今回は「新型 トヨタ bB Z」を試乗レポートいたします。このトヨタbBは、2005年のモデルチェンジで2代目となりました。
初代がヴィッツベースだったのに対して、新型ではパッソのプラットフォームが使われています。そのため、若干ボディサイズが小さくなっています。
発売から10年以上の長きに渡って売られ続けている、超ロングランモデルです。現在、製造は終了していますが、在庫分に限って販売が継続されています(20016年7月現在)。
外観
全長3795mmX全幅1690mmX全高1635mmのボディサイズを持ち、ホイールベースは2540mmとなります。
角ばったボディに、アールのラインが多用された「妖しく」「いかつい」デザインが与えられています。このデザインは当時の若者の間でウケ、大ヒットとなりました。
サイドビューは角ばったボディスタイルに、切れ上がったウェストラインが印象的です。太めのワイドフェンダー、太いDピラーが相まって「悪る」な雰囲気を作り出しています。
リア周りは、リアコンビランプが小さくレイアウトされており、相対的にボディパネルの面積が大きく感じられるのっぺりしたデザインです。このあたりにも「悪る」と「ユーモラス」の絶妙なバランスが感じられます。
内装
開発コンセプトは「車型音楽プレーヤー」ということですが、フロントシートをめいいっぱい後ろまで下げて倒すと、「まったりモード」というモードになり、音と光に包まれながら「まったり」とすることができます。ただ、bBの売りでもある「9スピーカーシステム」は、この1.5Lモデルにしか装備されません。このイルミネーションは、安全のために走行中は機能しないような仕組みになっています。
前席シートはベンチシートに近い形状です。厚みが薄く、硬さ、コシともに不足しています。短距離(20km程度)の使用であれば問題ありません。助手席と運転席の間を倒すと、アームレストとして機能します。
後席シートは、シートバック、座面ともに小さく、クッションの厚みやコシも不足気味です。ただ、頭上空間はタプリとした余裕があり、短距離(20km程度)の使用であれば大丈夫です。
ラゲッジスペースは、奥行きはそこそこですが、高さ方向にたっぷりとした余裕があるため、積み方を工夫することでかなりの荷物を積むことが可能です。さらに、後席のシートバックを倒すことで、その分をラゲッジスペースとして使うこともできます。
静粛性はパッソクラスと同レベルです。風切り音、ロードノイズともに進入してきます。加速時はエンジンの音も大きくなります。
エンジンとミッション
1495cc直列4気筒DOHCエンジンに、4速ATが組み合わされます。
エンジンは、109ps/6000rpmの最高出力と、14.4kgf・m/4400rpmの最大トルクを発揮します。
JC08モード燃費は、14.6km/lとなります。車両重量は1050kgです。
パッソよりも少し重いボディに、14.4kgf・m/4400rpmという高回転型のエンジンが組み合わされていますが、4速ATの制御が素晴らしく、エンジンの力のある領域を巧みに使ってスムーズに加速します。普段使いの街乗りなら不足を感じることはありません。
ただ、坂道や合流などでアクセルを踏み込めば、ガーガーとエンジン音が高くなり、加速ももっさりとした頼りないものになります。
足回りとハンドリング
前輪にマクファーソンストラット式サスペンション、後輪にはトーションビーム式サスペンションが装備されます。
ステアリングは平凡なフィールで、路面情報も不足しがちです。ただ、ベースがパッソですからそう贅沢も言えません。
足回りもふわふわとした頼りないフィールで、コーナリングなどでは安定感が足りません。
設計の古さとリアのトーションビーム式サス、背の高いボディなどが相まって、路面の段差ではガタガタと衝撃を車内に伝えてしまいます。ボディの揺れも収束が遅く、不快なお釣りが感じられます。
評価のまとめ
内外装のデザインにコストが掛けられている印象で、反面、車自体の質感はパッソと同レベルです。そのために、ちょっと割高に感じられますが、このデザインが好きという人にだけオススメできる一台です。
設計から10年以上が経過しているため、普通の便利なコンパクトカーが欲しいという人には、最近発売された設計の新しいコンパクトカーをオススメします。
価格
価格 | 1,703,455円(税込み)