今回の旧型レポートは「三菱 ディアマンテ E」です。
この三菱ディアマンテは、1990年に登場した4ドアハードトップです。
ギャランをベースにボディがストレッチされ、ちょっとBMWぽくてかっこいいワイドボディが構築されています。
税制上の5ナンバー枠廃止と共に発売されたディアマンテは、安いわりに大きくて高級に見えるという理由で一時大ブームとなりました。
外観
全長4740mmX全幅1775mmX全高1410mmのボディサイズを持ち、ホイールベースは2720mmとなります。
ごく普通のオーソドックスなセダンボディを持つ「シグマ」と、少し背の低いハードトップボディとなるこのディアマンテの2種がラインナップされていました。
この他にオーストラリアで製造される「ディアマンテワゴン」があたのですが、このワゴンはゆったりとしたボディを活かした雰囲気のある実用車です。秋ろーも一時期欲しかった事がありましたが、その時は結局レガシィワゴンを買ってしまいました。
フロント
ちょっとBMWっぽい精悍でちょい悪なフロントフェイスです。逆スラントノーズがいかつさを増しますね。このあたりのディティールにはベースとなったギャランの面影が感じられます。
サイド
ロングホイールベースに前後に長いキャビンが組み合わされ、伸びやかで上質感のあるサイドビューです。当時の人たちがちょっと高級な車という事で殺到した気持ちが分かります。
それまでの大衆車には無い、威風堂々とした風格が感じられます。余裕のあるサイズ感は、自動車デザインにとって重要な要素の一つなんです。
リア
一体化されたリアコンビランプ、ハイデッキ化されたトランクなど、ギャランのイメージを色濃く残すリアエンドとなっています。
三菱自動車の共通イメージを持ちながらも、ディアマンテならではの重厚感と上質感が存分に表現されてます。
内装
メーターナセルには大型の3連メーターがレイアウトされ、視認性、使い勝手ともに良好です。
上質でしっとりとした樹脂に、木目パネルが組み合わされ十分な高級感が感じられます。
シート
厚みのたっぷりとしたシートにコシのあるスポンジが詰め込まれています。この当時の日本車としては疲れにくいシートといえます。中距離程度(30km)の使用であれば問題ありません。
荷室
大きなボディを活かして、巨大な荷室が装備されます。開口部にはたっぷりとした間口が与えられているため、荷物の出し入れも簡単です。
静粛性
クラス標準レベル以上の静粛性があります。ロードノイズ、風切音の侵入も最小限です。
エンジンとミッション
2497ccのV型DOHCエンジンに、4速ATが組み合わされます。
エンジンは、175ps/6000rpmの最高出力と、22.6kgf・m/4500rpmの最大トルクを発揮します。
車両重量は1490kgとなります。
エンジン
ディアマンテには、この他に3Lエンジンを搭載するモデルもあります。この3Lエンジンは三菱のスポーツカーGTOにも搭載されるハイパワーエンジンです。
2.5Lエンジンはその3Lエンジンよりパワー、トルクともに劣るものの実用上はまったく問題ありません。若干高回転型のエンジンではあるものの、トルクバンドが広いため必要十分の働きをみせます。
市街地など通常走行ではシャープで切れ味の良い加速をみせ、合流や上り坂ではアクセルを踏み込むことで、ギアが自動的にキックダウンされリニアな加速を行います。
現代の車ではABSに次ぐ重要な安全デバイスとなっている「電子制御式トラクションコントロール」が装備されます。この時代の車では考えられないほど先進的な装備でしたが、当時は「自動車の本質的な機能をごまかしているだけ」と散々な言われようでした。
それから数十年、今では「トラクションコントロールを付けないなんて消費者をばかにしている」と言う評論家もいるくらいですから、どちらに先見の明があったかは一目瞭然です。
トランスミッション
高回転型のエンジンの長所と短所を上手く相殺して、リニアでスムーズな加速を可能にしています。
足回りとハンドリング
前輪にマクファーソンストラット式サスペンション、後輪にはマルチリンク式サスペンションが装備されます。
足回り
ボディサイズから想像するような高級な乗り味はありません。少し引き締まった味わいのスポーティなフィールです。
段差では路面の衝撃を車内に伝えますが、不快な印象はありません。
ハンドリング
ステアリングを切った分だけリニアに反応する気持ちの良いフィールです。中立付近を維持しようとするパワーも適度なため、優れた直進性とハンドリングが上手く両立しています。
評価のまとめ
税制上の5ナンバー枠廃止とドンピシャのタイミングで発売されたため、デビュー当初は「立派な見た目の割に安い」と爆発的な売上を記録しています。
完成度の高い旧型ギャランをベースとしている事もあって、車の出来も仕上げの良い充実した内容となっています。特にセダン版のシグマは、FFらしい見事なパッケージングとバランスの良いシャーシ性能が両立した名車です。
当時は3ナンバーボディとBMWっぽい外観について自動車評論家に酷評されていましたが、車の出来自体は標準レベルを超えるまっとうなものです。ただし、自動車史に残るのはやはり「5ナンバー枠廃止により爆発的に売れた車」という事になるでしょうね。
価格
新車当時の価格 | 2,452,000円