自動車が走るにはエネルギーが必要ですが、そのエネルギーは車を単純に動かすためだけに使われているのではなく、以下の4つの力に対しても使われています。
(1)「路面とタイヤの摩擦力」路面と接地しているタイヤを動かす時に抵抗となる力です。
(2)「自動車のボディと空気の摩擦力」車が動く時、ボディと空気がこすれ合って生まれる抵抗力です。
(3)「坂道を駆け上がるための登坂力」車が坂を登る時に必要となる力です。
(4)「車を加速させるための加速力」車の速度を上げていく時に必要となる力です。
つまり自動車を動かすためには、この4つの力よりさらに大きな力を生み出す必要があります。
電気自動車の伝家の宝刀「回生ブレーキ」
ガソリンエンジンの場合はこの4つの力に対抗するためにエネルギーが消費されるだけですが、電気自動車の場合はこの4つのエネルギーの内(3)と(4)に対してある程度のエネルギーを回収をすることができます。
その電気自動車ならではのシステムが、電気モーターを使った「回生ブレーキ」です。このシステムにより本来なら捨てられていたエネルギーの多くを回収することができますので、電気自動車はガソリン車に比べてエネルギー効率が高くなります。
また、このシステムは純粋な電気自動車だけではなく、ハイブリッドカーやプラグインハイブリッドカーなど、ガソリン車から派生した自動車にも装備することができます。
電気自動車やハイブリッドカーが流線型なのは
電気自動車はこの回生ブレーキのおかげで高いエネルギー効率を誇りますが、合わせて(1)と(2)のエネルギー効率を高める事でさらに効率の良い車を作ることができます。そのため、こう言った電気自動車やハイブリッドカーには空気抵抗の優れた流線型のボディや、細くて硬い摩擦抵抗の少ないエコタイヤが装備されることが多いのです。メリットを最大化することでユーザーにしっかりアピールしようという事ですね。
電気自動車のエネルギー効率をさらに上げる
電気自動車の回生ブレーキは制動を始めた時からエネルギーを回収し始め、自動車が停止状態になるまでに約8割のエネルギーを回収することができます。
ただし、急制動をかけると回生モーターのエネルギー回収容量をオーバーすることになり、その分は機械式ブレーキの制動力として空気中に熱で放出されます。
そのため、電気自動車のエネルギー効率を高める走りをするには、こういった無駄な急制動はしない方が良い事になります。もちろん危険を回避するための急制動は例外ですが。
また、平地での定速走行時は(3)や(4)のエネルギー消費が最少となりますので、電気自動車の効率をさらに上げることができます。
つまり電気自動車のエネルギー効率をさらに上げようとするなら、急制動や急加速といった乱暴な運転は厳禁ということですね。