ハイブリッドカー最大のメリットは、なんといってもその燃費の良さにあります。プリウスやアクアなんかのハイブリッドカーに乗っている人なら、「次の車は燃費の良い車にしたい!」なんて気持ちで購入してるはずです。
ただし、ハイブリッドカーの燃費が良いといっても、乗り方によってその結果は大きく違ってきます。「回生ブレーキ」や「独特のアクセルワーク」など、ハイブリッドカーの特性をしっかりと理解して運転すれば、カタログ数値に近い優れた燃費を叩き出すことができます。逆に何も考えず、ただぼ〜っと運転しているだけなら大した燃費は期待できません。
ということで今回の【運転のコツ】では、そんなハイブリッドカーの特性をしっかりと活かしつつ、なるべく高い燃費効率を実現するための「走り方」について解説していきます。
せっかくの大金をはたいて購入したハイブリッドカーです。車の特性にあった走り方を身に付けて、限界ギリギリまでガソリンを節約しちゃいましょう!
メリハリのあるアクセルワークで、燃費向上!
ハイブリッドカーの燃費を良くするには、その特性をしっかりと理解した上で、ある程度「頭」を使ったクレバーな運転が必要です。
例えば、ハイブリッドカーを走らせると、車はまず、ガソリンを燃やしてエンジンを回します。その上で余ったエネルギーで発電機を動かし、その電気を走行用バッテリーに蓄えることで無駄なエネルギー消費を抑えます。
この電気は次の走行のために使われるんですが、急激な加速を続けたり、EVモードばかりで走っていると、バッテリーの電気はみるみる消費されてしまいます。バッテリーが空になるとハイブリッドカーはエンジンを始動して、なるべく早くバッテリーを充電しようと試みます。
メリハリのある運転は、良いことばかり
この時、始動したエンジンをバッテリーの充電だけじゃなくて、走行のためにもバランスよく使えれば総合的な燃費は向上します。具体的には、「急加速にならない程度にしっかりとアクセルを踏んで加速し、目的の速度に達したらアクセルを戻して一定速で巡航する」というメリハリのある運転をするんです。この状態なら、ガソリンエンジンと電気モーターは、一番エネルギー効率の良いところを使って走ってくれます。
一般的な感覚では、ジワッとアクセルを踏んで、電気モーターの力だけで加速した方が燃費には良いような気がします。しかし、実際には逆で、ある程度メリハリを付けて運転した方が、総合的な燃費は向上するんです。他にも、ある程度メリハリのある運転を心がけることで、交通全体の流れをスムーズにしたり、安全運転につながるというメリットもあります。
「HVメーター」を使って、「メリハリのある運転」を解説
「急加速にならない程度にしっかりとアクセルを踏んで加速」と言われても、表現に具体性が無いんで分かりづらいかもしれませんねえ。
そんな時には、ハイブリッドカーに装備されている「HVメーター」を目安にしてください。「HVメーター」とは、メーカーによって呼称は異なりますが、ハイブリッドシステムの作動状況を端的に示すメーター(もしくはモニター)のことです。
「HVメーター」には、電気モーターとガソリンエンジンを使って力強く加速していることを示す「パワー」と、バッテリーが充電状態であることを示す「チャージ」、燃費を重視して走っていることを示す「エコ」の3種類があります(これもメーカーによって表示が異なるが、意味は大体同じ)。
「急加速にならない程度にしっかりとアクセルを踏んで加速」とは、この表示が「パワー」に入る直前、「エコ」状態をギリギリ維持して走っている状態のことです。
坂道では「回生ブレーキ」を有効に使ってハイブリッドカーの燃費を向上させる
普通のガソリン車は、下り坂でガソリン供給を自動的に絞るようにセッティングされているため、長い下り坂が続くと燃費効率が大きく向上します。
これはハイブリッドカーも同様で、普通に下り坂を走るだけで「回生ブレーキ」が働き、ガソリン車以上に燃費効率は向上します。ただし、エネルギー効率を最大限に高めるには、ある程度のコツと知識が必要です。
