街をドライブしていると、片手をドアに置いたり、アームレストやシフトノブの上に片手を置いたまま運転をしている人を見かけます。
特に運転に慣れたベテランドライバーに、こういっただらしない運転をする人が多いです。
しかし、ステアリングを操作する上で大切なポイントは、何よりもステアリングを両手でしっかりと握るという事です。
だらしない片手運転は危険
こんなだらしない格好で運転していると、万が一の時に十分な操作ができません。
例えば、急に道が凸凹したり、凍結路や濡れたマンホールに乗り上げた場合です。こんな時、片手でステアリングを握っていたのでは、とても的確な操作はできません。良くて脱輪、運が悪ければ対向車線にはみ出して大きな事故を起こす事になります。
こんな緊急事態の時だけでなく、予想以上にコーナーの角度がキツイ場合も、片手だけでは修正作業が間に合いません。慌ててステアリングを切りすぎればスピン、ステアリングが遅れればコースアウトして崖の下へと落下してしまうでしょう。
「自動車メーカーがわざわざアームレストを付けているんだから、片手運転をしても別に問題ないでしょう」という人がいます。しかし、これは大きな誤解です。アームレストはドライブ中に腕を載せる場所ではなく、あくまでも停車中に腕を休ませるために装備されているのです。
ステアリングの正しい握り方
ステアリングの正しい握り方としては、ちょっと肘が曲がるくらいの余裕を持って、両手でステアリングの「10時50分」のあたりを握ることです。
人間の骨格はその個人によって千差万別です。そのため、このポジションがしっくりこない場合は、「9時15分」や「8時20分」でも構いません。
また、ドライブで腕が疲れてくれば、この範囲内で自由に握る場所を変えても差し支えありません。この時、両手の位置が左右対称である必要もありません。握りやすい位置で自由にずらしてください。
力の入れすぎも、かえってスムーズな運転を妨げる
だらしの無い運転をするベテランドライバーとは対照的に、緊張のあまり腕に力が入りすぎている初心者ドライバーの握り方も危険です。こんな握り方では、万が一の時にスムーズなステアリング操作を行うことができません。
ステアリングは両手で確実に握ると同時に、肩に力を入れ過ぎず、軽く手の平をステアリングに押し付けるようにして、あとは残りの指を使って優しく包み込むように握ります。こうすれば、腕や肩に力が入りすぎることもなく、スムーズで的確なステアリング操作を行うことができます。
ステアリングには路面情報を伝達する機能もある
ステアリングには、「真っ直ぐに車を直進させる」とか、「車を思った方向に向ける」といった機能の他に、「路面からの的確な情報を伝える」という機能があります。
しかしステアリングを片手で握っていたり、力を入れすぎて握っていると、こういった的確な路面情報を得ることは難しくなります。
特に、凍結路に乗り上げた時や、タイヤが水溜まりに乗り上げることで発生する「ハイドロプレーニング現象」の時は、こういった路面情報がとても重要です。ステアリングから的確な路面情報を得ることができていれば、すぐに状況に応じた操作ができるので、大きなトラブルや事故に繋がることはありません。こういった意味からも、ステアリングを両手で確実に握るということは大切なのです。