今回の旧型レポートは「トヨタ プログレ NC300 ウォールナットパッケージ」です。
このトヨタ・プログレは、1998年に登場したコンパクトサイズの高級セダンです。
コンパクトな5ナンバーサイズでありながら、マークⅡやクラウンに使われている上質なコンポーネントを使って設計され、セルシオ基準のクオリティで仕上げれた「小さな高級車」です。
外観
全長4500mmX全幅1700mmX全高1435mmのボディサイズを持ち、ホイールベースは2780mmとなります。
直線基調の保守的なスタイリングです。
フロント
丸目ライトに角型ライトが組み合わされたちょっと奇妙なフロントフェイスです。ボディと同じ色のプラ版かカラーフィルムで、丸目ライトを角型に成型してやるとぐっと印象が良くなります。
サイド
クラウンと同等のホイールベースに、コンパクトなボディが組み合わされます。これといった特徴の無い古典的なFRルックです。
リア
端正なリアエンドに縦型のリアコンビランプが装備されます。丁寧な車作りを感じさせる上品な作りのリアビューです。
内装
上質なウォールナットと本皮レザーが組み合わされた高級感あふれる室内デザインです。
スクウェアなボディ形状で、見切りも良好。セダンとしてはアップライトなポジションで乗り降りがしやすいです。
また、コンパクトなボディながら、大人4人がしっかりと座ることのできるスペースが確保されています。
シート
たっぷりとしたサイズ感の上質なフロントシートです。優しいタッチの本皮レザーにどっしりとしたアンコが詰められ、快適な座り心地です。長距離ドライブでも疲れることはありません。
リアシートにも前席同様フルサイズのヘッドレストが装備されます。ストロークのたっぷりとしたコシのあるアンコが詰められ、超距離ドライブも快適にこなすことができます。足元、頭上空間ともに適度な余裕があります。
荷室
高性能で複雑な形状のリアサスが装備されるため、荷室スペースにかなりの張り出しがあります。そのせいで奥のスペースが少し窮屈になります。まあ、家族で2泊3日位の旅行であれば、十分にこなすことができます。
静粛性
しかりと遮音対策がほどこされており、セルシオなみの静粛性です。
エンジンとミッション
2997ccの直列6気筒DOHCエンジンに、4速ATが組み合わされます。
エンジンは、215ps/5800rpmの最高出力と、30.0kgf・m/3800rpmの最大トルクを発揮します。
車両重量は1480kgで、10モード/10・15モード燃費は、10.0km/lとなります。
エンジン
3.0Lのストレート6で後輪を駆動します。分厚い低速トルクを生かして、スムーズで力強く走ります。高級車向けのゆったりとしたセッティングのため、キビキビとしたレスポンスの良さはありません。
トランスミッション
低速トルクが大きいため、頻繁な変速を必要としません。なめらかでマナーの良い変速フィールです。
足回りとハンドリング
前後ともにダブルウィッシュボーン式サスペンションが装備されます。
足回り
高級車にふさわしいどっしりとした安定感があります。やや引き締まった印象の上質な乗り心地で、5ナンバーサイズでありながらセルシオと同等の乗り心地を味わうことができます。
ハンドリング
小さな5ナンバーボディにFRレイアウトが組み合わされ、抜群の小回り性能を発揮します。
大らかでゆったりとした特性の上質なハンドリングフィールです。ステアリング量に比例して正確にノーズが向きを変えるため、不自然さや違和感はありません。
評価のまとめ
思ったほど販売台数が伸びず、またトヨタとしては利益を圧縮して販売した実験的な車でもあったため、プログレはこの一代限りで打ち切られています。ただ、新型モデルが存在しないため、ある程度の新鮮さが維持されているのも嬉しいポイントです。
加えて、セルシオのようにカスタマイズカーのベースとして使われる事も少なく、やんちゃなイメージが付いていないのも好印象です。
丸目と角型ライトが組み合わされた奇妙なフロントフェイスと、地味過ぎる外観がちょっと気になりますが、程度の良い中古車を見つけることができれば迷わず買うことをオススメします。
「小さな高級車」という概念はトヨタが長年温めていたコンセプトです。その後、プログレ自体は廃止されましたが、SAIやレクサスISなどに受け継がれ、脈々とその概念は継承されています。
価格
新車当時の価格 | 3,650,000円