今回の旧型レポートは「ランドローバー ディフェンダー(1997年式)」です。
このランドローバー・ディフェンダーは、1948年から2015年の長年に渡ってイギリスのランドローバーで製造されていた本格的SUVです。
強固なラダーフレームが使われているため、走る環境を選ばない高い悪路走破性を持ちます。
第二次世界大戦直後、アメリカのジープを元に農業用車両として開発されたオフロード車をベースに開発されています。
1990年に改良が施され、この「ランドローバー ディフェンダー」の名前が使われるようになりました。
外観
全長3775mmX全幅1815mmX全高1945mmのボディサイズを持ち、ホイールベースは2360mmとなります。
フロント
マッシブな四角いボディに丸型のヘッドイラとが装備されます。アメリカのジープに通じる血筋を持ちますが、そこはかとなく上品な香りが漂うのがこの車の特徴です。
サイド
がっしりとした四角いボディに大径ホイールが装備され力強い印象です。フロントオーバーハングが極端に切り詰められているため、角度のある悪路でもボディ干渉を気にせずガンガン走ることができます。
リア
背が高く大きな四角いキャビンに、実用性に徹した丸型のリアコンビランプが装備されます。質実剛健、まさに男の道具といった佇まいです。
内装
本来はオープンボディとして設計されている車ですが、日本市場で売るためにエアコンやクローズドルーフなど最低限の快適装備が追加されています。
インパネのデザインも簡素で質実剛健なものです。この後、2007年に施されたマイナーチェンジにより、ディスカバリー3のモダンなデザインが流用されることになります。
シート
強固なフレームにコシのあるクッションが組み合わされた座り心地の良いシートが装備されます。悪路をガンガン走ってもダイレクトな衝撃を体に伝えることはありません。
リアシートは簡易型のベンチシートがそれぞれ向かい合うように装備されます。軍用車両とほぼ同じ装備ですので、快適な乗り心地などというものは期待できません。
荷室
荷室と後席に明確な区分はありません。そのため後席全体を荷室として使えば、かなり大きな容量を持つ事になります。
静粛性
ガーガーとうるさいエンジン、盛大に飛び込んでくるロードノイズ、ガタガタとした乗り心地の悪さ、どれをとっても上質といった言葉はあてはまりません。
しかし、このディフェンダーのような実用車にそういった種類の快適性を望むのは見当違いというものです。
エンジンとミッション
3950ccのV型OHVエンジンに、4速ATが組み合わされます。
エンジンは、182ps/4750rpmの最高出力と、32.2kgf・m/3000rpmの最大トルクを発揮します。
車両重量は1790kg。
エンジン
日本市場に合わせて、ディーゼルエンジンからV8エンジンに換装されています。
たっぷりとした低速トルクを発揮し、大きな1790kgのボディをぐいぐいと引っ張ることができます。ガソリンエンジンに換装されているとはいえ、ガーガーとトラックのような盛大なエンジンサウンドを発生させます。
トランスミッション
トランスミッションにはイージードライブを可能とする4速ATが装備されます。大きな低速トルクを活かして、低い回転を保ちながらゆったりと力強く走ります。
足回りとハンドリング
前後ともにリジット・アクスル式サスペンションが装備されます。
足回り
ショートホイールベースに幅広いがちりとしたタイヤが装備されているため、高速走行では右へ左へとステアリングが振られて落ち着きません。
また、ジョイントなど路面の段差では衝撃をダイレクトに車内に伝えます。
このようにオンロードでは非常に使いづらい車となっていますが、整地のされていな悪路では他の車を寄せ付けない圧倒的な走破性をみせます。
フロントオーバーハングがほとんどないため、ボディの干渉を気にすることなく、ガンガンと不整地に飛び込んでいくことができます。
ハンドリング
古いタイプの本格的な4WDシャーシーですから、クロスオーバーSUVのようなクイックで自然なハンドリングは期待できません。
小回りも苦手で、狭い路地では何度か切り返しをすることになります。
評価のまとめ
日本市場に合わせて最低限の快適装備が施されていますが、自動車の内容自体はヘビーデューティな軍用車と変わりません。
本来イギリス軍が装甲車や偵察車として使っていた実用車がベースですので、レンジローバーのような快適性はまったくありません。
そのため、悪路をガンガン走るために買う人にとっては、これ以上ないほどの素晴らしい車となります。反面、おしゃれなクロスオーバーSUVとして気軽な気持ちで買う人達にとっては、後で「こんなはずじゃなかった」と大きく後悔させる事になります。
価格
新車当時の価格 | 3,590,000円