今回の試乗レポートは「初代 マツダ ベリーサ」。
2004年に登場したコンパクトな5ドア・ハッチバックです。
デミオと共通する「DYプラットフォーム」が使われるものの、高級感のある内外装に加えて静粛性の向上が施され、ちょっと上質な車づくりが行われています。
その分、価格も割高で、コンパクトカーとしては強気の153.3万円からという価格設定がされていました。
2015年、デミオと統合される形で販売が終了しています。
外観
全長3975mmX全幅1695mmX全高1530mmのボディサイズを持ち、ホイールベースは2490mmとなります。
フロント
若干背の高いボディに、がっしりとしたフロントノーズ、ひし形の個性的なヘッドライトが組み合わされ、上質で穏やかな表情が与えられています。
サイド
がっしりとしたフェンダーに大きなキャビン、ボディー下部に装備されたブラック樹脂によって、SUVのような力強いスタイリングです。
リア
リア周りにはがっちりとした骨格があたえられています。スクウェアな形状のキャビンと相まって、端正で重厚感のあるリアエンドを形づくっています。
内装
デミオ譲りの広々とした室内空間です。上質な樹脂とミニコンポのようなセンタークラスターが組み合わされ、プレミアムカーにふさわしい個性的な室内空感です。
メータークラスターには、大きな2眼メーターが組み合わされ視認性も良好です。
シート
フロントシートには適度な硬さとコシがあり、長時間座っていても疲れにくいです。厚切り食パンのような、いかにも座り心地の良さそうなシート形状です。
リアシートはベースとなったデミオよりも若干シートバックが拡大され、居住性の向上が図られています。頭上、足元ともに適切なスペースが確保されていますが、若干シートクッションのコシが弱く、長時間座っていると腰が痛くなってきます。
荷室
デミオよりも全長が拡大されている事もあり、コンパクトカーとしては十分広い荷室容量を確保しています。家族4人で2泊3日旅行程度であれば十分にこなすことができます。
静粛性
遮音材がたっぷりと追加され、デミオよりも静かな室内空間を実現しています。ただし高速域では、風切音、ロードノイズともに大きくなります。
エンジンとミッション
1498ccの直列4気筒DOHCエンジンに、4速ATが組み合わされます。
エンジンは、113ps/8000rpmの最高出力と、14.3kgf・m/4000rpmの最大トルクを発揮します。
車両重量1100kg。10モード/10・15モード燃費は、16.8km/lとなります。
エンジン
1.5Lのツインカムエンジンで前輪を駆動します。コンパクトカーとしては十分なトルクを持ちますが、極低速域でのトルクが薄く若干で足でもたつく事があります。
また、キツイ上り坂に差し掛かるとガーガーと苦しそうなうなり音を発します。
トランスミッション
エンジンを高回転まで回して変速するため、燃費が悪く、シフトショックも大きめです。
足回りとハンドリング
前輪にマクファーソンストラット式サスペンション、後輪にはトーションビーム式サスペンションが装備されます。
足回り
ダンパーやバネといったメカニカルな部分はデミオと共通ですが、より柔らかなセッティングが施され、プレミアムカーにふさわしい快適な乗り心地が与えられています。
高速安定性も高く、長距離ドライブも快適にこなします。
ハンドリング
コンパクトなボディを活かして、狭い場所でもクルリと向きを変えることができます。穏やかなステアリングフィールで、操舵量にたいしてリニアにノーズが反応するため、疲労が溜まりにくく快適にドライブを続けることができます。
評価のまとめ
「コンパクトな高級車」というコンセプトは昔から繰り返し提案され続けていますが、実際にプレミアムカーを作るためには、足回りやフロア、エンジン、トランスミッションに膨大なコストが必要となります。それをコスト要件の厳しいコンパクトカーで成立させるというのは簡単な仕事ではありません。
その中でこのベリーサは、ベースとなるデミオのフロアを上手く使って、それなりに上質な車を成立させています。
足回りやエンジンはデミオそのものですから、乗り続けていると次第に底の浅さが露呈します。ただし、153万円という価格を考えると全く不満の出るものではありません。
上質な内外装とちょっと静かな室内、快適な乗り心地を持つ上質なコンパクトカーです。さらに本格的なプレミアムカーを望むなら、BMWやアウディ、メルセデスベンツを買うしかありません。
価格
新車当時の価格 | 1,533,000円(税込み)