夜間、信号待ちや渋滞中、車の流れが止まるとヘッドライトを消す人がいます。20年くらい前まではこういった人が特に多かったのですが、現在ではどういう訳か少数派となりつつあります。
このような人たちに「なぜヘッドライトを消すのか」と質問すると、多くの場合「だって前の車や対向車が眩しいでしょ」というようなことを言います。なるほどそう言われれば、こういった人たちは概して親切で優しそうな人が多いです。
しかし、実際にこの親切な行為が人のためになっているかというと、それには2つの疑問符が付きます。
一つはヘッドライトを消すことで、周りから自分の車が見えなくなってしまうという事、もう一つは次に発進する時、ヘッドライトを付け忘れる恐れがあるという事です。
ヘッドライトを付け忘れた場合
例えば、信号待ちで自分の車のヘッドライトを消している時を想像してみてください。対向車からは眩しくありませんが、同時にあなたの車は極端に見えにくくなっています。
また、ヘッドライトを消すという行為は、一部の人の間では「お先にどうぞ」というシグナルになる場合もあります。
ここで次に信号が青になった時、あなたがヘッドライトを点けるのを忘れたとしたらどうでしょう。
対向車線で右折しようとしている車がいる時、この車がヘッドライトの消えているあなたに「道を譲ってもらった」と勘違いして右折を開始する事は十分に考えられます。
当然あなたはヘッドライトを点け忘れているだけですから、すぐに車を発進させるでしょう。こうなると後は想像するまでもありません。この2台は交差点の中央で接触事故を起こしてしまいます。
市街地ではヘッドライトの消し忘れに気付きにくい
郊外の道では、例えヘッドライトを消し忘れていても、周りが暗いのですぐに消し忘れに気づくことができます。これに対して、市街地では明るい街灯が沢山設置されているため、ヘッドライトを点けていなかったとしても結構平気で運転することができます。つまり、ヘッドライトの消し忘れに気づくことが出来ないのです。
この状態で走行を続けると、特に前後にヘッドライトを点灯している車がある場合、あなたの車は他の車や歩行者から全く見えなくなってしまう可能性があります。
これがどれだけ危険な事かは説明するまでもありませんね。あなたの車に気づかず飛び出してくる車や歩行者にぶつかり、大きな事故を起こしてしまうかもしれません。
ヘッドライトを消すことのリスク
確かに、ヘッドライトを消していれば、対向車や前の車は目が眩しくなくなり多少の恩恵を受けるでしょう。
しかし、ヘッドライトの消し忘れによるその後のリスクを考えてみてください。比べ物にならないほどの大きな危険をはらんでいると気がつくはずです。
もし今まで親切心から「ヘッドライトを消していた」という人がいるなら、今日からは是非「夜間の信号待ちではヘッドライトを消さない」を徹底してください。