今回の旧型レポートは「初代 マツダ センティア 25リミテッドG」です。このセンティアは、1991年に登場したMクラスのFR4ドアセダンです。
バブル経済末期に発売され、当初は好調な売上を維持していましたが、その後のバブル崩壊とともに徐々に落ち込んでいくことになります。
外観
全長4925mmX全幅1795mmX全高1380mmのボディサイズを持ち、ホイールベースは2850mmとなります。
張りのある艶めかしい曲面を多用した、ワイド&ローの美しいボディスタイルです。
フロント
塊感のある美しいボディに、精密感な横長グリル、角型の上質なヘッドライトが組み合わされ大人っぽい色気を醸し出しています。このワイド&ローのシルエットと、上質なグリルのコンビネーションは、当時マツダが製造していた「ユーノス500」と強い共通性を感じさせます。
フロントバンパーには、ステアリングに連動して向きの変わるフォグランプが装備されています。
バブル期の日本車には、次々とこういった電子デバイスが搭載されていましたが、当時の自動車好きや自動車評論家たちからは「自動車の本質的な機能をおろそかにして、電子制御でごまかしている」と批判を浴びていました。しかしそれから数十年後、今や世界中の自動車メーカーがこの時代の日本車の技術をベースとした電子デバイスを盛んに車に搭載するようになっています。
まあそういった人たちからは、「当時の電子デバイスと、今欧州車が搭載しているものとは本質的に全く違うものだよ」と鼻で笑われそうですが。
サイド
長いホイールベースを活かした伸びやかで美しいサイドビューです。リアが緩やかに丸められているため、上品な尻下がりのシルエットとなっています。
リア
なだらかな尻下がりのリアエンドに、薄く横に長い上質なリアコンビランプがレイアウトされます。このセンティアで一番美しいビューポイントです。
内装
メーターバイザーを横一杯に拡げたような面白い内装デザインが採用されています。デザイン自体に問題は無いのですが、樹脂や木目の質感、組付け精度などが低く、プレミアムカーとしては物足りません。
スタイリング重視のため、室内空間は若干狭めです。これはスタイリングとのトレードオフですので、大きな問題にはなりません。
最新型のプリウスにも備わる、ソーラー発電式のベンチレーション(換気)システムが世界で初めて搭載されています。
メーターナセルには大型の3眼メーターが備わり、使い勝手は良好です。
シート
たっぷりとしたサイズのシートが装備されます。内蔵されるクッションにはしっかりとしたコシが与えられているため、長時間座っていても腰が痛くなることはありません。
リアエンドがスタイリッシに絞り込まれているため、後席空間は狭めです。ただし、シート自体のサイズ、質感に問題はありません。
荷室
尻下がりの上品なスタイリングとなっているため、荷室の容量も限られます。Mクラスセダンとしては小さい容量ですが、家族4人で1泊旅行くらいなら十分にこなすことができます。
静粛性
静かなエンジンに加えて車内にはたっぷりと遮音材がおごられています。ロードノイズや風切音の侵入も最小限で、上質な車内空間が維持されています。
エンジンとミッション
2495ccのV型6気筒DOHCエンジンに、4速ATが組み合わされます。
エンジンは、160ps/6000rpmの最高出力と、21.5kgf・m/3500rpmの最大トルクを発揮します。
車両重量は1610kgで、10モード/10・15モード燃費は、8.4km/lとなります。
エンジン
1610kgの重量級ボディに2.5Lエンジンでは少々非力です。そのため合流や急な上り坂ではもたつく事があります。
ただし低速からそこそこのトルクが立ち上がるため、街中でパワー不足を感じることはありません。
エンジンフィールは上質かつスムーズ、高回転域までよどみなく吹けあがります。
トランスミッション
重量級ボディに非力なエンジン組み合わされますが、急激にアクセルを踏み込むことでギアが自動的にシフトダウンされ、そこそこ俊敏な加速をすることができます。
現代の車のようなステアリングシフトや、ダイレクト感あふれるデュアルクラッチトランスミッションは装備されません。
足回りとハンドリング
前後ともにマルチリンク式サスペンションが装備されます。
足回り
新しく開発されたサスペンションが使われ、良路ではしっとりとした滑らかな乗り心地です。だたし、路面のジョイントでは若干不快な衝撃を車内に伝えます。
少し乗り心地は硬めですが粗さは少なく、路面に吸い付くようなフラットライドな乗り味を持ちます。
ハンドリング
FRレイアウトと優れた前後重量配分により、ステアリングの切り始めから正確に車の向きが変わるので人馬一体感が得やすいです。
楽しく運転することができるので、長時間運転していてもそれほど疲れることはありません。
評価のまとめ
ファントゥドライブな走りと、美しいスタイリングがこのセンティアの最大のセールスポイントです。反面、当時のマツダの製造技術レベルを反映して、内装のクオリティなどにチープな印象が残ります。
バブル景気真っ只中に企画されたとはいえ、小さなメーカーがコストの掛かる後輪駆動を維持しながら、この大胆な美しいスタイリングを実現した企画力には脱帽するしかありません。
価格
新車当時の価格 | 3,185,000円