【コラム】トルクの大きなエンジンは乗りやすい

VWポロ前面画像

新しいクルマを購入する時、重要視するポイントは人によって色々ですが、自分の好みにあったスタイリングや内装、シートの座り心地や室内の広さ、小物入れの多さ、荷室の広さなんかを気にする人は多いんじゃないでしょうか?もちろん、価格や燃費も重要です。何しろ、こういうのはお金に直結してますからねえ。

運転の好きな若者なら、「早く走るために馬力(最高出力)はなるべく大きいほうが良い」と考える人もいるでしょう。僕の若い頃もそんな感じで、カタログに書いてある馬力数値のところを穴が空くほど眺めたもんです。

ただし、馬力のすぐ近くに書いてある「最大トルク」とか、それを発生する「エンジンの回転数」、「トルク曲線」に興味を持つ人は意外と少ないです。

実はこのトルクに関連するアレヤコレヤの数値。運転のしやすさに直結する要素で、特にストップ&ゴーの多い街中では馬力よりも低速トルクのほうが重要なんです。

ということで今回は、この見過ごされやすいけど重要な要素、「トルク」について詳しく解説していきます。あわせて「トルクのあるエンジンとはどういうものか」についても紹介してます。

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トルクとは

「トルク」とは、端的に言ってしまえば「エンジンの回転力」のことです。単位は「kgf・m」もしくは「N・m」で表します。エンジンから駆動力を取り出す「クランクシャフト」に対して、直角の方向に1メートルの棒を接続し、「その棒の先端に何キロの重りをつけて回転させる事ができるか」という指標で計ることができます。

もっとシンプルに言い換えるなら、エンジンが回ろうとする「ねばり力」と表現することもできます。

これに対して「馬力」は、「トルク」×「エンジン回転」×「定数」という計算式で求めることができます(単位は「ps」もしくは「kW」)。つまり、エンジンの回転を上げれば上げるほど、それに伴って馬力も上昇していくわけです。エンジンの「ねばり力」を表していた「トルク」とは、数値自体の意味が全然違います。

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トルクの大きなエンジンは乗りやすい

トルクのあるエンジンは、軽くアクセルを踏み込むだけでグイグイと加速していくんで、運転がとってもしやすいです。

特に、日常領域で多用する中低速域のトルクが分厚くてフラットな場合、どの速度域からアクセルを踏み込んでも、エンジンがすぐに反応して力強い加速力を生み出します。右足だけで自在にクルマの動きを制御してる感じです。

その他には「トルクの出方がスムーズ」ってのも重要で、ドライバーが想定している以上にトルクが出たり、ギクシャクとした動きをするとかえって乗りにくくなることもあります。

トルクを大きくするには

エンジンのトルクを大きくするには、排気量を大きくするのが一番手っ取り早いです。高級車に搭載されるエンジンに大排気量のものが多いのは、排気量を大きくすることで車格にふさわしいトルク感を得るためでもあります。

その他には、「ターボチャージャー」や「スパーチャージャー」で加給するという方法も効果的です。これはトルクを大きくするだけじゃなくて、不自然なくらいフラットなトルク特性にしたり、エンジンのダウンサイジングによって燃費効率を高めるという効果も期待できます。要するに「一粒で3つ美味しい」ってわけです。最近、欧州を中心に「ダウンサイジングターボ」がブームになっているのは、こういったメリットが大きいからなんですねえ。

電気モーターによるアシスト

電気モーターによってアシストするハイブリッドカーは、いわば電気的ターボエンジンとも言えます。電気モーターの低速トルクはある意味ターボエンジン以上で、その構造上、始動してすぐに最大トルクを発生します。

小排気量エンジンのトルクを大きくする

小排気量エンジンのトルクを大きくするには、高回転側の最大出力(馬力)を捨て、低速トルクを重視したセッティングにするのが有効です。

特に日常生活で使うコンパクトカーの場合は、高回転側の最大出力なんてまったく必要ありません。代わりに低速トルクを大きくした方が、市街地などではキビキビと走りグッと運転しやすくなります。

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トルクカーブ(曲線)を見れば、エンジン特性がひと目で分かる

