同乗者に不快な思いをさせない為には、タクシードライバーの運転が参考になります。
熟練したタクシードライバーの運転は、スムーズに目的の速度まで加速して、車体をギクシャクと不快に揺らすことはありません。スムーズかつめりはりのあるアクセルワークが特徴です。
ブレーキングの際にも、いきなり「ガツンっ」と急激に止まるような事はありません。徐々にそして確実に、スムーズでなめらかなブレーキングを行います。
不快なアクセルワーク
これに対して運転が下手な人のアクセルワークは、ガバッと空けたら急に戻すといった事を繰り返す、「0」か「1」かといったスイッチのような大雑把な運転です。
特に「自分は運転が上手くて、速い」といった、勘違いをしている人にこのようなギクシャクとしたアクセルワークをする人が多いです。
おそらくレーサーのドライビングテクニックを真似ているのでしょうが、レーサーは必要に応じて繊細かつ大胆にアクセル操作をした結果、必要な場面でたまたまダイレクトなアクセル操作をしているだけです。
実際のレーサーが一般道であのような運転をすることはありません。かえって普通の人以上に静かでスムーズな運転をするので、レーサーの横に同乗した人が驚くほどです。
ギクシャクとしたアクセルワークは、車を前後に不自然に揺らすことになります。同乗している人にとっては、この前後への不自然な揺れが一番気持ち悪いのです。体調が悪い時にこれをやられると、一発で車酔いしてしまいます。
同乗者に不快な思いをさせないためには、スムーズで優しいアクセル操作が必要です。かといって、「だらだらと中々目的の速度に達しない」といった緩慢な運転も考えものです。こういった運転は同乗者を不安な気持ちにさせるだけではなく、周りの交通の流れを大きく乱す原因となります。
同乗者に不快な思いをさせないためには、スムーズかつメリハリのあるアクセル操作を行ってください。
不快なブレーキング
同乗者を不快にさせるブレーキングは、アクセルワークと同じく、ギクシャクとした不自然なブレーキングです。
教習所で「ポンピングブレーキ」というブレーキングを教わったと思いますが、これはタイヤがロックしやすい場面で確実にブレーキングをするための技術です。最近の日本車には「ABS」が付いていますのでブレーキがロックする事はありません。つまり「ポンピングブレーキ」は、車体を不快に揺らすだけで何のメリットも無いのです。
また、後続車に予告ブレーキをしたい場合は、制動力の立ち上がらない範囲で軽くブレーキペダルを踏めば十分です。
スムーズなブレーキングを行うには、周りの流れを観察しつつ自分がどこで止まることになるか予測しながら運転します。
前走車の何台か前の車が赤信号で停車している時、「このまま行けば自分も停車する事になる」とある程度の予測がつきます。
その予測ポイントで急激にブレーキングして止まるのではなく、ある程度の距離から除々にブレーキを掛け始めゆとりを持って停車します。そうする事で、スムーズで違和感の無いブレーキングを行うことができるのです。
高度なブレーキングテクニック
ブレーキングから完全に停車する時、どんなにスムーズにブレーキングをしても、車が完全停車させるタイミングで「ガクッ」とした、不快なショックが発生します。
これは自動車の構造上ある程度仕方の無い現象ですが、この車が完全停止する瞬間、僅かにブレーキを緩めることで、この衝撃を吸収することができます。
ただし、このテクニックは道路の角度や気温、車の速度によって微妙にタイミングが変わってしまいます。CVTを装備する車ではさらに難易度が上がります。
そのため簡単に習得する事は難しく、長年の練習の積み重ねが必要になります。ただし、この練習はブレーキングをする度に何度でもチャレンジする事ができます。余裕のある時をみつけて繰り返し練習してみてください。