新型 メルセデス ベンツ Cクラス C180(W205・4代目)【試乗評価】圧倒的な完成度の高さ [DBA-205040C]

メルセデスベンツC180前面画像

今回の【試乗評価】は「新型 メルセデス ベンツ Cクラス C180(W205・4代目)」。
2014年にフルモデルチェンジした、Mクラスの4ドアセダンです。この他にステーションワゴン(5ドア)やクーペ(2ドア)、カブリオレといったボディバリエーションがあります。

1993年に登場した「初代メルセデスベンツ・Cクラス」は、それまで製造されていた「190シリーズ」の後継車種として開発された4ドアセダンです。メルセデスベンツらしい上質な乗り味を守りながら、小型化に加えて低価格化まで実現していたんで結構な人気がありました。

コンパクトなボディに「フロントエンジン・リアドライブ(FR)」というCクラスの基本的な成り立ちは、この頃からぜんぜん変わらないんですねえ。

今回紹介する「4代目メルセデスベンツ・Cクラス」は、そんな初代のコンセプトを現代的に翻訳し直した、キープコンセプトモデル。メルセデスベンツのFRパッケージでは、一番コンパクトなモデルになります。現在のメルセデスベンツには「Aクラス」や「Bクラス」など「Cクラス」より小さなFF車がいくつかありますが、メルセデスベンツらしい上質感とか味わいを求めるなら、高くてもこのCクラス以上を買うしかありません。

じっくりと読む時間の無い人は、文末の「【試乗評価】のまとめ」をどうぞ↓
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「新型 メルセデス ベンツ Cクラス C180(W205・4代目)」の概要

今回のモデルチェンジでテーマとなったのは、「アジリティ&インテリジェンス」です。日本語で言うと「俊敏さと知性」といったところでしょうか。メルセデスベンツらしい鷹揚さを残しながらも、軽快な身のこなしを手に入れてます。それから、先進安全技術を始めとする電制技術も盛りだくさんで、「インテリジェンス」にふさわしい仕上がりになってます。

先代と比べるとボディサイズがひと回り大きくなっていて、全長で95mm、全幅は40mm、ホイールベースにいたっては80mmも拡大されてます。ということで、安定性が高くなったり、乗り心地が良くなったり、室内空間が拡がったりと結構メリットがデカイです。

これだけボディが拡大されると、普通はそれに伴って車重も重くなるんですが、4代目Cクラスの場合はアルミ材を増やすことで逆に70kgから100kgほど軽くなってます。

内外装の仕立ても良くて、ひとクラス上のEクラスに迫る勢いです。「コンパクトな高級車が欲しい」という人には、EとかSより、Cクラスの方が魅力的に見えると思います。

プラットフォームなど

プラットフォーム(車台)には、アルミとスチールを組み合わせた「ハイブリッド構造」を使ってます。これは先行して発売されたSクラスにも採用されている技術で、70kgから100kg程度の軽量化が可能です。

組み合わされるパワーユニットは小排気量ターボエンジン、いわゆる「ダウンサイジングターボ」ってやつで、軽量化されたボディとの相乗効果もあって燃費が良くなってます。動力性能も必要十分って感じです。

ライバルは

ライバルは、欧州で「Dセグメント」に分類される「BMW・3シリーズセダン」や「アウディ・A4セダン」なんかのドイツ製プレミアム4ドアセダン。

マイナーチェンジ情報

2018年にマイナーチェンジ。初期型のデザインが好評だったんで、内外装の変更は控えめです。

具体的には、グレードによって「LEDハイパフォーマンスヘッドライト」、もしくはより高性能な「マルチビームLEDヘッドライト」を装備。内装まわりの変更としては、助手席と運転席の間に「10.25インチワイドディスプレイ」、それから運転席の目の前に12.3インチのフル液晶メーター「コックピットディスプレイ」を装備しました。

これに対して中身の変更は、フルモデルチェンジに匹敵する大規模なものです。その変更点を累計すると「6500箇所」におよびます。

中でも「C200」グレードの変更は大きく、普通の「2リッターのターボエンジン」から、「48V電気モーター+1.5リッターエンジン」のマイルドハイブリッド仕様へとまるっと変わりました。

「先進安全技術」の進化も急激で、なんと、全グレードにSクラスと同等のシステムが搭載されとります。

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外観

ボディサイズ、全長4690mmX全幅1810mmX全高1445mm。ホイールベース、2840mm。

フロント

なめらかな曲線で構成されたフロントノーズに、巨大なスポーツグリル。D字型LEDヘッドライト。ダイナミックなエアロバンパーを装備。上質でスポーティ、威風堂々としたフロントフェイスです。

