今回の【レビュー】は「新型 トヨタ・アクア G GR SPORT」。
2011年に登場した、コンパクトカーサイズの5ドア・ハッチバックです。
「アクア」は、ハイブリッドカー最良の燃費(発売時)とコンパクトなサイズ、キビキビとした走りや先進的なスタイリングが受けて大ヒットとなったハイブリッドカー。北米市場ではプリウスファミリーの末っ子として、「プリウスC」という名前で販売されてます。
「1.5リッター直列4気筒エンジン」に「電気モーター」、「ニッケル水素電池」を組み合わされるトヨタ最小のハイブリッドカーで、ハイブリッドシステムは2代目プリウスのものを改良して使ってます。アクアはボディが小さいんで、現行型プリウスのシステムじゃ合わないんです。
ハイブリッドカーの魅力はなんといっても燃費の良さですが、高性能なハイブリッドシステムを搭載する分、車両価格は割高になります。その車両価格を燃費で取り戻すには、1年で1万キロ走るとして10年以上かかりますんで、ちょっと現実的じゃありません。
それにも関わらずこれだけの人気があるってことは、アクアの魅力は燃費だけじゃなくて「ハイブリッドカーとしてのステイタス」とか「力強い走り」、「先進的なスタイリング」なんかにあるんでしょうねえ。
「新型 トヨタ・アクア G GR SPORT」の概要
「トヨタ・アクア G GR SPORT」は、そんな「アクア」の「G」グレードをベースに、トヨタの社内カンパニー「GAZOO Racing Company」が手がけたスポーツコンバージョンモデルです。
「GAZOO Racing Company」は、元々、トヨタ社内でモータースポーツ部門を手がける「GAZOO Racing」が出自で、その後の統合や再編を経て現在に至ります。
スポーツコンバージョンモデルの展開は、2010年から始まった「G’s」シリーズが始まりですが、その後、2017年の「GAZOO Racing Company」発足とともに「GR」シリーズへとこちらも再編されました。
「GR」シリーズの商品構成は3モデル
商品構成は、超スポーツモデル「GRMN」、量産型スポーツモデルの「GR」、拡販スポーツモデルの「GRスポーツ」があります。
具体的なチューンの度合いとしては、「GRMN」の場合は専用エンジンまで与えられる限定生産車。「GR」はボディからシャシー、ドライブトレーンまで手が入れられるファインチューンモデル。これに対して「GRスポーツ」は、シャシーとボディのみのライトチューンモデルです。
「新型 トヨタ・アクア G GR SPORT」の装備内容
「新型 トヨタ・アクア G GR SPORT」も、シャシーとボディだけに手が入れられるライトチューンモデルで、パワーユニットはベース車両のままイジられてません。
外装周りでは「専用バンパー(装備)」に「専用ラジエターグリル」を装備。内装関係としては「本皮巻きシフトノブ(シルバーステッチ)」と「専用フロントスポーティシート」がおごられてます。
ボディ関係のチューンとして「スポット打点」の追加と、フロア下に「ブレースバー」を追加。シャシー関係としては「専用チューニングサスペンション」の装備をやってます。
プラットフォームは「Bプラットフォーム」
プラットフォーム(車台)は、ヴィッツにも使われてるコンパクトカー用アーキテクチャー「Bプラットフォーム」です。これに2代目プリウス用として開発された、コンパクトサイズのハイブリッドシステムを手直しして流用してます。
ライバルは国産コンパクトクラスのハイブリッドカー
ライバルは、国産コンパクトクラスのハイブリッドカー。「ホンダ・フット ハイブリッド」や「日産・ノート e-Power」です。
2017年にマイナーチェンジ
2017年にマイナーチェンジ。内外装の変更と燃費性能の向上。ボディ剛性の強化や足回りの再セッティング。合わせてグレード体系の見直しも行われました。
「トヨタ・アクア G GR SPORT」はこのマイナーチェンジモデルがベースです。
外観
全長4070mmX全幅1695mmX全高1455mmのボディサイズを持ち、ホイールベースは2550mmとなります。
フロント
短く傾斜したフロントノーズに木の葉型ヘッドライト、エッジの効いた「専用フロントバンパー」と「専用ラジエーターグリル」を装備。小気味いいスポーツ感が表現されています。
サイド
ノーズからなだらかなルーフへと連続的に繋がるワンモーションフォルム。スポーティな15インチ・アルミホイールが組み合わされ、軽快感あふれるサイドビューを構成しています。
リア
低く身構えたリアエンドに、ワイド感を強調した専用リアバンパー。小さく絞り込まれたリアウィンドウが相まって、スポーティで力強い後ろ姿を表現しています。
