車を安全に走らせるには、目から入ってくる「視覚情報」を有効に活用することが大切です。
例えば、横断歩道を渡りそうになっている人がいれば、「手前の停止線で停まって歩行者を渡らせる」とか、道路の脇をフラフラと自転車が走っている場合は、「なるべく自転車から離れてゆっくりと通り過ぎる」といった具合です。
これに対して「予測」や「勘」に頼った運転は、「歩行者は飛び出してこないだろう」とか、「自転車はそのまままっすぐと走り、車道に飛び出して来ないだろう」といった「だろう運転」になりがちです。
こういった「だろう運転」では、確実な安全は保証されません。歩行者や自転車の気分ひとつで、大惨事に繋がることもあります。
狭い路地で、十分な「視覚情報」を得るには
視覚情報の乏しい狭い路地で、びっくりする程速い速度を出してガンガン飛ばす人がいますが、これでは目をつぶって運転しているのとほとんどかわりません。突然次の角から子供が飛び出してきたら、どうするつもりなんでしょう?
こういった場所でしっかりと視覚情報を入手しながら走るには、速度を抑えていつでも停止できるように徐行するしかありません。
その上で路上の脇に車が止まっていれば、その影から人や自転車が現れないか、常に注意しながら走ります。また、住宅や商店に大きな窓があれば、その窓に死角の様子が映っていないかも確認してください。住宅街には大きなカーブミラーが設置されていることもあります。こういった設備もしっかりと活用して、沢山の視覚情報を手に入れてください。
また交差点で右折待ちしているとき、信号に「右折の矢印」が点灯したからといって、すぐに右折を始めてはいけません。対向車線から信号を無視して突っ込んで来る車は無いか、横断歩道を渡っている歩行者や自転車はいないか、しっかりと安全を確認してから右折を始めましょう。
「ドラミラー」や「ルームミラー」を有効に活用する
このように、「視覚情報」を活用して安全に運転するためには、「どれだけ沢山の視覚情報を手に入れることができるか」といった事が重要になります。そのためには直接目視をするだけでなく、ドラミラーやルームミラーも有効に活用してください。
例えば、複数車線を走っている時は、前後左右にどんな車が、どの位置に、どんな状態で走っているか、常に把握しておきます。といっても、常にミラーばかりに気を取られていてはかえって危険です。ミラーはチラッと(ただし頻度は安全な範囲でなるべく多く)見る程度にとどめ、主要な視覚情報はやはり直接目視により入手してください。
安全運転には「どの視覚情報が必要なのか」考えながら運転する
また、視覚情報を入手するには、「どの部分を見るか」という事も大切です。これは、ただ漠然と全体を見渡すだけではなく、「安全な運転にはどの視覚情報が足りないのか」常に考えながら運転する事を意味しています。
例えば、道路の脇に大きなバスが停車していれば、「バスの影から人が飛び出してこないか」、「バスの下に人の足が見えていないか」といった事を確認するのです。
遅い前走車を追い抜く場合は、見通しの良い直線で、対向車線に車がいない事を十分確認した後、ウィンカーを出してスムーズに追い抜きます。これに対して見通しの悪いカーブでは、得られる視覚情報も限られます。こんな場所で「一か八か行ったれ!」なんて博打のような運転をしていると、いつか痛いしっぺ返しを受けることになります。