車の前に子供や自動車が飛び出してきた時、最後に頼りになるのがあなた自身の操作による「パニック(緊急)ブレーキ」です。
といっても、パニック(緊急)ブレーキはただなんとなく踏み込めば良いというものではなく、素早く、強く、ブレーキを床に踏みつけるように操作する必要があります。
こんな事を言うと、「突然目の前に子供が飛び出してくれば、誰でもビックリして力一杯ブレーキを踏むのが普通でしょう」といぶかしげに思う人も多いです。
しかし、実際に力いっぱいブレーキを踏み込める人は限られています。多くの人はただなんとなく、ブレーキを踏み込むのが精一杯でしょう。
パニックブレーキを補助する「ブレーキアシスト」
自動車メーカーでは、こういった場面に備えて、あらかじめブレーキシステムの中に「ブレーキアシスト」という仕組みを装備しています。
ブレーキアシストとは、ブレーキペダルに設置されたセンサーによって、ブレーキを踏み込む「速度」と「力」を検知、その情報を総合的に計算して「今、ドライバーがパニックブレーキを踏んでいる」と判断した場合に限り、ブレーキの制動力を強制的に強める装置の事です。
これにより、ドライバーの踏力が十分でなくても、最短距離で車を停止させる事ができるわけです。
といっても、ブレーキアシストも完璧な装置ではありません。ドライバー自身で、きっちりとパニックブレーキを踏む技術を身に着けておいた方がより安心です。
運転講習を活用する
パニックブレーキを練習するといっても、普段の公道でこういった急制動を伴う操作をすることはできません。空いているスーパーの駐車場で練習しようと思っても、許可を出してくれるスーパーは無いでしょう。もちろん、無断で練習するなんて事は論外です。
こんな時には、JAFや自動車メーカーの行う「運転講習」や、教習所が行う「ペーパードライバー教習」が便利です。教習の為に別途お金が必要になりますが、自分で勝手に練習するよりも、より実際のパニックブレーキに近い状況で練習することができます。
また、車庫入れや狭い道の走り方、滑りやすい路面でのブレーキング、高速ブレーキングなど、あなたの技量に合わせて様々なメニューが組まれている講習もあります。
特に運転に自信の無い人や、しばらく車に乗っていなかったというペーパードライバーの場合は、一度講習を受けておいて損はありません。
参考:JAF運転実技講習会
動画を使ったイメージトレーニング
その他の練習方法としては、「YouTubeでドライブレコーダーによって撮影された『事故動画』を見ながら、イメージトレーニングをする」というものがあります。
これならお金も掛かりませんし、実際の映像を見ながらのトレーニングなので、臨場感は抜群です。ただし、足元には分厚い漫画雑誌や新聞の束を置いておき、「力強くブレーキを踏みつける」という感覚を身体に覚え込ますようにしてください。合わせて、駐車場に停止している愛車の中で、動画のシーンを思い出しながら力いっぱいブレーキを踏み込む練習をしておけば完璧です。あまり愛車を使って頻繁に練習すると車が痛みますので、この練習は最後の仕上げ程度で構いません。