自賠責保険の正式名称は、「自動車損害賠償責任保険」といいます。法律で強制的に加入が義務付けられていることから、「強制保険」とも呼ばれています。
目的は被害者救済
自賠責保険の目的は、被害者の救済です。そのため、他人が運転する車により事故に合い、死亡もしくは怪我をした場合、加害者の過失度合いにかかわらず、最低限度の保障を誰でも受けることが出来ます。
ユーザーが個人の意志で加入する「任意保険」の場合は、被害者が加害者の過失の度合いや故意の有無を証明する必要がありますが、自賠責保険の場合は、事故により被害者が死亡または怪我をした事実さえあれば、無条件に誰でも保障を受けることができます。
保障が受けられない事例
自賠責保険の目的は被害者救済ですから、自動車の保有者や運行者など、加入者自身が事故により怪我や死亡をした場合は保障されません。
例えば、加入者が自損事故によりガードレールや建物に追突して怪我をした場合などです。さらに、自動車の損害や建物の損害など、物損も保障の対象外です。
保障の最大限度額
自賠責保険には保障の最大限度額が決められており、その限度額を超えた場合は、自分自身のお金で保障するか、任意保険を使うしかありません。
死亡と後遺症に対しては一人につき3000万円、怪我に対しては140万円まで保障されます。後遺症についてはその程度によって、1級から14級までのランクが設定されています。
被害者には被害者請求権がある
自賠責保険を利用する際は、通常、加害者が自分で先に支払いを立て替えておき、後日、自賠責保険を使って保険金を請求するというのが一般的です。
しかし、加害者が自分の過失を認めていない時など、支払いに応じてくれない場合もあります。そんな場合に便利な制度が、「自賠責保険の被害者請求権」です。
これは、被害者自らが保険会社に請求することで保険金を受け取ることができる制度です。ただし、この被害者請求権には2年とい時効がありますので注意が必要です。加害者自身への請求権は3年ですので、この2年の時効が過ぎると加害者に直接請求するしかなくなります。
事故により、示談交渉がこじれている場合は、とりあえず「被害者請求権」を使って自賠責保険の保証金を受け取っておき、その後交渉や裁判にじっくりっと取り組むというのが間違いの無い交渉の進め方です。自賠責保険の場合は、よほどのことが無い限り、被害者への保障が減額されるということもありません。