自動車情報サイト「Automotive News Europe」によりますと、欧州トヨタは「新型クロスオーバー CH-R」のために開発していた、新型ディーゼルエンジンの搭載を取りやめたという事です。
発売されるのはガソリン車とハイブリッド車
新型CH-Rは今年の後半に発売が予定されているクロスオーバータイプのSUVです。当初は1.5Lの新型3気筒ディーゼルエンジンの搭載が予定されていましたが、ここに来てハイブリッド車とガソリンエンジン車のみの発売予定となりました。
ディーゼルエンジンの開発は続けられている
トヨタの開発チーフオフィサー ディディエ・リロイによると「このディーゼルエンジンは世界的に発売されるプラットフォームのために今後も開発が続けられます。ただ、欧州で販売される車への搭載は一時的に見合わせることになります」と述べています。
リロイによると「欧州におけるCH-Rの事前受注数は、ハイブリッドが3分の2を占めている」ということです。そのため「ディーゼルを希望されるお客様にはその他の車をすすめる事で対応したい」と述べています。
元々トヨタを買うようなユーザーは、ディーゼルエンジンよりもハイブリッドシステムへの興味が強いという事でしょう。それを見越した上でこのような発言になったのだと思います。
ディーゼルエンジンのシェア
これは欧州におけるトヨタのディーゼルシェアを見てもよく分かります。欧州のトヨタ車全体に占めるディーゼルエンジン比率は約25%で、欧州市場全体のディーゼル比率約50%を大きく下回ります。
この欧州市場全体のディーゼル比率も、前年の「フォルクスワーゲンディーゼル排出ガス不正問題」を受けて減少しています。
8月の前年同月比でみるとディーゼルシェアは50.9%から48.3%へと減少しています。8月までの累計シェアでもは52.1%から49.9%へと減少しています。
数値上は僅かな減少ですが、市場全体でもディーゼルエンジンへの興味が確実に薄れている事が分かります。
トヨタ車に搭載されるディーゼルエンジン
トヨタのディーゼルエンジンラインナップの詳細は、コンパクトカーのヤリスとオーリスにBMW製1.4Lディーゼルエンジン、コンパクトミニバンのベルソと中型セダンのアベンシスBMW製1.6Lディーゼルエンジン、コンパクトSUVのRAV4とアベンシスにBMW製2.0Lディーゼルエンジンを搭載しています。
また、トヨタ独自のディーゼルエンジンも製造されており、ランドグルーザーやハイラックスピックアップなどの大型SUVに搭載されています。
つまり大型SUV以外の普及型小型ディーゼルエンジンはすべてBMWからのOEMで供給を受けているという事になります。今回のディーゼルエンジン搭載中止は、このあたりの技術的ノウハウの不足が原因で開発が遅延しているのかもしれません。
トヨタのハイブリッド
トヨタはガソリンやディーゼルの他に、ハイブリッドユニットのドライブトレインも製造しています。このドライブトレインはオーリスやヤリス、RAV4に搭載されています。
またプリウスには、ハイブリッドとプラグインハイブリッドのステーションワゴンがあります。
ディーゼルエンジンの主要プレイヤーであったフォルクスワーゲンが、次世代の車として徐々にプラグインハイブリッドや電気自動車にシフトしているのを見ると、ハイブリッド技術の得意なトヨタがこれから何が何でもディーゼルエンジンをモノにしようと躍起にならないのも当然かもしれません。
(参考:Automotive News Europe)