可変気筒エンジンとは
自動車は始めの動き出しに、比較的大きなエネルギーを使っています。
アクセルの開度も大きく、エンジンの音量も大きいので、運転しているみなさんもお気づきでしょう。
これが、ある程度の速度まで加速して、巡航するようになるとそれほど大きなエネルギーを必要としなくなります。
アクセルの開度も少なくなり、エンジンも割と静かになります。
このように、エンジンはその状況によって必要とされるエネルギーが違います。
走り始めや加速時には、大きなエネルギーが必要なため、全部の気筒をフルに使って大きなパワーを出してやり、巡航中のような比較的小さいエネルギーで済む状況では、エンジンのいくつかの気筒を休止して、燃費性能を向上しようと考えられたのが「可変気筒エンジン」と呼ばれるシステムです。
可変気筒エンジンの変遷
世界初の可変気筒エンジンは、1981年に登場したアメリカのGMキャデラックに搭載されたV8エンジンです。
当時は、可変気筒エンジンは技術的に発展途上であったために、トラブルが頻発してしまい、普及するにはいたりませんでした。
1982年になると、三菱のミラージュに1.4L直列4気筒エンジンとして搭載されました。
その後、三菱ギャランにV6エンジンと直列4気筒エンジンが搭載され、「MIVEC-MDエンジン」という可変バルブタイミング&リフト機構と組み合わされたエンジンに発展して行きます。
しかし、このエンジンは振動が大きい割に、燃費もさほど良くないといった中途半端な性能のエンジンで、その後受注生産だけとなり次第に廃れていきました。
当初、未成熟な技術であったため、なかなか普及しなかった可変気筒エンジンですが、2001年にホンダがシビックハイブリッドに搭載したのを皮切りに、2003年にホンダインスパイアにV6エンジンとして搭載され、「VCM」という名称を付けてその後広くラインナップに展開されていきます。
その後、2007年になるとさらにこのシステムは発展し、6気筒全てを作動させるモードと、片バンク3気筒だけで作動するモードに加えて、左右2気筒ずつ計4気筒を作動させる事が出来る「3モードVCM」へと進化します。
結果的に4気筒モードが新設されたことで、6気筒で作動する機会が減り、全体の燃費は向上しました。
また、休止した気筒の吸排気バルブを全開する事により、ポンピングロスを最小限に抑え、無駄なエネルギー消費を抑える工夫もされています。