コラムシフトとは、ステアリングコラムの根元から生えたレバーを操作する事で、ギアチェンジを行うシフト方式のことです。
現在はインパネ中央にシフターの設置された「インパネシフト」というシフト方式もあります(今回はこのインパネシフトもコラムシフトの一種として解説しています)。
コラムシフトのメリット
コラムシフトは助手席と運転席の間に設置されるフロアシフトと異なり、フロアに大きなセンターコンソールを必要としませんので、前席の足下空間を広々と設計する事ができます。
一時期はスポーティな印象を持つフロアシフトに押され徐々に減少傾向にありましたが、現在もコンパクトカーやミニバンなど多くの車に採用されています。
初期のコラムシフト
コラムシフトが市販車モデルに採用され始めたのは、1940年代のアメリカ車からです。トルクの大きい大排気量エンジンと3速トランスミッションが組み合わされることで、コラムシフト方式を採用しやすくなったのが一因です。その後1950年代にはアメリカの主要な車にはほとんど採用されるようになり、その勢いはフロアシフトを好む欧州の車にも波及するほどでした。
古いコラムシフトの欠点
それまでの車はトランスミッションに直接接続されたシフトを操作することでギアチェンジを行っていましたが、アメリカ車ではこれをいくつかのロッドとリンケージを組み合わせることでコラムシフトから操作できるように改良しました。
ただ複雑な機構をスムーズに動かすために各部には少しずつ遊びがもたされており、それがシフト部分で集積され曖昧なシフトフィールの原因となっていました。また、経年劣化で各部の遊びが徐々に増加され、最終的にはシフト自体が上手く作動しなくなるといった不具合もありました。
ATのフロアシフトが一般化された経緯
ATの普及期にはアメリカ車でもコラムシフト形式のATが主流となっていました。欧州のロールスロイスやメルセデスベンツも同様です。シフターの設置位置に高い自由度があるATとコラムシフトは抜群の組み合わせだったのです。
しかし、その後アクティブなイメージを求めて一部のスポーティな車にフロアシフトが採用されるようになると、その他の普通の乗用車も続々とフロアシフトに回帰していきます。この移行期と日本でのAT普及期がちょうど同時期であったため、日本でもATといえばフロアシフトという図式が自然に形作られました。
フロアシフトの欠点
フロアシフトの欠点は、助手席と運転席の間に大きなフロアトンネルが設置されるという点です。これをコラムシフトやインパネシフトに変えるだけで、大きなスペースを稼ぐことが出来ます。
ベンチシートを設置することが出来る
また、そのスペースを生かして助手席と運転席を繋ぎ、大きくゆったりとしたベンチシートを設置することも可能です。ベンチシートは長距離運転の際、ある程度自分の姿勢をルーズにしていたい人には最適なシートです。秋ろーは、姿勢の固定できるスポーティなシートの方が好きですが、まあこの辺はそれぞれのお好み次第といったところもあります。
ただ、このベンチシートは左右の席が固定されているため、運転席だけ、助手席だけといったポジション調整がやりにくいといった欠点があります。
それも現在のベンチシートでは改善され、4:6にシートを分割する事で運転手だけの微調整が可能になっています。