直列6気筒かV型6気筒か
現在、一般的な市販車での直列6気筒エンジン搭載は少なくなってきています。
製造コストや燃費性能、衝突時の安全性の問題から直列6気筒のメリットがなくなってきているからです。
少し前まではトヨタなどの市販車クラスでも直6が搭載されていましたが、それは今ほど環境性能や衝突安全性の規制が厳しくなく、安価に直列6気筒エンジンが作れたという理由が大きいです。
さらに、名前が示す通り一直線に6つのシリンダーが並んでいる為、等間隔で燃焼させることが比較的容易であるため、スムーズな回転フィールを得やすいといったメリットもありました。
それに比べ昔のV型6気筒エンジンの回転フィールは少々ラフで、直6のスムーズな質感には遠く及ばないものでした。
コンピューター技術の発達でV型6気筒のデメリットが消える
ところが近年になると、コンピューターの演算能力が発達し、V型6気筒エンジンであっても完全な等間隔燃焼を実現できるようになっています。
普及型の乗用車に搭載されているエンジンであれば、どちらもスムーズさは変わらないレベルになっています。
直列6気筒は安全性に問題がある
また安全面においても直列6気筒エンジンは縦に長いため、衝突の際にキャビンにエンジンブロックが侵入する可能性があります。
これがコンパクトなV型6気筒エンジンであれば、縦の長さを短くコンパクトにできますから、そのスペースをクラッシャブルゾーンとして乗員の安全性向上に使うことができます。
クォリティの高いBMWの直列6気筒エンジン
そんな不利な立場の直列6気筒エンジンですが、BMWの直6は別格です。
シルキー6と呼ばれるその直列6気筒エンジンは、上質感あふれる最高のフィールを持っています。
もともと飛行機製造メーカーだったBMWは、かたくなに直列6気筒エンジンが最高だと信じている所があり、未だに細々ではありますが直列6気筒エンジンを作り続けています。
また、しばらく直列6気筒エンジンをラインナップしていなかったメルセデスベンツも、最近になって直列6気筒エンジンを次期Eクラスに搭載するのではという噂が聞こえてきます。
おそらくボディの解析技術が進み、大きいボディであれば直列6気筒エンジンを搭載しても、安全性が確保できる目処がついたのでしょう。
昔のメルセデスベンツの直列6気筒エンジンは、衝突の際にエンジンブロックがフロアの下に落下する事で、乗員の安全を確保するという技術を使っていました。
今回のEクラスの直列6気筒エンジンでも、そういった革新的な新技術が搭載されているのかもしれません。
高級な直列6気筒エンジンは残り続ける
今後V型6気筒エンジンが、昔ながらの安価な直列6気筒エンジンに代替されて行く事はないでしょう。
しかし、今回のメルセデスベンツの直列6気筒エンジン搭載でいえるのは、たっぷりコストの掛けられた直列6気筒エンジンのフィールは、いくらお金を掛けてもV型6気筒エンジンでは再現できないという事です。
今後もこのような超高級な直列6気筒エンジンは、孤高の存在としてしばらく作られていくでしょう。