サイド

ロングノーズ&ショートデッキ。小さなキャビン(居住空間)を組み合わせた、スポーティで伸びやかなサイドビュー。4代目Cクラスのテーマ、「アジリティ(俊敏性)」が端的に表現されています。

リア

小さく絞り込まれたヒップラインに、軽快なラインで構成されたリアコンビランプ(LED)。傾斜の強いリアウィンドウ。リア周りをスポーティに引き締める、デュアル・エキゾースト・パイプ・フィニッシャーを装備。コンパクトなCクラスにふさわしい軽快感あふれる後ろ姿です。

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内装

メルセデスベンツC180内装画像

本革張りのゴージャスなダッシュボードに、上質な木目パネル。シルバーに輝くメタル調フィニッシャー。かつて無いレベルに引き上げられた、上質なインテイリアデザインです。上質なシートに腰を下ろしてドアを閉めると、ドスッと重厚な音がドライバーを包みます。

メーターナセルには、シルバークロームで囲まれた二眼メーター。その中央にはインフォメーションディスプレイが装備され、車輌情報やシフトポジション、外気温などを端的に表示します。フォント(文字)サイズがやや小さいものの、クッキリとした文字で表示される視認性の高いデザインです。

バイザーの上にはウィンドウ上に投影するかたちでヘッドアップディスプレイを表示。視線移動を減らしてドライバーの疲労軽減に貢献します。

メルセデスベンツC180センターコンソール画像

本木目パネルで覆われたセンターコンソール最上段には、ナビゲーションなどを表示する大型ディスプレイ。その直下には三連エアコンルーバーが装備され、遠く離れた後席にもしっかりと快適な空気を送ります。中段には、エアコンのコントロールユニット。左右に温度調整が独立したデュアルタイプで、温度調整は出っ張りのあるトグル式。ややスイッチは小さいものの、慣れれば手探り操作も可能です。

メルセデスベンツC180コントローラー画像

助手席と運転席の間にレイアウトされた「タッチパッド式コントローラー」は、手元を見る事無く複雑な操作が可能です。ただし、右ハンドル仕様の場合は、左手でタッチパッドを操作する事なります。不器用な人は文字入力が難しいかもしれません。

シート

メルセデスベンツC180シート画像

フロントシートは、がっちりと組み付けられたフレームに、コシあるクッションとしなやかな表皮を組み合わせた快適なシート。腰の高い位置からお尻、太ももの裏に掛けて均一な圧力で支えます。

リアシートは、座面の前後長、背もたれの高さともに適切で、頭上、足元空間の余裕も十分。大人二人で座っても、ゆったりとした空間が保たれます。長距離ドライブも難なくこなす快適なシートです。

荷室

荷室容量は、幅、奥行きともに広大(445L)で、家族4人なら荷物のかさばるキャンプも余裕です。

リアシートの背もたれを4:2:4で分割して倒せば、自由に荷室スペースを拡張することも可能。床下には小物を収納するスペースと、ファストエイドキットを装備。

荷室の左右には、サスペンションの出っ張りによって出来たデッドスペースをネットで区切り、小さな小物スペースを設置しています。

静粛性

ボディ内部には遮音材や吸音材が贅沢に詰め込まれ、ロードノイズ、風切り音ともにしっかりと抑制されます。静粛性能はクラス標準を超えるレベル。

エンジンとミッション

1595cc・直列4気筒DOHCターボエンジンに、9速ATが組み合わされます。
エンジンは、最高出力156ps/5300rpm、最大トルク25.5kgf・m/1200-4000rpmを発揮。

車両重量1490kg。JC08モード燃費、16.1km/l。

エンジン

Aクラスにも搭載される、1.6リッターのツインカムターボで後輪を駆動(FR)。低速域から最大トルクを発生する実用的なパワーユニットです。アクセルに対する反応もリニアで軽快。街中など日常モードであれば必要十分以上の仕事をこなします。

ダウンサイジングターボにしては吹け上がりも良く、メルセデスベンツの実用エンジンらしならぬ特性。4気筒らしいビートを刻みながら軽やかに高回転域に達します。

「アクセル開度」、「シフトタイミング」、「ステアリング特性」を統合的に制御する「アジリティセレクト」を搭載。「エコ」、「コンフォート」、「スポーツ」、「スポーツ+」の4つのモードから、ドライバーの好みに応じて自由に選択できます。街中をゆったりと流す程度であれば「コンフォート」モードが最適です。キビキビとした走りが好みという人は「スポーツ」モード以上でしょう。ただし、1.6Lの絶対的な動力性能はどうしようもありません。パワーやエンジンサウンドに物足りなさを感じる人には、2リッターツインカムターボを搭載したC220がオススメです。

