら、こういった余計な装備は始めから外しておいてほしいものです。
場所に応じて柔軟な対応が必要
そうはいっても、ドアロック自体は防犯上とても大切な装備です。最近では、日本の治安も徐々に悪化しているので、路上で勝手に乗り込まれるような事案が増えてくれば、走行中にもドアロックをせざるをえません。
こういう場合は、大きな事故に遭う確率の高い郊外や高速道路などではドアロックを解除しておき、市街地など周りに色々な人がいるような場所ではドアロックをするという柔軟な対応が必要です。