今回の旧型レポートは「初代 メルセデス・ベンツ Mクラス ML320(W162・1998年)」。
1997年から2005年に渡って製造販売されていた、MクラスのクロスオーバーSUVです。日本市場では1998年から販売されています。
エンジンとミッションをドイツ本国からアメリカに輸出し、フレームとボディの製造、及び車全体の組み立てはアメリカ工場で行われていました。
ただ、当時アメリカ・アラバマ工場の品質管理がずさんで、この世代のメルセデスベンツのブランドイメージを大きく毀損する事になります。
ブランドイメージを作るには長い年月が掛かりますが、メルセデスベンツといえども、品質の悪い製品を供給すれば、あっという間にブランドイメージは失墜します。このあたりは人間の信頼と同じですね。
外観
全長4600mmX全幅1835mmX全高1820mmのボディサイズを持ち、ホイールベースは2820mmとなります。
フロント
涙型の大きなヘッドライトに、アヴァンギャルドタイプのグリルが装備されます。メルセデスベンツの威厳を感じさせながらも、モダンでスポーティな印象です。
サイド
ブラックアウトされたDピラーに、極太の前傾したCピラーが組み合わされ、スポーティで重厚感のあるサイドビューです。ちょっと、ホンダCR-Vを彷彿とさせるような「ウィンドウ・グラフィックス」ですね。
リア
四角い巨大なリアエンドに、大きなリアウィンドウ、おむすび型のがっしりとしたリアコンビランプが組み合わされ、メルセデスベンツならではの、どっしとした重厚感がたっぷりと表現されています。
内装
同世代における他のメルセデスベンツと比較すると、ちょっと内装デザインに重厚感がありません。ぼんやりした普通のセダンといった印象です。
ヒップポイントが高くボディの見切りも良いため、車が一回り小さく感じられます。
シート
ゆったりとした幅広のシートに、がっしりとした頑丈な本革、コシのある上質なクッションが組み合わされ重厚感のある快適なフロントシートです。
リアシートには、成人男性が余裕を持って座れるだけの充分なスペースが確保されています。ヘッドレストも3人分装備され、安全面にも充分な配慮が感じられます。
荷室
前後の奥行き、高さ、幅ともにたっぷりとした余裕があります。これだけのスペースがあれば4人家族でキャンプも可能です。
静粛性
タイヤの大きなSUVですが、車内にはたっぷりと遮音材が施されており、ロードノイズや風切音、エンジン透過音はしっかりと抑え込まれています。
エンジンとミッション
3199ccのV型6気筒SOHCエンジンに、5速ATが組み合わされます。
エンジンは、218ps/5600rpmの最高出力と、31.6kgf・m/2700-4800rpmの最大トルクを発揮します。
車両重量1970kg。10モード/10・15モード燃費は、7.3km/lとなります。
エンジン
3.2LのV型エンジンで4輪を駆動します。低速域からたっぷりとトルクを発生するため、2t近いボディを物ともせずグイグイと加速していきます。急な坂道であってもパワー不足を感じることはありません。
トランスミッション
欧州やアメリカ市場に合わせた高速主体のセッティング。程よいダイレクト感を伴ったスムーズなトランスミッションです。
足回りとハンドリング
前後ともにダブルウィッシュボーン式サスペンションが装備されます。
足回り
メルセデスが独自に開発した「電子制御4WDシステム」が搭載されます。これは現代の車が装備する最新型の電子制御システムと比べても、まったく引けを取らない優れたシステムです。具体的には、タイヤがトラクションを失い空転を始めると、即座にAIがこれを検知、空転するタイヤにブレーキを掛けます。後は残りのタイヤに積極的に駆動力を配分して、安定した走りを可能にします。
本格的なラダーフレームが組み込まれているため、うねりのある路面を低速で通過すれば、ゆさゆさとしたSUVらしい横揺れを感じます。
といっても速度を上げていけばビシっと車体が安定し、矢のように直進します。剛性の高いがっしりとしたボディに、ストロークの長い上質なサスが組み合わされ、芯のあるゆったりとした乗り心地です。
ハンドリング
重厚感のあるしっとりとしたハンドリング。中立付近に適度な遊びがあるゆったりとしたフィールです。SUVらしいロールを伴いますが、予測がつきやすいため安心してコーナーをクリアすることができます。
評価のまとめ
品質管理がずさんといっても、それはドイツ本国製のメルセデス・ベンツと比較した場合です。
スポーティでモダンな外観と、ベンツらしい威風堂々とした威圧感。力強いパワーユニットとそれを支える頑丈なラダーフレーム。電子制御4WDシステムによる、驚くほど高い悪路走破性をもった完成度の高い車です。
「高級感のあるSUVを探していて、週末は家族でキャンプやレジャーをたっぷりと楽しみたい」、加えて「もしもの時に備えて、高い悪路走破性も欲しい」と考えている人にはピッタリな車となります。
価格
新車当時の価格 | 5,500,000円