今回は「新型 三菱 i-MiEV M」を試乗レポートいたします。
三菱 i-MiEVは、2009年に軽自動車の「i」をベースに開発されたブランニューモデルの電気自動車です。
今回は、Gグレードに加えてMグレードが加えられていますが、このMグレードは高速走行などを行わない人のための廉価グレードとして、バッテリーやモーターの性能が抑えられています。
外観
全長3395mmX全幅1475mmX全高1610mmのボディサイズを持ち、ホイールベースは2550mmとなります。
ベース車両の「i」は既に登場から10年が経ちますが、このスタイルは未だに古くささが感じられない革新的なデザインです。
ぐっと四隅に小さなタイヤを配置した卵形のワンモーションフォルムが、力強く個性的でモダンな外観を作り出しています。
フロントフェイスはボンネットとフロントウィンドウ、ルーフが一体となった未来的なスタイリングで、涙型のヘッドライトのレイアウトも絶妙です。
サイドビューは、シンプルで大胆なラインで構成され、息をのむ様な先進的なスタイリングです。
リアビューは、高い位置にリアコンビランプがレイアウトされ、また、リアバンパーから路面までの距離が長めに取られていることもあり、ちょっと腰高な印象です。この影響で、ちょっと幌馬車のようなクラシックな印象を受けます。
内装
内装の質感は、軽自動車レベルですが、ベースが軽自動車の「i」なので仕方ありません。
シンプルでモダンなスタイルは外観の印象と共通です。メーターは、大きなデジタル速度計が真ん中にレイアウトされた3眼タイプですが、視認性ではアナログ式の方が優れます。
フロントシートは硬めで、適度なコシと張りを持っています。少し腰回りのサポートが弱いですが、Mグレードの航続距離を考えれば問題ありません。
リアシートは、簡易なつくりのベンチシートタイプですが、シートバックに背中の収まるくぼみが設けてあり、短距離(20km程度)の使用なら問題ありません。
トランクスペースは、外観から想像する以上に前後の奥行きがあります。この床下にはバッテリーやエンジンが搭載されますが、その分車高が高く設定されていますので、高さの窮屈感も少なめです。また、リアシートを折り畳むことで、積載容量を大きく拡大する事も可能です。
ガソリン車の「i」とは違い、エンジンが搭載されていませんので、車内の静粛性はとても高いです。
エンジンとミッション
永久磁石式同期型(定格出力30kW)の電気モーターに、総電力量10.5kWhの駆動用バッテリーが組み合わされます。
またこの電気モーターは、41psの最高出力と、16.3kgf・mの最大トルクを発揮し、JC08モードは、交流電力消費率が110Wh/kmで、一充電走行距離は120kmになります。
充電所要時間は、100V充電であれば14時間、200V充電は4時間30分、急速充電の場合は15分で完了します。
数値上からは大した性能に感じられない電気モーターですが、電気自動車ならではの太い低速トルクと鋭いピックアップにより、スムーズで軽快な加速感をもちます。
1070kgという軽量ボディの恩恵もあり、街中でパワー不足を感じるような事はありません。
ただ、やはり高速や坂道ではもう少し余裕が欲しくなります。このあたりに不満のある方には、パワーに余裕のある上級グレードのGをオススメします。
航続距離が120kmと短く設定されていますが、このMグレードのコンセプト通り、街中で日常的に使う分には不足はありません。
急な用事で遠出をする事になっても、予め綿密な充電プランの作成を行えばなんとかなるレベルです。
初期型に比べて回生ブレーキが強化されていますが、操作感は自然で違和感はありません。
足回りとハンドリング
前輪にマクファーソンストラット式サスペンション、後輪には3リンク ド・ディオン式サスペンションが装備されます。
適度な重さのあるしっかりとしたステアリングフィールです。Mグレードは、バッテリーがGグレードに比べて軽量なため、軽快でリニアな運動性能を持っています。
また、重量物のバッテリーを床下に収納しているため重量バランスが良く、全高が高いわりにロールも少なめで、ヒタヒタと路面に吸い付く様に走ります。
その為、必要以上に足回りを固める必要もなく、結果的にしなやかで快適な乗り心地を得ています。
評価のまとめ
燃費も良く街中では十分なパワーを備えたバランスの良い車ですが、唯一の欠点は航続距離が短い事です。そのため、デザインや経済性だけではなく、自分の使用状況にマッチするかどうかじっくり考えて購入する事が大切です。
主に街中でのみの運転するという条件で、未来的なデザインと高い経済性、軽自動車の枠を超えたスムーズでパワフルな走りの電気自動車を求めている人にオススメしたい一台です。
価格
価格 | 2,261,520円(税込み)加えて「クリーンエネルギー自動車導入促進対策費補助金」として115,000円の補助が受けられます(2016年6月現在)。