カタログを眺めていると、エンジンを紹介するページに「トルクカーブ(曲線)」と呼ばれる折れ線グラフが掲載されています。

このグラフはエンジンの出力特性を端的に表しており、これを見るだけでエンジン特性をひと目で理解することが可能です。

例えば、低回転域からゆっくりとカーブが上がって行き、3000回転くらいでなだらかな山を形作っている場合は、日常域で多用するトルクが厚く扱いやすいエンジンといえます。特にダウンサイジングターボの場合は、1500回転くらいに最大トルクを示し、その後3000回転くらいまでフラットなトルク(まさに定規で描いたようなフラットな直線で)を維持します。

逆に、急激にトルク曲線が上がって行き、4000回転以上で鋭い山を作っている場合は、扱いづらい特殊なエンジンです。こういうエンジンは、MTを駆使して高回転を維持しながら走る事に醍醐味があります。決して乗りやすさのために作られたエンジンではありません。

日本車には、なぜか高回転型エンジンが多い

ところが日本車の場合は、なぜか4000回転以上で最大トルクを示す高回転型エンジンが多いです。この傾向は、日常生活で多用されるコンパクトカーも変わりません。

馬力を上げるには、エンジンを高回転型にするだけで比較的容易に上がることができます。コストもそれほど変わりません。「エンジンの使いやすさなんてどうでもいいから、とりあえずカタログを飾る馬力を上げろ!」なんて上司に言われながら開発しているのかもしれませんね。

ただ、最近はハイブリッドカーやクリーンディーゼル、ダウンサイジングターボを搭載した車が次々に登場し、この傾向も徐々に変わりつつあります。消費者の目も肥え、「馬力なんてどうでもいいから、室内が広い方が良い」とか、「燃費が良くて安い方が良い」といった具合に多様化しています。

低速トルクの分厚いコンパクトカーたち

ちなみに「フォルクスワーゲン・ポロ」は、今流行のダウンサイジングターボを搭載します。トルクカーブを見ると、1400回転から3500回転で16.3kgの最大トルクを発生しています。この数値を見るだけでとても乗りやすそうですね。

最近の日本車も負けていません。「マツダ・デミオ XD」は、ディーゼルエンジンということもり、1500回転から2500回転に掛け25.5kgの最大トルクを発生するという、ポロを超えるトルク特性を示します。

ハイブリッドカーなので単純に比較はできませんが、「トヨタ・アクア」の低速トルクもかなりフラットで分厚いです。

トルクのあるエンジンは、ATとの相性が良い

現在、日本市場で販売されている車のほとんどがAT(オートマチックトランスミッション)を搭載しています。

ATはトルクのあるエンジンとの相性が良く、中低速域のフラットなトルクを上手く使って走れば、スムーズで力強い加速や優れた燃費効率を実現しやすいです。

欧州のダウンサイジングターボには、マニュアルトランスミッションに似た仕組みと、二枚のクラッチを組み合わした「デュアル・クラッチ・トランスミッション」という方式のATが使われる事が多いです。

このトランスミッションは、普通のトルコン式ATよりもさらに低速トルク型エンジンとの相性が良く、ダイレクトでスムーズな加速感とトルコン式AT以上の燃費効率を達成しています。

次の愛車を決める時には、ぜひ今回紹介した「低速トルクを重視したエンジン」をチェック項目の一つに加えてみてください。低速トルクを重視したエンジンや、トルクの大きなエンジンの乗りやすさに驚くはずです。

ABOUTこの記事をかいた人

クルマ好きの40代男性。現在病気のため療養中です。

ブログは暇つぶし&リハビリ。週2で短時間のアルバイトをしていますが、普通の人のように毎日フルタイムで働くことはできません。

ブログの内容はあくまで秋ろーの個人的見解です。実際に車や商品、サービスを購入する際は、自分で試乗や調査をして確かめることをオススメします。

記事更新の時間は、大体、午後11時から12時頃にかけてを予定しています。

修正ばっかりしてると新記事の投稿ができないんで、新記事3に対して修正1くらいの割合でやってます(2019年6月〜)