現在の市販車は、見栄えのカッコよさを求めて、どんどんとホイールの大きさが拡大されています。
スポーツカーであれば18インチは当たり前、高性能なスポーティセダンでさえ、スポーツカー顔負けの大きなホイールを装備する事があります。
加えてアフターマケットに目を向けると、市販車を超える19インチや20インチの大径ホイールも販売されています。
このように大きなホイールを装着して、市販車のホイールサイズを拡大する事を「インチアップ」と呼び、カスタマイズのメジャーな手法となっています。
インチアップのメリットとデメリット
このインチアップと呼ばれるカスタマイズ手法ですが、車の外見をぐっとカッコよくするといったメリットの他に、乗り心地を悪化させるといったデメリットがあります。
例えば、14インチのホイールを15インチに拡大する時、ホイールが大きくなった分だけ、タイヤのゴム幅(横から見た時の)を薄くする必要があります。
というのも、タイヤホイールが大きくなったからといって、タイヤハウスの大きさは変わりません。そのため、タイヤをタイヤハウスに収めるには、タイヤのゴム幅を薄くするしかないのです。
タイヤのゴム幅が薄くなるという事は、同時に、地面からの衝撃を吸収しづらくなるという事でもあります。
ダンパーやバネ、ブッシュ類を高性能なものに変えれば、いくらか衝撃を緩和することもできますが、足回りのセッティングをそのままに、ホイールをインチアップしてしまえば、それはすべて乗り心地の悪化となって返ってきます。
スポーティなハンドリングと共に失うものもある
また、ホイールの適切なインチアップは、ハンドリングの応答性を上げ、キビキビとしたスポーティな乗り味をもたらします。これは一見メリットのように聞こえますが、同時にハンドリングが神経質になり、常にシビアなコントロールを必要とすることでもあります。
轍のある路面では、ハンドリングを取られやすくなりますので、長距離ドライブでは大きな疲れを感じるでしょう。スポーティな乗り味が好きといった人には良いのですが、快適な乗り心地を求める人には向きません。カッコイイ外観やスポーティな乗り味を求めれば、それに伴って失うものも多いという事です。
そのため、ホイールをインチアップしたいという時には、自分で好みのホイールを選ぶだけではなく、知識の豊富なショップやディーラー等で相談してから装着するようにしてください。
また、スタッフに相談する時には、「乗り心地とカッコよさをある程度両立させたい」といった具合に、自分の好みをしっかりと伝えてください。