上り坂と下り坂を頭に入れておく
まず、坂道で燃費効率を向上させるには、これから走る道の坂道について「どれ位の下りと上りがあるのか」、大まかに頭に入れておく必要があります。
普段通勤や通学に使う道なら、しっかりと頭に入っているはずですので問題はありません。初めて走る道の場合は、多少燃費効率は落ちますが、遠くを見通しながらその都度判断していけば十分でしょう。
坂道を使ってガソリンの消費量を抑える
ここからは、具体的な方法を説明していきます。まず、遠くに上り坂を確認したら、上り坂に差し掛かる前にバッテリー残量を確認してください。バッテリーが十分あれば「EVモード」に切り替えて電気モーターだけで坂道を登り、ガソリンの消費を抑えます。
坂道を登りきって下り坂に差し掛かると、自動的に「回生ブレーキ」が働き、バッテリーに電気を充電し始めます。回生ブレーキはフットブレーキ、エンジンブレーキともに作動しますが、フットブレーキの方がより強く作動する傾向にあります。
ただし、急な下り坂の場合は、フットブレーキに負荷を掛けすぎると危険です。エンジンブレーキも併用して走行してください。
また、上り坂に差し掛かった時にバッテリーが十分蓄電されていなければ、この方法は使えません。その他には、下り坂に差し掛かった時、バッテリーが満タンの場合も下りのエネルギーを有効に活用できませんので、燃費効率は低下します。
つまり、この方法を使って最大限に燃費効率を上げるには、全体の行程を頭に入れておき、どこで電気を充電してどこでその電気を使うか、しっかりとした運転計画が必要なのです。
エアコンの使用を控える
エアコンは、自動車に搭載される電気機器の中でも、電気消費量の大きな部品のひとつです。
特にハイブリッドカーの場合は、エンジンの力を冷暖房に活かしにくいため、より多くのエネルギーを消費する傾向にあります。
ちょっと暑いくらいなら窓を開けて涼むとか、寒い時は多めに服を着込むといった工夫で燃費効率を大きく向上させることができます。
ただし、体調を壊しては元も子もありません。真夏の太陽がサンサンと降り注ぐような暑い日は、遠慮せずにしっかりとエアコンを効かせましょう。
ガソリン車にも共通する一般的な燃費節約術
最後に一般的なガソリン車にも共通する「燃費節約術」についても解説しておきます。ハイブリッドカーの燃費を向上させるためにも有効な手段です。あわせて実行して燃費効率をさらに向上させてください。
適切な車間距離を空ける
適切な車間距離が空いていれば、急ブレーキを踏むことも少なくなりますし、前方の状況がよく確認できるので結果的にスムーズな運転が可能です。これは燃費を向上させるだけでなく、安全運転にも繋がります。
ナビゲーションを有効に活用する
道に迷って遠回りをするほど、燃料と時間の無駄にする行為はありません。知らない場所に行く時はしっかりとナビゲーションを設定しておき、最短ルートで到達するようにしましょう。最近は渋滞を避ける情報を提供するナビゲーションも多いです。こういった高度な情報を活用すれば、さらに燃費効率を向上させることができます。
ナビゲーションの無い人は、スマホのアプリを活用してみてください。本格的なナビゲーションに迫る高機能を持つアプリも珍しくありません。
不要な荷物を車内に放置しない
面倒くさいからといって、車内にゴルフバッグや洗車道具、趣味関連の荷物を置きっぱなしにするのも厳禁です。その荷物の重量が積もり積もって、無駄なエネルギー消費を蓄積していくからです。
タイヤの空気圧はちょっと高めに
タイヤの空気圧が低いと、タイヤと路面のグリップ力が増し燃費効率を下げます。タイヤの空気圧は適正か、ちょっと高い(+10%)くらいに調整しておきましょう。
そろそとタイヤの交換時期だという人は、今流行りのエコタイヤに替えてみるのも有効な燃費対策です。多少乗り味が硬くなりますが、その分エネルギー効率は抜群です。