今回の旧型レポートは「ホンダ フィット シャトル 15X」。
2011年から2015年に渡って製造販売されていた、小型の5ドア・ステーションワゴンです。
2代目フィットをベースに後部のオーバーハングとルーフを延長、ステーションワゴンにふさわしい広大な荷室を確保しています。
実質的には先代エアウェイブの後継車種ですが、フィットの外観とイメージを上手く活用することで、パーソナルで若々しい車に生まれ変わりました。
2013年にマイナーチェンジを実施、フロントフェイスを中心にデザイン変更が行われています。
外観
全長4385mmX全幅1695mmX全高1540mmのボディサイズを持ち、ホイールベースは2500mmとなります。
フロント
フロント周りはベースの2代目フィットとほとんど同じですが、北米モデルのパーツを流用することで、グリルやバンパーに微妙な変化をつけています。
フィット同様、クリーンでボリューム感のあるフロントフェイスです。
サイド
Cピラー以降に大きなカーゴルームが装備されるため、サイドビューの印象はベースのフィットと大きく異なります。ただし、実際には「サイドドア」や「サイドガラス」が共通化されており、コストダウンのための涙ぐましい努力が垣間見えます。
キビキビとした軽快感を感じさせるフィットに対して、この「フィット・シャトル」は伸びやかでゆったりとしたサイドビューを構成しています。
リア
Dピラー(一番後ろの柱)がブラックアウト化され、ステーションワゴンらしい重厚感のあるリアエンドに仕上がっています。リアコンビランプの形状はベースのフィットと同じですが、クリアレンズを使うことによって大人っぽい印象を感じさせます。
内装
プラスチッキーな質感の樹脂が使われ、コンパクトカーレベルの質感です。メーターナセル内には砲弾型の三眼メーターが装備され、ちょっとやる気にさせられます。
アップライトなポジションと短いノーズによって、眼前には広々とした視界が拡がります。名車フィットをベースとしているだけのことはあり、運転のしやすい車です。
シート
前席には、フィットより一回り大きなシートが装備され、表皮もスウェード調の上質なものがおごられます。適度なゆったり感とコシのある快適なシートです。体圧の集中も少なく、長距離ドライブでも快適に移動することができます。
ルーフが後ろまで延長されているため、後席の余裕はフィット以上です。足元、頭上空間ともにたっぷりとした空間が確保されています。成人男性二人が座っても窮屈になることはありません。
フィット同様に、リアシートを跳ね上げることによって、背の高い荷物(植木鉢など)を立てたまま積むことも可能です。
荷室
ホイールベースはフィットと同じものの、荷室スペースは大幅に拡大されています。家族4人であればキャンプからバーベキューまで自由に楽しむことができます。リアシートを折り畳むことで、さらに荷室を拡大することができます。このモードであれば自転車をそのまま積むことも可能です。
大きく開く跳ね上げ式のリアゲートが装備され、嵩張る重い荷物の出し入れも比較的簡単に行うことができます。
静粛性
フィットと比較すると、ガラスの厚さが増し静粛性が向上していますが、アクセルを踏み込むとエンジン透過音が気になります。
エンジンとミッション
1496ccの直列4気筒SOHCエンジンに、CVT(無段変速機)が組み合わされます。
エンジンは、120ps/6600rpmの最高出力と、14.8kgf・m/4800rpmの最大トルクを発揮します。
車両重量1150kg。JC08モード燃費は、18.8KM/L。
エンジン
1.5Lのシングルカムエンジンで前輪を駆動。やや高回転型のエンジンですが、よく出来たCVTと相まってシーンに合わせて適切なトルクを発生します。市街地など日常モードであればパワー不足を感じることはありません。ただし、荷物や人を満載して坂道を登るような場面ではもっさりとした印象となります。
あらゆるシーンでキビキビと走りたいという人には、1.3Lエンジン+電気モーターのハイブリッド版をオススメします。
トランスミッション
ベルトとプーリーによって、連続的に変速するCVTを装備。高回転型のエンジンをしっかりと回して適切なパワーを絞り出します。
足回りとハンドリング
前輪にマクファーソン・ストラット式サスペンション、後輪には車軸式サスペンションが装備されます。
足回り
フィットよりも僅かに車重が増えていることも手伝って、ゆったりとしたしなやかな乗り心地を実現しています。
ただし、その分シャキッとした剛性感が弱まり、高速域ではフラフラと落ち着かない動きをみせます。
ハンドリング
フィットのキビキビとした軽快なハンドリングから、穏やかでゆったりとした大人っぽい動きに生まれ変わっています。ステアリングフィールが少し曖昧で、走りの喜びはいまひつです。
ホイールベースはフィットと同じですから、長いボディのわりに最小回転半径が小さく、狭い路地でも簡単に切り返すことができます。
評価のまとめ
ベースとなるフィットのコンポーネントを最大限に活かして、広大な荷室と大人っぽい快適な乗り心地が与えられています。フィットの若々しくパーソナルなイメージをしっかりと引き継いでいることも、このフィット・シャトルの大きな魅力です。
家族が増えてきて、「フィットではちょっと手狭だなあ」と感じている人や、「荷物や人をゆったりと積める余裕は欲しいが、あまり高級なミニバンやLクラスのワゴンは嫌だ」といった人にピッタリとハマる一台です。
2015年まで生産されていた比較的新しいモデルですが、新型が登場した後とあって、最終モデルであっても、100万円以内という比較的リーズナブルな価格から購入することができます(2017年10月現在)。
価格
新車当時の価格 | 1,800,000円(消費税込み)