現在主流となっている変速機構、ATとMTには、それぞれまったく違った仕組みで設計されているため、そのメリットとデメリットにも大きな違いがあります。
それに合わせて、新車で購入する時はもちろんのこと、中古で車を購入する時に注意するポイントも違います。今回は、そんなATとMTについて、それぞれのメリットとデメリットについて併せて解説したいと思います。
AT車のシェアが増加して、逆にMT車は減少している
AT車は、30年くらい前から除々に販売台数が増え、現在、販売されているほとんどの車がAT車といった状況です。これに対してMT車は、一部のマニアックな車に限って細々と販売されているだけです。
これは高級スポーツカーの世界でも同じで、全体的にAT車の販売台数が増え、MTの設定が無い車種も多いです。
AT車のメリットとデメリット
AT車のメリットといえば、なんといっても運転が楽になることにつきます。
これに対してデメリットとしては、車両本体価格が高くなるとか、運転する楽しみが少なくなるといった事が挙げられますが、そもそもMTの設定が無い車種も多く、価格が高いというデメリットはほとんど感じられません。運転の楽しみは確かに減りますが、「デュアルクラッチ・トランスミッション」という特殊なATを装備すれば、MT並のダイレクト感と、MT以上の変速スピードを味わうことができます。
MT車のメリットとデメリット
MT車のメリットとしては、運転の楽しさや、燃費の良さ、車両本体価格の安さといったものがあげられます。
逆にデメリットとしては、運転が煩雑で煩わしいとか、スムーズに走らせることが難しい、渋滞の時に疲れてしまうといったことがあげられます。
メンテナンス上の注意点
そのほかにMT車には、クラッチ板の消耗といった、メンテナンス上の注意点もあります。クラッチ板の摩耗は使用状況により大きく異なりますが、通常は、3万キロごとにクラッチ板の交換が必要になるでしょう。
これに対して、トルクコンバータ方式のATやCVTの場合は、金属製のクラッチ板が自体が存在しません。そのため、クラッチ板の交換というメンテナンスは生じません。ただし、ATにはATフルード(ATF)というオイルが使われています。このATフルードは古い車であれば、3万キロごとの交換。新しい車の場合はその車種によって10万キロごとの交換を推奨されていることもあります。このあたりはそれぞれの車種によって大きく違いますので、取扱説明書を確認するか、直接ディーラーに問い合わせてください。
ただし、MT車の場合は、摩耗したクラッチ板を放っておいても、ただクラッチが滑るだけで済みますが、AT車の場合は、ATフルードを劣化したまま放置していると、トランスミッション自体が壊れてしまいます。こうなると10万円から数十万円といった高額な修理費用は避けられません。
そのためAT車を中古で購入する時は、ATフルードの交換状況を確認し、3万キロ以上を無交換で走っている場合は、念のため新しいATフルードの交換してもらった方が無難です。MT車の場合は「試乗で滑りを感じればクラッチ板を交換してもらう」といった程度で十分です。