超豪華なキャンピングカーは別として、ミニバンやワンボックスカーなど普通の乗用車は、いくら車中泊用にカスタマイズしてあるからといっても本来は移動のための道具です。室内でゆったりとくつろいだり、快適に眠るなんてことには向いていません。
車の中は狭く温度変化も激しいです。周りの騒音や光なんかもガンガン侵入してきます。とっさの場合に備えて、「すぐに動けるようにしておく」なんて備えも必要でしょう。始めから快適に寝たりすごしたりするために設計されたホテルや自宅とは、はなから条件や環境が異なるというわけです。
そんな車の中でなるべく快適に寝たりすごしたりしようとするなら、その環境にピッタリと合った服装や布団を用意することが重要になります。
今回はそのあたりの事を中心に掘り下げながら、車中泊を快適に行う方法について解説していきます。
ムシムシする夏の暑い日は
ムシムシする夏の暑い日は、布団や分厚いマットレスなんかは使わず、薄着のままシートをフルフラットにして眠りたくなります。
しかし、これでは身体から発散された汗がシートに染み込んで臭いや汗ジミの原因となります。シートの素材によっては表皮が肌に密着するので、それほど涼しくもありません。
シートの上に薄いタオルケットやシーツを敷く
こんな時は、シートの上にサラッとした通気性の良いシーツかタオルケットを敷きましょう。これなら、シートに汗が直接染み込むことを防げますし、通気性が良いので体感温度も下がります。シートの上に敷く敷物
は、普通のタオルケットやシーツの他に、家庭用に販売されている「冷却用マット」や「除湿マット」なんかも使えます。わざわざ高価な専用グッズを買う必要はありません。
寝る時は必ず着替える
人間は寝ている間に大量の汗をかきます。車中泊の時は、同じジャージで朝から就寝まで過ごすなんてズボラなことはせず、寝る前に就寝用のパジャマに着替えましょう。「俺はジャージでないと眠れないんだ」という人はジャージでも構いませんが、必ず昼用のジャージとは別に就寝用ジャージを用意してください。
着替える手間は増えますが、シートに汗じみや臭いが付くのを防げますし、なによりも一日中同じジャージで過ごすよりずっと快適です。
過ごしやすい日の多い春や秋は
春や秋は蒸し暑い夏に比べるとずっと過ごしやすいですが、基本的には夏の用意と変わりません。通気性の良い夏用のシーツやタオルケットをちょっとだけ厚めのモノに替え、秋春用のパジャマやジャージなど過ごしやすい服装で寝てください。夏よりは発汗量が下がるものの、身体から汗が出ることには変わりません。必ずシートの上にはシーツやマットなど、なにか汗を遮るモノを敷いてから寝るようにしましょう。
寒さの厳しい冬は
寒さの厳しい冬は厚手のマットレスや毛布、布団なんかが最適です。シートをフルフラットにしてその上にマットレスを敷き、さらにその上から毛布や布団を敷きます。身体の上には肌触りの良い毛布を直接掛けますが、寒さの度合いによって布団を掛けたり毛布の枚数を増やすなどして調整してください。
ただし、布団を上下セットで持ち込むと相当かさばります。荷物が多かったり室内が狭い場合はスッパリと布団を諦め、寝袋を持ち込んだ方が無難です。寝袋はリラックス度で若干布団に劣りますが、保温性能では圧倒的に布団を上回ります。
僕が若い頃、真冬のスキー場で寝袋だけを使って車中泊をしたことがあります。この時は車の暖房を完全に切っていたものの、まったく寒くなることはありませんでした。もちろん、「直接車に寒風を当てない」や「冬用の寝袋を使う」など最低限の配慮はしていましたが。
寝袋を使っても十分な暖かさが得られない場合は、寝袋の中に毛布や薄手のタオルケット、バスタオルなどを必要に応じて足してください。
ただし、寝袋には「身体の動きを制限する」という欠点があります。中に毛布などを詰め込みすぎると身体が不自然に締め付けられ、「エコノミー症候群」などのトラブルを引き起こすかもしれません。寝袋を購入する時はある程度余裕のある自分の身体に合ったサイズを選んでください。中に毛布を追加する場合は、あらかじめその分の余裕を取っておくことも大切です。
面倒でも、服装を着替えた方がグッスリと眠れる
車中泊をする時は、昼間と同じ服装で寝た方が次の日に着替える手間が無いので簡単です。その分、荷物を減らすことにもなりますので、「車中泊中は朝から晩まで同じ服装で過ごす」なんて人も多いんじゃあないでしょうか。
ただし、一泊程度の車中泊であればそれでも構いませんが、何日も連泊する予定がある場合は汗や汚れが溜まって不潔です。気分を変えることもできないので、「疲れが取れにくい」なんてこともあります。
こんな時は、たとえ面倒でも寝る度に着替えるのが一番です。ゆったりとした着心地の良いジャージやパジャマに着替えれば、身体を不自然に締め付けることもありませんから、十分な疲労回復が期待できます。「さあ、ゆっくり休むぞ!」と簡単に気分も切り替わりますので、精神的な疲労も一気に和らぐというものです。