会社の業務に関係する運転中に交通事故に遭った場合は、労働者災害補償保険法に基づき「労災保険」が適用されます。
これは通勤途中であっても同様です。ただし、「合理的な理由が無い寄り道」により通勤や帰宅が中断された場合は適用されません。
例えば、飲食の為の寄り道や、会社の同僚との飲み会などは「合理的な理由が無い寄り道」と認定され、労災の適用を受けることができません。
また、車の修理など物損による補償にも使えません。
雇用主が労災に加入していない場合
万が一、雇用主が労災保険に加入していなかった場合であっても、労働者は「労働基準法」の適用により「災害補償」を受けることができます。
災害補償が受けられるかどうかは、その交通事故が業務に関係あったかどうかが判断基準となるためです。
そのため、会社の営業車を運転していた場合でも、休日の私用による運転であれば労災保険による補償を受けることはできません。
労災保険と健康保険が使える場合
労災保険と健康保険のどちらも使える場合は、手続きのスムーズさから労災保険を使ったほうが便利です。
労災保険と自賠責保険
また労災保険では、「治療補償」「休業補償」「障害補償」の3つの補償を受けることができます。
この補償内容は自賠責保険と重なりますが、「休業補償(2割)」「慰謝料」「親権者付き添い費」の3つについては労災保険からは補償されません。
そのため、この3つの補償については自賠責保険を使うことになります。
請求する順序
一般的に「労災保険」と「自賠責保険」の両方を同時に使いたい時には、はじめに自賠責保険を請求しておき、足りない部分を労災保険でまかなう事になります。
ただ、請求者の希望によっては「自賠責保険」を全く使わず、「労災保険」だけを請求することも可能です。通常、労災保険の方がスムーズに手続きが行われることが多いので、自賠責保険の補償が必要ない人は労災保険だけを請求する事もあります。
労災の請求方法
「治療補償」を請求する場合は、指定医療機関などを経由して、所轄の労働基準監督所に「療養保障給請求書(様式第5号)」もしくは「療養保障給請求書(様式第16号の3)」を提出します。
「休業補償」を請求する場合は、所轄の労働基準監督所に「休業補償給付支給請求書(様式第8号)」もしくは「休業補償給付支給請求書(様式第16号の6)」を提出します。
「障害補償」を請求する場合は、所轄の労働基準監督所に「障害補償給付支給請求書(様式第10号)」もしくは「障害補償給付支給請求書(様式第16号の7)」に医師による診断書を添付して提出します。
加えて労災保険の請求の時には「第三者行為災害届」の提出が必要になります。健康保険と同じく、労災保険の適用により保険の支払いを受けた時には、後日「労働基準監督所」から支払った費用を加害者にあらためて請求する事になるからです。