加害者が飲酒運転や無免許運転の場合、被害者に保険金が支払われるのでしょうか?
結論からいいますと、こんな場合でも被害者に保険金は支払われます。こういった場合の事故で重い責任を課せられるのは重大な過失をおかしている加害者であって、被害者には何の落ち度ないからです。
任意保険も適用される
自賠責保険の場合は、まったく減額されることなく被害者の傷の程度によって最低限の保険金が支払われます。加害者が飲酒運転や無免許運転をしている事は、加害者へ課される責任であって被害者へ問われるものではないからです。
これは任意保険でも同じで、被害者の損害の程度によって減額されることなく保険金が支払われます。以前、1972年までは加害者が飲酒運転や無免許運転をしている場合、任意保険による保険金の支払いは受けられませんでした。
ただ、それではあまりにも被害者の権利を軽視しすぎているという事で、現在のように保険金が支払われるようになったという経緯があります。
こういった事故での任意保険の適用は、あくまでも被害者を救済するという趣旨で適用されるものです。よって適用されるのは「対人・対物保険」だけで、これ以外の自損事故や搭乗者、車両保険などには適用されません。
損害賠償額は増額される
このように自賠責保険や任意保険では被害者が手厚く保護されるような制度となっています。しかし、怪我を治すための保険金が被害者に十分支払われるというのは当たり前の事です。そもそも加害者が飲酒や無免許でなければ、被害者はこのような苦痛を味わう事は無かったはずです。
そのため、損害賠償額には慰謝料としての増額分が上乗せされることになります。
加害者は「過失相殺」を受けられない
また、加害者が飲酒や無免許運転をしていない事故の場合、被害者に過失があればその分を相殺して考える「過失相殺」という仕組みがあります。しかし、加害者が飲酒や無免許運転をしている場合は、このような仕組みが適用されることは少なくなります。
たとえば、被害者が信号を無視して飛び出してきた場合、加害者が普通の状態であれば停止できていたかもしれないのに、飲酒や運転の未熟さ故に判断が遅れ事故に繋がってしまったと考えられるからです。
加害者に課せられる刑事責任
飲酒運転で人身事故を起こしてしまった場合、加害者が刑務所行きとなることは避けられません。
たとえ被害者と示談が成立していたとしても、情状酌量により刑罰の僅かな軽減が望めるだけです。大勢としての結果に変わりはありません。この上、ひき逃げなどで現場から逃亡していればさらに重い刑罰を課せられることになります。
数年前、飲酒運転の場合はひき逃げより罪が重くなるといわれ、被害者を死亡させた現場から逃げた人が話題になったことがありました。しかし、現在は法律が改定されそのような法律の抜け穴はなくなっています。