「2車線が1車線に減少するポイント」や「本線に他の車線が合流するポイント」で、合流する側の車がそれぞれ自分の好きな場所で勝手に合流してしまうと、交通全体の流れが混乱し渋滞や事故の原因となることがあります。
これに対して、「合流する側」と「合流される側」、双方に相手を一台ずつ入れながら交互に合流する場合は大きな混乱が生まれにくく、自分勝手に合流する場合に較べて「スムーズ」かつ「速く」走ることができます。こういった合流の仕方をファスナーのように交互に合流することから「ファスナー合流」と呼びます。
このファスナー合流は、法律で決められた合流方法ではありませんが、ドライバーが長年の間に自然発生的に産み出した、道路をスムーズに使うための知恵でありマナーです。
都心部ほど「ファスナー合流」が普及している
東京などの都心部では、車が異常に多いといった事情に加えて、車線が少なくなる「合流地点」があちこちに点在しています。そのため、各自が自分勝手に走り出すと結果的に大渋滞が発生し、一ミリも動けなくなるといった事も起こりえます。
都心部を常日頃から走っているようなドライバーは、無意識に、もしくは本能的にその危険性に気づいており、「ファスナー合流」のようなスムーズな走り方をする人が多いようです。
郊外にはマナーの悪い人が多い
これに対して中途半端に都市化されたような地方では、車線が合流する地点であっても自分勝手なタイミングで合流しようとする人がいます。
といってもそういった人ばかりではないのですが、毎回そのレーンを走る度に見かけるので相対的に多く感じてしまいます。
例えば、合流地点で「ファスナー合流」が発生しているのに、その合流地点を左から追い越し強引に前の方から合流するとか、逆に合流地点のかなり手前で強引に割り込んで合流するといったパターンがみられます。
こういうイレギュラーな動きをされると、ファスナー合流を予測しながら運転している人にとっては大きな危険となります。自分の合流するポイントの前に割り込まれれば衝突する場合もあります。
また、手前で割り込まれる事によって「ファスナー合流」のポイントがずれてしまえば、その前にいる車は離れ小島のように取り残され身動きができなくなる可能性もあります。
さらには、「自分の順番を無視された」といって怒りトラブルになることもあるでしょう。
マナー違反は少数派だから得をしているだけ
マナー違反によって速く合流できるという事は、それ以外の大多数の人がマナーをしっかりと守っているから出来る事です。マナー違反の人のドライビングテクニックが優れているとか、度胸があるといったことは一切関係ありません。
ところがこのマナー違反のドライバーがある一定数を超えるとどうでしょう。たちまち交通の流れは混乱し、あちこちで事故が起きたり大渋滞が発生したりして、マナーの良し悪しに関係なく身動きが取れなくなってしまいます。
マナーを守る事で速く走る
マナーを守って走るという事は、単に人に譲るばかりで一方的に損をしているという事ではありません。結果的に自分がスムーズに速く目的地に到着することになる一番有効な手段なのです。