初代 メルセデスベンツ Aクラス A160(W168・1998年)【旧型レポート】斬新なサンドイッチ構造を持つ先進的コンセプト [GF-168033]

今回の旧型レポートは「初代 メルセデスベンツ Aクラス A160(W168・1998年)」です。
このAクラスは、1997年にデビューしたコンパクトサイズのミニバンです。日本市場では1998年より販売が開始されています。

当初、電気自動車の開発が念頭におかれていたため、フロアに二重構造を持つ「サンドイッチ構造」が採用されていました。

ただ、その後電気自動車の開発が遅れたため、ガソリンエンジンとディーゼルエンジンを搭載する普通のFF車としてのみ販売される事になります。

この重心の高い「サンドイッチ構造」が災いして、メディアによって行われた「エルクテスト」で転倒するというメルセデスベンツにあるまじき大失態をおかしてしまいます。

このテスト結果を受けて、メルセデスベンツではAクラスに対処療法的な見直しを行っています。その内容はサスペンションのセッティングの変更、タイヤサイズの見直しによる20mmの全高削減に加えて「ESP」というスタビリティコントロールの装備です。

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外観

全長3605mmX全幅1720mmX全高1575mmのボディサイズを持ち、ホイールベースは2425mmとなります。

フロント

フロントウィンドウと一体化した短いノーズに、メルセデスベンツらしいグリルとヘッドライトが装備されます。メルセデスベンツといえば、その「偉そうな顔」が大きなアピールポイントですが、このAクラスでは小さな面積に小じんまりとレイアウトされていることもあって、ちょっとSDガンダムやチョロQのような可愛らしさがあります。

といっても日本の軽自動車のような甘ったるい可愛らしさではありません。大人が乗っても恥ずかしくない苦味のある可愛らしさです。

サイド

トヨタ・イプサムのような、斬新なグラフィックのサイドウィンドウが装備されます。短い全長を最大限に活かすため、タイヤは四隅ギリギリに追いやられています。全高もたっぷりと取られており、通常であれば車内空間にはサイズ以上の広々とした余裕が確保されているはずです。

ところがこのAクラスには「サンドイッチ構造」という高さのあるフロアが採用されているため、その分、床が高くなり室内空間を圧迫しています。

スタイリング自体は、トールボーイのスポーティなスタイリングで好感が持てます。

リア

サイドから斜めに駆け上がるショルダーラインを効果的に使って、立体的なリアウィンドウが構成されています。メルセデス・ベンツらしいリアコンビランプと組み合わされ、斬新で個性的なリアエンドを形作っています。

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内装

樹脂の質感はコンパクトカーレベルです。メルセデス系シティコミューター「スマート」を彷彿とさせるようなカジュアルな仕上がりです。

フロアに二重構造が採用されているため、見た目の背の高さに比べて、室内は狭く感じられます。この二重構造は、当初電気自動車や燃料電池車の派生を考慮して設計されたものですが、ガソリン車のAクラスにおいては、衝突時にエンジンなどの重量物をこのアンダーフロアに逃がすとか、側面衝突の際にボディ剛性を強化するといった効果があります。

シート

コンパクトなボディに似合わず、がっしりとしたフロントシートが装備されます。座り心地もメルセデスらしい重厚感があります。体圧が適度に分散されるため、長時間ドライブしていても疲れることはありません。

リアシートは平板な形状でサイズも少し小ぶりです。形状が適切なため、中距離(30km)程度であれば十分に使うことができます。頭上、足元ともに窮屈感はありません。

荷室

荷室の奥行きはそれほど深くありませんが、スクウェアな形状で高さがしっかりと確保されているため、家族4人で2泊3日旅行程度であれば十分こなすことができます。

静粛性

風切音、ロードノイズともに、FFファミリーカーとして標準的なレベルです。きつい坂道ではエンジンが苦しそうに唸り声を上げます。

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エンジンとミッション

1598ccの直列4気筒SOHCエンジンに、5速ATが組み合わされます。
エンジンは、102ps/5250rpmの最高出力と、15.3kgf・m/4000rpmの最大トルクを発揮します。

車両重量1110kg。10モード/10・15モード燃費は、13.2km/lとなります。

エンジン

1.6Lの自然吸気エンジンが搭載されます。メルセデスベンツとはいえ、このクラスの車に搭載するエンジンはごく普通の乗用車用エンジンです。

パワーが不足して困るといった日常領域での不都合はありません。適度なトルクを持った扱いやすいエンジンです。

トランスミッション

小さなエンジンをしっかりと高回転まで回し、適切なトルクを発生させます。スムーズなフィールを持つトランスミッションです。

足回りとハンドリング

前輪にストラット式サスペンション、後輪にはトルクアーム式サスペンションが装備されます。

足回り

転倒対策のために足回りは硬めの印象。メルセデス・ベンツらしい上質感もありません。ごく普通の前輪駆動によるファミリーカーです。

段差ではガタガタと路面の衝撃を拾いがちですが、がっしりと固められたボディで不快な衝撃は遮断されます。

ハンドリング

キビキビとしたフィールの操舵感です。僅かな操舵からリニアに反応して車の向きを変えます。ただし、そのフィールはFFファミリーカーの範疇に収まるもので、Cクラス以上のメルセデス・ベンツとは全く別種のものです。

転倒対策のため、スタビリティコントロールの「ESP」が装備されます。これはCクラスの下位グレードにも装備されない高価な装備です。コーナリング中アンダーステアが発生した場合は、内側のタイヤに軽くブレーキを掛ける事で車を内側に引き戻す事ができます。

評価のまとめ

現在販売されている3代目Aクラスでは、フロアが二重構造となる「サンドイッチ構造」は廃止されています。メルセデス・ベンツとしても「この構造には少し無理があった」という結論だったのでしょう。

この背の高い構造との辻褄を合わせるため、フロアパネルから足回りまで対処療法的な手直しが行われ、乗り心地やハンドリングに妙なバランスの悪さを感じさせます。

ただし、その先進的な構造を持つスタイリングには、今のAクラスには無い唯一無二の存在感があります。「Aクラス」と言われて一番に思い浮かべるのは最新型のAクラスではなく、やはりこのワンモーションスタイルのAクラスです。それほどインパクトのあるスタリングだったのです。

価格

新車当時の価格 | 2,650,000円

ABOUTこの記事をかいた人

クルマ好きの40代男性。現在病気のため療養中です。

ブログは暇つぶし&リハビリ。週2で短時間のアルバイトをしていますが、普通の人のように毎日フルタイムで働くことはできません。

ブログの内容はあくまで秋ろーの個人的見解です。実際に車や商品、サービスを購入する際は、自分で試乗や調査をして確かめることをオススメします。

記事更新の時間は、大体、午後11時から12時頃にかけてを予定しています。

修正ばっかりしてると新記事の投稿ができないんで、新記事3に対して修正1くらいの割合でやってます(2019年6月〜)