親しい友人から「ちょっと車を貸して欲しい」と頼まれた経験は、多かれ少なかれどんな人にもある事だと思います。
そういう場合、ちょっと高級な車だったり、買い替えたばかりの新車でなければ気軽に貸してしまいますよね。「少し気が進まないなあ」という人でも、「今後の付き合いもあるし、ケチだと思われるのも嫌だ」という理由から渋々貸しているという事も多いでしょう。
そんな貸した車で一番心配になるのは、「借りた人が事故を起こして車を壊してまわないだろうか?」ということにつきます。
そこで今回は、「貸した車で事故を起こされた時、その事故の責任は誰にあるのか?」という事について解説したいと思います。
損害賠償の責任があるのは車を貸した人
あなたが貸した車で友人が事故を起こした時、損害賠償の責任が問われるのは、この友人ではなく貸主であるあなたです。
「そんなばかな」と思われるかもしれませんが、自動車の保険がドライバーではなく車に付いていることからも分かるとおり、こういう場合は車の持ち主の責任が問われることになります。
あなたが友人に車を貸したという事は、その友人の事をあなたは十分に知った上で車を貸しているはずです。また、ある時だけに時間を限って貸しているわけですから、その車の運行支配権と、利益支配権は貸す前と同じくそのままあなたに残っています。
こういう立場にある人のことを「運行共用者」といいますが、法律上の観点からみれば、事故の責任はこの「運行共用者」に負わされる事になっています。
運行共用者に損害賠償の責任がある
例えば、仕事を退職した元従業員に、「今までありがとう」という気持ちもあって、寮から荷物を運び出すために会社のトラックを貸したとします。
ところがこの元従業員は、慣れないトラックの運転を誤り事故を起こしてしまいました。
こんな時、元従業員はその会社とすでに何の関係もありませんが、会社には「運行共用者」として損害賠償の責任が負わされます。
貸主は貸した相手に対して損害額を請求する権利がある
もちろん貸主であるあなたや、この会社の経営者は、車を貸した相手に対して、支払った損害額を丸々請求する権利があります。
ただ、その請求額は、一度自動車保険で支払われた額には適用されず、自動車保険で足りずに自腹で支払った分にだけ適応されます。
つまり120万円の損害額に対して、100万円の自動車保険が適用され、20万円を自腹で支払った場合は、自腹で払った20万円を車を貸した相手に請求できるとう事になります。