中古車の「状態」や「程度」見分ける指標として、「登録年度」や「走行距離」といったものが良く利用されます。
例えば、登録されて3年しか経っていないのに、10万キロ以上も走っていれば「過走行車」としてあまり良い評価はされません。逆に、登録から5年が経過しているのに、1万キロも走っていない車の場合は、車庫に放置されていた期間が長すぎるとして、これも良い評価にはつながりません。
中古車でベストな登録年度と走行距離の関係は、一般的に「1年につき1万キロ」と言われています。この程度の走行距離であれば、「機械が適度に作動してコンディションの良い状態が保たれている」と判断されます。
「走行距離メーター」の改ざんを防ぐことは出来ない
しかし、悪徳な中古車販売業者の中には、この事を逆手に取って距離メーターを違法に巻き戻したり、メーター自体を取り替えてしまう業者もいます。基本的に走行距離メーターにはこのような改ざんを防ぐ仕組みが備わっていますが、悪徳業者はこの仕組を上手くかわすテクニックを持っています。また、メーターの改ざんを専門に請負業者までおり、事実上メーターの改ざんを防ぐことは不可能なのです。
といっても、いくら走行距離メーターを改ざんしたからといっても、ボディや内装に残る「使用感」や「経年劣化」というものだけは隠しきれません。
素人が「走行距離メーター」の改ざんを見破るには?
その中でも、素人にも簡単に見分けられるポイントが「シートのヘタリや劣化」といった部分です。
運転席のシートは、車を運転する度に必ず使われる部品です。そのため、走行距離が伸びれば必ずシートも劣化してしまうのです。
具体的には、表面的なスレや汚れ、シート生地の変色、実際に座った時のスポンジやスプリングのヘタリ具合といったポイントを重点的にチェックします。シートのヘタリについては、助手席と座り比べてみる事で簡単に調べがつきます(運転席シートの方が使用頻度が高いため、距離が伸びるほど、助手席とのヘタリ具合に大きな差が生まれる)。
走行距離メーターが3万キロ程度なのにも関わらず、シートがボロボロだったり、ヘタリが激しく進行していれば、その車のメーターは改ざんされている可能性が高いといえます(通常、3万キロ程度であれば、目に見えるほどの激しい劣化はおこりません)。
その他にも、ステアリングの劣化具合についても同じように判断材料となります。樹脂に手垢がついてテカテカになっていたり、革素材が擦り切れて変色していれば、5万キロ以上走った車の可能性が高まります。
会社役員用の高級車は要注意!
ただし、前のオーナーが個人ではなく、会社役員の場合は見分けが困難になります。
高級車を役員用の社用車として使う場合、遠方の支社や取引先に車で移動したり、商談を兼ねたゴルフに出かけるため、長距離を頻繁に走行している事が多いです。
その結果、3年で10万キロといった過走行車になりがちです。また、役員が使う社用車は、営業用の社用車と違ってしっかりとした管理が行き届いています。そのため、過走行車にも関わらず、比較的シートやステアリングがキレイに保たれているのも特徴です。
こんな車が中古車市場に出回れば、「見た目だけが新しく、走行距離が極端に長い」といった、違法に走行距離メーターを巻き戻すにはうってつけの車となるのです。
ここからさらにしっかりとしたクリーニングとワックスを施せば、素人に見分ける術はありません。そのため、こういった車は初めから選択肢に入れない事が肝心です。