内装
ブラックでまとめられたスポーティな室内。メッキパーツやピアノブラック樹脂が効果的に使われ、ちょっとした上質感もあります。
Aピラーの傾斜がキツく、斜め前方の死角は大きめ。ボディの端も見えにくいのですが、位置が予測しやすいため大きな問題はありません。
メーター関連は視線移動の少ないセンターメータータイプ。エアコンは操作性の高いダイヤル式。
専用装備として「本革巻きシフトノブ(シルバーステッチ)」がおごられます。
シート
フロントシートは、「G GR SPORT」専用スポーティシート。肩まわりから腰、太ももにかけてしっかりと面で支えるタイプ。身体のグラつきが少ないため、安心して運転に集中することができました。
リアシートは、フロント側と同様にファブリックと合皮のコンビシート。座面の奥行きが十分にあるため、しっかりとお尻から太ももに掛けて支えてくれます。ルーフがなだらかに下降しており、頭上空間に若干の窮屈感がありますが実用上の問題はありません。
荷室
容量の大きなハイブリッド用バッテリーをリアシート直下に搭載。コンパクトカーとしては十分な大きさの荷室スペースを確保しています。6:4でリアシートの背もたれを倒せば、さらに容量を拡大することもできます。
静粛性
エンジン負荷の小さいハイブリッドシステムを搭載。さらにマイナーチェンジによってエンジンノイズが抑えられ、大きく静粛性が向上しています。
パワーユニットとミッション
1496cc・直列4気筒DOHCエンジンに、CVT(無段変速機)が組み合わされます。
最高出力74ps/4800rpmと、最大トルク11.3kgf・m/3600-4400rpmを発揮。
電気モーターは、61psの最高出力と、17.2kgf・mの最大トルクを発揮。
車両重量1100kg。JC08モード燃費は、34.4km/l。
パワーユニット
1.5Lツインカムエンジンと電気モーターによるハイブリッドシステムで前輪を駆動(FF)。パワーユニット自体はベースグレードと同じです。低速トルクのぶ厚い電気モーターによって、出足はスムーズで力強い印象。中速域からアクセルを踏み込むと素早く電気モーターのアシストが加わり、ダイレクトで力強い加速をみせます。
トランスミッション
ハイブリッドシステム全体で変速機の働きを担う「電気式無段変速機」を装備。厳密にはトランスミッションではありませんが、なめらかで力強いフィールを生み出します。
乗り心地とハンドリング
前輪にマクファーソン・ストラット式サスペンション、後輪にはトーションビーム式サスペンションを装備。前輪のみスタビライザーで強化されます。
乗り心地
スポーティに引き締まった乗り味。目地段差やジョイントでは、路面からの衝撃をゴツゴツと車内に伝えます。
185/60R15タイヤに、専用チューニングサスペンションを装備。スポット打点追加によりボディ剛性も強化されています。
ハンドリング
キビキビとしたスポーティなハンドリング。元々重心の低いアクアをベースにしているため、運動性能の限界は高いです。
軽快感を高めながらも、しっかりとリアの接地性を確保。コーナリング中の安定性が高く、一体感のある走りを実現しています。
最小回転半径は4.8m。狭い場所での切り返しも簡単です。
その他
先進安全技術はレーザーレーダーと単眼カメラを使った「TOYOTA Safety Sense C」を搭載。このパッケージには「プリクラッシュセーフティシステム」や「レーンディパーチャーアラート」、「オートマチックハイビーム」といった機能が含まれます。
【レビュー】のまとめ
「トヨタ・アクア G GR SPORT」は、5ナンバーサイズのコンパクト・ハイブリッドカー「アクア」をベースにスポーティな足回りやボディ剛性の強化、専用エアロパーツを装備したメーカー純正コンプリートカーです。
乗り味はスポーティに引き締まっており、標準グレードとは雲泥の差があります。その分、ハンドリングもキビキビとした切れ味の良さを実現。まるでホットハッチのような軽快感があります。
パワーユニットは標準グレードのままですが、軽量ボディと組み合わされ力強さは必要十分。パワーに対して足回りが勝った状態ですから、安心してスポーツドライビングを楽しむことができます。
「コンパクトなハイブリッドカーを探しているが、走りの楽しさも捨てられない」とか、「他の人と違う個性的なハイブリッドカーが欲しい」なんて人にピッタリな車です。
中古車市場では
「トヨタ・アクア G GR SPORT 17インチパッケージ」で240万円前後。2013年式「トヨタ・アクア G G’s」なら150万円前後となります(2018年3月現在)。
価格
価格 | 2,332,800円(消費税込み)