東京都江東区有明にある国際展示場、通称「東京ビッグサイト」で2017年10月25日から11月5日にかけて開催された「東京モーターショー2017」(10月27日はプレスデイ。一般公開は10月28日から11月5日)。
この会場のヤマハ発動機ブースで、自動二輪タイプの概念検証実験機「MOTOROID」がワールドプレミア(世界初公開)されていました。
今回も会場で撮影した写真とともにレポートします。
新しい感動体験の創出を目的に、知能化技術というインテリジェンスを用いて、「人とマシンが共響するパーソナルモビリティ」を目指す概念検証実験機です。開発コンセプトは、「UNLEASHED PROTOTYPE(常識からの解放)」。オーナーの存在を認識するなどまるで生きているようなインタラクション(相互作用)機能を持ち、こうしたチャレンジに取り組みながら、新しい価値を生み出す技術の獲得を目指しています。
引用:ヤマハ発動機公式サイト
ヤマハ発動機「MOTOROID」の概要
「MOTOROID」は、自立走行システムとAI、顔認証システムを組み合わせた自動二輪タイプの概念検証実験機です。つまりハリボテのコンセプトカーと違って、実際に稼働や走行するためのメカニズムが組み込まれているわけです。
主要なコンセプトは、「アンリーシュド・プロトタイプ(常識からの開放)」。バイク自身が自分でバランスを取って起き上がり、その場に静止、もしくはペットのように人間の表情や動作を読み取って作動したり、走行することができます。
「MOTOROID」を構成する様々な新技術
人間の表情や動作を読み取るにはiPhoneXなどでおなじみの「顔認証システム」が使われ、自律走行には「AMCES(アムセス)」と呼ばれる自立バランス制御技術が使われます。
特に「AMCES(アムセス)」による制御は面白く、「AMCES軸」と呼ばれる車体を貫く軸を中心にバッテリーやリアアームを旋回、車体のバランスを制御するという仕組みです。
文章で読むとピンとこないかもしれませんが、一度添付してある動画で確認してみてください。まるで動物のような滑らかでスムーズな動きに感動するはずです。
ライダーとの一体感を高める「ハプティックHMI」とは
さらにライダーとバイクの一体感を高めるために「ハプティックHMI」というシステムが導入されています。これは、ライダーを前から支えるタンク部分(電動車なので本物のタンクではありませんが)と、後ろから腰を支えるY字型のバーがフレキシブルに可変してドライバーの身体を抱きかかえるようにフィットするというものです。
この「ハプティックHMI」システムの説明には、「直感的な情報のやり取り」という文章がありますので、このデバイスを通じてバイクの操作、およびバイクからも何らかのフィードバックがもたらされるのでしょう(このあたりは具体的な解説が無いので単なる想像です・・・)。
ヤマハ発動機「MOTOROID」の外観
「MOTOROID」の外観は、単なるバイクというよりも、SFやアニメに出てくる、生物と機械をかけ合わせた近未来マシーンのようです。
フロント
ロボットの顔のようなフロントカウルに、ステアリングが装備されます。むき出しのフロントタイヤと、ぶ厚いフレームがこのバイクにただならぬ雰囲気を与えています。
サイド
生物の骨と機械を組み合わせたような、サイバーなサイドビュー。ボディを斜めに貫くぶ厚いフレームが、バランス制御の根幹となる「AMCES軸」です。
リア
ぶ厚いリアタイヤに、恐竜の化石のような「ハプティックHMI」デバイス。エヴァンゲリオンのような「03」ナンバーが無機質に染め抜かれ、SFっぽい不思議なカッコよさがあります。
主要スペック
項目 | スペック |
---|---|
電気モーター | リチウムイオン・ホイールモーター |
バッテリー | リチウムイオン・バッテリー |
全長x全幅x全高 | 2060mmx600mmx1090mm |
車輌重量 | 213kg |
販売予定
「MOTOROID」は、概念検証実験機ですから実際の販売予定はありません。ただし、今後発売されるYAMAHA製品には、基幹技術として応用されていくはずです。