1973年に始まったWRCには、歴史のある格式高いレースがいくつもあります。今回は、そんなレースの中から特に有名なレースをご紹介します。
モンテカルロ・ラリー
このモンテカルロ・ラリーは1911年から開催され、自動車レースの中でも最も歴史のあるレースの一つです。
かつてはヨーロッパの各都市からフランスのモナコに向かって走る「コンサントラシオン(1000kmを48時間を掛けて走る)」として行われていましたが、現在はFIAによるWRCの効率化方針により、フランスのモナコからスタートして再びモナコへ戻るコースレイアウトとなっています。また、実際のレースのほとんどはモナコの北、アルプス山脈周辺の山岳路で行われます。
このラリーはモナコ自動車クラブによって運営されていますが、レースの自由度が少ないということで一時、2009年にWRCのスケジュールから外れました。その後2012年には再びWRCのレースとして復活しています。
アクロポリス・ラリー
1951年の開催以来ほぼ毎年のようにWRCのイベントとして行われていましたが、2014年以降はヨーロッパラリー選手権のいちイベントとして開催されています。
レースはギリシャのパルテノン神殿近くからスタートします。山岳路(グラベル)を主体に行われる、悪路の多いハードなレースです。その路面コンディションの悪さは、アフリカのサファリラリーと並ぶほどといわれています。また、コースには鋭い石や岩が多いため、他のラリーよりもタイヤの所持が1本多く認められています。
ラリー・フィンランド
北欧のフィンランドで1951年からスタートし、1973年よりWRCのイベントとして行われています。古くは「1000湖ラリー」と呼ばれる歴史あるラリー選手権です。この旧称は、ラリーコースに点在する数多くの湖が由来となっています。毎年50万人以上が訪れる北欧最大のモータースポーツイベントてもあります。
また、このラリー最大の特徴は、起伏の激しい地形がもたらす数多くのジャンプシーンです。ラリーのイメージショットとして使われる迫力満点のジャンプショットは、多くがこの「ラリー・フィンランド」で撮影されたものです。
加えて、先の見えないコーナーや超高速コース(平均時速135km/h)も多く、難易度の高いラリーでもあります。このラリーの攻略には、超精密なペースノートと優秀なナビゲーターが必要となります。
ウェールズ・ラリー
王立自動車クラブにより、1937年から行われている歴史あるラリー選手権です。途中一時戦争により中断されていますが、現在まで60回以上の長きに渡って開催され続けています。
1997年までは運営母体の王立自動車クラブの頭文字をとって「RACラリー」と呼ばれていましたが、その後は「グレートブリテン・ラリー」と名称変更され、2003年以降は「ウェールズ・ラリー」と呼ばれています。
WRCの最終戦として行われることが多く、毎年チャンピオン争いの掛かったドラマチックなレース展開となる事が多いステージです。
コースはウェールズの森林地帯を使って行われる為、湿った道路やぬかるみのある滑りやすいコースが多いです。また、秋から冬に掛けて行われる事が多く、年によっては雪の影響を受けることもあります。