ロータリーエンジンは、1957年にドイツ人のフェリックス・ハインリッヒ・ヴァンケルによって発明されました。
正式にはこのヴァンケルの名を取って「ヴァンケル・エンジン」と呼ばれます。
1960年に日本のマツダによって実用化され、当時「夢のエンジン」と話題になりました。
この時マツダが「ロータリーエンジン」と呼称したことで、今でもこの名称が一般的となっています。
大きなパワーと振動や騒音の少なさが、特徴のエンジンです。
ロータリーエンジンの構造
蚕の繭に似た形のハウジングと、三角形のおむすび型のローターによって構成されます。
左右の側面をサイドハウジングではさまれ、ローターの中心軸にはエキセントリックシャフトが取り付けられています。
通常の4ストロークレシプロエンジンでは、ピストンの上下運動を、クランクシャフトで変換し回転エネルギーとして取り出しています。
ロータリーエンジンの場合は、おむすび型のローターがローターハウジングの中を偏心回転することで、直接回転エネルギーをエキセントリックシャフトへ伝える構造です。
4ストロークエンジンでいう「ピストン」が、ロータリーエンジンでは「ローター」にあたり、「シリンダー」が「ハウジング」にあたります。
そして「クランクシャフト」は「エキセントリックシャフト」にあたります。
「吸気」「圧縮」「燃焼」「排気」の4工程が行われているのは、一般的な4ストロークエンジンと同じです。
4ストロークエンジンが、ピストンの上下運動により4つの工程を行うのに対して、ロータリーエンジンはローターがハウジングの中を偏心回転することで、4つの工程を行っていいます。
具体的には、おむすび型の頂点がハウジングと接触してシールとして機能していますので、その頂点と頂点の間の3つの部屋が燃焼室として使われます。
ハウジングの内側にはそれぞれ間隔を開けて、吸気ポート、点火プラグ、排気ポートが配置されており、ローターが回転する事で、ローターの周りの3つの燃焼室が順番にそれぞれこの前を通る構造です。
ロータリーエンジンの工程
これを工程ごとに説明するため、3つの中の一つの燃焼室について見て行きます。
まずローターがハウジングの内側を偏心回転することで、「吸気ポート」の場所に燃焼室が移動してきます。これにより燃焼室には混合気が「吸気」されます。
さらにローターは回転しますが、ハウジングの特殊な形状により混合気は燃焼室内で「圧縮」されます。
ローターの回転により、圧縮された混合気で満たされた燃焼室は、「点火プラグ」の前へ移動してきます。
ここで、タイミングよく点火プラグが着火、混合気が「燃焼」します。
回転を続けるローターにより、燃焼後の排気の満たされた燃焼室は、「排気ポート」の前まで移動、ここで「排気」工程を行います。
この後は、再び「燃焼室」が最初の「吸気ポート」の前に移動して、同じ工程を繰り返していきます。
このローターの回転運動で直接回転エネルギーを取り出すという仕組みにより、軽量コンパクトで同排気量のエンジンよりも高出力、また低振動低騒音という長所を持ちます。
その反面、燃料消費が非常に多く、現在の市販車でロータリーエンジン搭載している車はありません。
ロータリーエンジンの今後
しかし、マツダでは現在でも研究が続けられており、次のRX-7に搭載されるのではと言われています。
また軽量コンパクトな特性を生かし、電気自動車用の発電機としても研究されています。