2011年から行われていた、欧米6カ国により行われていたイランに対する経済制裁が解除される見通しです。
解除されれば、制裁によって支払いが停止させられていた1000億ドルがイランに渡ります。
表向きはイランの核開発縮小を確認できた事が理由だと言われていますが、実際には共通の敵である「IS」に対抗する策のひとつではないかといわれています。
ただこの話はそう単純なものではなく、一部の資金は欧米に敵対している地域勢力にも渡る可能性もあるということです。結果的に「IS」封じになればいいという大局的な戦略でしょう。
経済制裁前にイランが生産していた原油は250万バレルで、今現在生産している量は120万バレルです。
単純に考えて、制裁が解除されれば130万バレルの原油が世界市場に出回る可能性があります。
これだけの量の原油が市場に出回ると、今下落傾向にある原油がさらに下がってしまうかもしれませんね。
ここ最近の原油下落の原因
今なぜ原油が下がってきているのかといえば、大きく分けて3つの理由があります。
一つ目は、中国を始めとする新興諸国と欧州の景気減速です。今まで、世界の景気を後押ししていたこういった国々の景気減速により、原油消費量が激減しています。これはしばらく続きそうです。
二つ目は、アメリカの技術開発による、シェールオイルの生産量増加です。世界一の原油消費国であるアメリカが、自国の消費量をまかなえるだけの原油生産量を持つ事になります。
シェールオイルは生産コストが高く、ある程度原油安がすすむと競争力を失うと言われていますが、原油生産会社はつぶれても技術や資金は残ります。ある程度以上の価格になればすぐに再生産され、一定の価格まで押し下げる効果を持ち続けてしまいます。
三つ目は、二つ目とも関連するのですが、中東のサウジアラビアなどの生産国が、アメリカのシェールオイル会社を潰すために増産して価格を下げているのではないかという事です。
さらに現在では、消費量と価格が想定以上に下がってしまい、生産量を維持しつづけないと利益が押し下げられてしまうという負のスパイラルに陥っています。
そして、2015年末に行われたアメリカの利下げで新興国の資金が引き上げられてしまい、さらに新興国の景気が後退するのではないかと予想されています。
これに加えて今回のイランの経済制裁解除が、原油価格をさらに押し下げるのではないかと言われています。
それらの理由から、ここ1年では原油価格が半分になってしまっています。
ただ、1990年頃は原油価格は20ドル戦後でした。それを考えれば特に今の価格が安すぎるとは思えません。
ここ最近の価格が高すぎたというべきでしょう。
日本にどんな影響があるのか
日本に限ってみれば、石油輸入販売をしている会社が困るとか、デフレが進んでしまうので大変だとかいう意見があります。
しかし、ここ最近の下落分の影響だけでも10兆円の原油生産国に出て行くはずだったお金が、日本国内に留まることになります。日本国民はその分を他の消費に回すことができます。
その増えた消費は、そのまま日本の経済成長分となります。止まった原発を火力発電でまかなっている日本にとっては、本当にラッキーなことです。
またデフレについては、そもそも原油の価格が統計データに含まれているのがおかしく、日本の経済力を表す数値としては問題があります。
デフレを脱して日本を豊かにするのが目的ですから、原油が下がっても日本人の生活が豊かになっていれば問題はないはずです。
具体的にはガソリンや電気の値段は下がって、余った資金が日本の国内消費にまわり、それによって電気製品やモノやサービスの値段が少しずつ上昇し、またそれ以上に収入が増えているという状態です。
僕個人としても、ガソリンが安くなればドライブする機会も増えますし、余ったお金を他の事にも使えます。生活に余裕が出来きてとても嬉しいと思います。