今回の旧型レポートは「初代 サーブ 9-5 SE 2.3t(1997年)」。
1997年にモデルチェンジが行われたMクラスの高級セダンです。日本市場では1998年より販売され、途中マイナーチェンジを経て、2010年まで製造されていました。この他に「エステート」と呼ばれるステーションワゴンもあります。
2011年に破綻したスウェーデンの自動車会社「サーブ」が誇るフラッグシップサルーンで、かつて販売されていた「サーブ9000」の実質的な後継車種でもあります。
当時、GM傘下となったサーブは、オペル・ベクトラのフロアパネルに、自社開発した2.3Lエンジンを載せることでこの車を成立させています。
外観
全長4815mmX全幅1795mmX全高1450mmのボディサイズを持ち、ホイールベースは2705mmとなります。
フロント
個性的なグリルに羽根のような形状のヘッドライトが組み合わされ、サーブならではの個性的で大人っぽい雰囲気を醸し出しています。
サイド
薄く低いノーズに立ち気味のAピラー。後部に行くにしたがって除々に切れ上がるショルダーライン。ひと目でサーブと認識させる独特のシルエット。なんとも言えないカッコよさがあります。
リア
当時のホンダのようなシンプルなリアエンドです。味の濃いプロポーションに絶妙のメリハリがついて、スタイリングをグッと引き締めています。
内装
大らかな曲線を多用した個性的なスカンジナビアデザインが施されます。上質なプラスチックにしっとりとした本革が組み合わされ、上質感もドイツ高級車と遜色ありません。
シート
しっとりとした手触りの本革に、適度にコシのあるクッションが組み合わされます。前後シートともにシートヒーターが標準装備され、リラックスできる極上のシートです。
リアシートの居住空間には、足元、頭上空間ともに広々とした余裕があります。シートの作りも上質で、長時間移動も快適です。
荷室
間口の広い、広大なトランクスペースが装備されます。家族4人でキャンプにバーベキューにと、自由に楽しむ事ができます。
静粛性
高級サルーンにふさわしい高い静粛性を持ちます。
エンジンとミッション
2290ccの直列4気筒DOCHターボエンジンに、4速ATが組み合わされます。
エンジンは、170ps/5500rpmの最高出力と、28.5kgf・m/1800rpmの最大トルクを発揮します。
車両重量1570kg。10モード/10・15モード燃費は、8.6km/lとなります。
エンジン
2.3Lのツインカム・ターボエンジンで前輪を駆動します。極低速域で最大トルクを発揮するため、街中など日常域では、キビキビとした抜群の使い勝手の良さがあります。
この後、トップグレードとなる「グリフィン3.0t」が発売され、V6のツインカムターボエンジン(31.6kgf・m)が搭載されています。
このV6エンジンは「ロープレッシャーターボ」で過給されており、大排気量自然吸気エンジンのようなナチュラルでスムーズなフィールを持っていました。低速域のトルクも2.3L以上で、街中から高速域まであらゆるシーンで力強い走りを体感できます。
トランスミッション
スムーズかつダイレクトなフィールの上質なトランスミッションです。
足回りとハンドリング
前輪にマクファーソンストラット式サスペンション、後輪にはマルチリンク式サスペンションが装備されます。
足回り
重心が低く、安定感がある。やや引き締まったスポーティな足回り。初期入力でスムーズにサスが動くため、角の尖った粗さは感じられません。
ハンドリング
ハンドリングセンターには適度な遊びが設けられています。ドライバーの入力に対してリニアに反応する気持ちの良いステアリングフィールです。
評価のまとめ
残念ながら自動車会社としてのサーブは、2011年に消滅しています。それでも独自の価値観を持った上質な車作りは、今見ても充分魅力的です。
特にこの世代のサーブには、それまでの個性がやや薄まったとはいえ、サーブならではの上質でアバンギャルドな個性が脈々と受け継がれています。
ベンツやBMWではありきたりで面白く無い、もっと自分の個性を表現できる濃い~車が欲しいという大人にピッタリな一台です。
価格
新車当時の価格 | 5,150,000円