トランスミッション

トルコン式9速AT(マニュアルモード付き)「9G-TRONIC」を採用。細かく刻まれたギアによってよりスムーズな変速感を実現。変速スピードも高速で、その速さは最新型DCTに迫ります。

乗り心地とハンドリング

前輪に4リンク式サスペンション、後輪にはマルチリンク式サスペンションを装備。前後共にスタビライザーで強化。

乗り心地

装着タイヤは、225/55R16。

試乗車には「メカニカルサス」に「ランフラットタイヤ」が組み合わされ、フラットな路面ではスムーズでしなやかな走りをみせます。エアサスと比較すると自然な乗り味ですが、低速域ではコツコツと路面の衝撃を拾いがち。

改良によって随分しなやかになりましたが、「それでも硬さが気になる」という場合は、メーカー純正のランフラットタイヤから市販のラジアルタイヤに替えてみてください。確実に柔軟な乗り味となります。ただし、その際は「タイヤパンク修理キット」の常備をお忘れなく。

高速域での安定性も高く、4つのタイヤが巧みに上下してボディをフラットに保ちます。わだちや横風に進路を乱されることもありません。

ハンドリング

スムーズな動きをともなう軽快なステアリングフィール。フロントに新開発された4リンクサスが装備され、スポーティな走りと快適性をバランスさせています。「アジリティ」を標榜するだけのことはあり、とにかく軽快な印象が強いです。

電動パワステが軽く、従来モデルのような重厚感は希薄。ただし、速度を上げることでシットリとした重みが加わり、違和感は次第に薄れていきます。

しなやかなロールを許しながらも、リアが外から回り込んでくるような印象。FRらしい自然な動きで、ドライバーの意図したラインを正確に描きます。

最小回転半径は、5.1m。ボディサイズの割に結構小回りが効きます。狭い路地での切り返しもやりやすいです。

その他

先進安全技術は、ミリ波レーダーとステレオカメラを使った「インテリジェント・ドライブ」を搭載。

このパッケージには、予防安全技術として衝突の危険を予測して回避、もしくは被害軽減をはかる「アクティブブレーキアシスト(歩行者検知機能付き)」や斜め後方の車両を検知して警告、被害軽減をはかる「アクティブブラインドスポットアシスト」、車線からのはみ出しを警告、および自動的に車線内を維持する「アクティブレーンキーピングアシスト」といった機能を装備。

運転支援技術として、前車との適切な距離を維持して設定した速度で追従する「ディスタンスパイロット・ディストロニック&ステアリングパイロット」、ドライバーの前方に速度を投影する「ヘッドアップディスプレイ」や対向車に合わせてハイビームの範囲を自動調整する「アクティブハイビームアシスト」といった機能を装備します。

【試乗評価】のまとめ

「新型 メルセデスベンツ Cクラス C180(4代目・W205)」は、メルセデスベンツ最小のプレミアムFRセダン。

Sクラス譲りの押出しの強い外観に、クラス標準を大きく超える上質な室内。穏やかなメルセデスベンツらしさを残しつつも、俊敏なハンドリングを実現。乗り味にはやや硬さが残るものの、しなやかでスムーズな動きで不快な印象はありません。

日本の道路事情にピッタリと合ったサイズ感と、工業製品としての高い完成度。スポーティな走りと快適性を高い次元でバランスさせています。

「FRの乗り味を活かした上質なクルマを探している」とか、「押出の強い外観と、威張りの聞く高いブランド力で悠々と走りたい」といった人に最適なクルマです。

中古車市場では

2017年式「メルセデスベンツ Cクラス C180(4代目・W205)」で300万円台後半。2014年式なら200万円台前半となります(2018年6月現在)。

新車価格

4,410,000円(消費税込み)

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ABOUTこの記事をかいた人

クルマ好きの40代男性。現在病気のため療養中です。

ブログは暇つぶし&リハビリ。週2で短時間のアルバイトをしていますが、普通の人のように毎日フルタイムで働くことはできません。

ブログの内容はあくまで秋ろーの個人的見解です。実際に車や商品、サービスを購入する際は、自分で試乗や調査をして確かめることをオススメします。

記事更新の時間は、大体、午後11時から12時頃にかけてを予定しています。

修正ばっかりしてると新記事の投稿ができないんで、新記事3に対して修正1くらいの割合でやってます(2019年6月〜)