今回は「新型スズキ ラパン L」を試乗レポートいたします。このスズキラパンは今回のモデルチェンジで3代目となりました。
9代目スズキアルトとプラットフォームが共有されています。
初代ラパンはアルトの女性離れを憂慮して企画されたモデルですが、今回のモデルではより女性の視点に立った商品造りをする為に、女性スタッフが中心となって開発されています。
外観
全長3395mmX全幅1475mmX全高1525mmのボディサイズを持ちます。またホイールベースは2460mmとなります。
レトロで特徴的な、一目でラパンだと分かるスタイリングです。
企画段階では、おもちゃっぽさを排除したかわいらしさを追求したそうですが、確かに大人の鑑賞に耐えるかわいさです。
外装色やうさぎのマーク、細かなデザイン処理などを変更すれば、男性が乗っていても恥ずかしくないような上質なデザインです。
内装
クラシックで大きく見やすいメーターが設置されています。
室内は明るい色でコーディネイトされ、おしゃれで開放感があります。ステアリングも専用デザインが与えられ、細かなデザインにも気が配られています。
立ち気味のAピラー(フロントウィンドウ左右の柱)と、目線の高さが相まってボディの先端がばっちり見えます。そのため車幅感覚が掴みやすいので、運転がしやすく疲れにくです。
インパネには、カフェのような木目調のテーブルが設置されていて、内装デザインの大きなポイントになっています。肌にうるおいを与えるパナソニックの「ナノイー」や、熱線や紫外線をカットしてくれるガラスも装備されます。
フロントシートは平板なデザインですが、サイズと厚みがたっぷりで座りやすいベンチシート型です。インパネデザインもふくめて、全体的に柔らかい四角形がテーマになっています。Xグレードを選べば、ふちにパイピングの施されたキルティング地のシートなど、3種類のバリエーションから選択する事ができます。
静かな自然吸気エンジンと相まって、車内の静粛性はコンパクトカークラスのものです。
エンジンとミッション
660cc直列3気筒DOHCエンジンに、CVTが組み合わされます。
エンジンは、52ps/6500rpmの最高出力と、6.4kgf・m/4000rpmの最大トルクを発揮します。
JC08モード燃費は、35.6km/lとなります。
カタログ数値では、一昔前のハイブリッドカー並みの燃費をたたき出します。新世代プラットフォーム採用で120kgの軽量化に成功しており、680kgの超軽量ボディです。
エンジンは特徴の内無いごく普通のエンジンですが、この超軽量ボディのおかげで過不足のない加速をみせます。
制動力を回収して発電する「エネチャージ」が装備されていますが、このエネチャージの回生ブレーキは制動力の立ち上がりに少し間があり、慣れるまでちょっとだけギクシャクしてしまいます。
足回りとハンドリング
前輪にマクファーソンストラット式サスペンション、後輪にはトーションビーム式サスペンションが装備されます。
ハンドリングはなめらかで穏やかな印象ですが、少しハンドリングセンターの手応えが曖昧で、1本のラインの上を狙い通りに走るのが苦手です。フロントサスの剛性感を出して欲しい所ですが、そうするとアルトのような安っぽい乗り心地になります。ラパンのキャラクターを考えると、この辺りが落としどころでしょう。
ある程度ロールを許しながらも、腰砕けになるようなことはなく、いつまでもしっかりと路面を捉え続ける、コシのあるしっとりとした足回りです。軽量高剛性ボディとあいまって、直進安定性は高いです。
またダンピングが上手く効いており、路面の衝撃を上手にいなします。
その他
全方位モニターにより、車を上空から見下ろしたような映像が映し出され、車庫入れの苦手な人でも安心です。また誤発進抑制機能もついており、ブレーキの踏み間違いにも対応してくれます。
評価のまとめ
このラパンは、ユーザーの9割以上が女性という極端に偏りのある商品です。今回は開発チームの中心も女性スタッフとなり、男性スタッフはサポート役に徹した開発体制が取られています。
中年男性が中心になって考えた、「若い女性はこんな車が好きなんでしょ」といった安っぽいかわいらしさではなく、本当に女性が良いと思える上質な商品に仕上っています。
価格
価格 | 1,202,040円(税込み)