ワゴンRソリオベースの初代から、質感向上のためにプラットフォームを一新して生まれ変わったのが、先代の2代目スイフトです。3代目スイフトは、その2代目のコンセプトとプラットフォームを、そのまま受け継いで正常進化させたキープコンセプトモデルです。
今回はその3代目「新型 スズキ スイフト RS」を試乗レポートします。
外観
ひとめでスイフトとわかる個性的な外観です。大まかなデザインは先代から受け継がれていますが、細部に渡って細かくリファインされスマートな印象です。
しかし、このスタイリングは足掛け2世代に渡って使用されていますので、さすがに少し見飽きてきました。
フロント
やさしく微笑んでいるようなフロントフェイスが印象的です。
ヘッドランプは扇型をモチーフにした、大きく特徴的なデザインです。この個性的なヘッドライトのおかげで遠目からでも一目でスイフトだと認識できます。この扇型のモチーフはリアコンビランプでも反復され、スイフトのアイコンのような役割を担っています。
サイド
Aピラーはブラックアウトされ、短く切り詰められた前後オーバーハングと相まってスポーティな印象です。
Aピラーの上部から始まるルーフラインはリアに行く程少しずつ絞り込まれ、最後は小さいリアウインドウでフィニッシュされていて小気味良い軽快感があります。
リア
ただこの絞り込まれたリアのせいで、少し後方の死角が大きくなっているのが気になります。加えて、Aピラーが太くドアミラーも巨大なため、左斜め前方の死角も大きめです。
内装
質感は値段なりでプラスチッキーですが、合理的なレイアウトで使いやすい内装です。
シフトブーツや本革巻きステアリングには、ステッチが入っており上質です。
Aピラーは若干立ち気味で、屋根も高く前席の居住性は良好です。
シート
フロントシートはサイズもたっぷりしていて厚みもあり、適度に体圧を分散するタイプなので疲れません。
シートには細かなステッチが入っており上質ですが、地味なブラックとグレーの味気ない色の組み合せが気分を萎えさせます。
後部座席は、ルーフがリアに行くにしたがって絞り込まれているので狭いです。
シートバックも立ち気味で、頭上空間と足下も狭く、特に成人男性だと窮屈感があります。
シートの質感自体は厚みとコシのある良質なものですから、子供や小柄な人を乗せる分には問題ありません。
荷室
同じく、リアの荷室も絞り込まれており狭いです。ただリアシートを畳めば広いラゲッジとして使えるので、使い勝手は悪くありません。
エンジンとミッション
970kgの軽量ボディに1.2L直列4気筒DOHCエンジンとCVTが組み合されます。このエンジンは、低速トルクが細く加速はいまひとつです。
しかし、エンジン音は静かで、スムーズに高回転まで回ります。ボディが軽い事もあり、一度スピードに乗ってしまえばかったるさはありません。
いわゆる高回転型のエンジンなので、マニュアルミッションのほうがおすすめです。
足回りとハンドリング
このRSは欧州仕様のサスペンションが装備されており、適度に引き締まった足回りで路面に吸い付くように走ります。
ハンドリングはとくにスポーティというわけではないですが、素直なハンドリングで運転しやすく、ロールも少ないのできびきび走れます。
ステアリングセンターもしっかり出ており、ボディの剛性感も高くどっしりした重厚感があります。良く出来たスポーツサスと相まって、直進安定性も抜群です。
評価のまとめ
欧州仕様の足回りがセッティングされているため、走行性能や乗り味は、モデル末期のこの時期でも国産トップクラスです。シートの質感も高く、欧州車的なキャラクターを持っています。
ただラゲッジや後部座席は少し狭く、もっと広い室内が欲しい人にはヴィッツなど他のコンパクトカーをオススメします。
先代から受け継ぐプラットフォームは長期に渡って熟成されており、モデル末期のこの時期なら値引きも多いので買い時だと思います。
主要諸元と価格
全長X全幅X全高 | 3875mmX1695mmX1510mm
JC08モード燃費 | 20.6km/l
価格 | 1,480,000円(税込み)